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コクがあるのに重くない、明太子パスタ

クリーム味の明太子パスタを初めて食べたのは随分昔のことで、どこか街道沿いのファミレスだったと思う。空前のイタ飯ブームを経て尚、まだまだ本場風より和風の方が身近だった頃のこと。その以前から和風パスタは市民権を得ていて、今も手元にある当時買ったパスタ本にもバリエーション豊富な明太子・たらこパスタのレシピが載っている。ただそのほとんどはバターをベースにしていて、粒々にはバターがつきものと思っていたところに出会ったクリーム味の明太子パスタ。たっぷりのクリームは覚えたてのカルボナーラに似る贅沢さがあり、それでいて目に入る食材は明太子/大葉/刻み海苔と知っているものばかりの親しみやすさに私はすっかりやられてしまった。

それから工夫を繰り返し辿り着いた思い出のレシピ。20年以上が経つ今も変わらず作ればおいしい記憶の味です。

■明太子のクリームパスタの作り方■

【使った材料】1人前

[ソース]
・明太子…1/2腹(40〜50g)
・生クリーム…30g
・マヨネーズ…10g
・オリーブオイル…5g

・スパゲッティ、スパゲッティーニなど…100g目安
・塩…(水1ℓに対して)2〜3g
・オリーブオイル(茹で湯用)…少々

[トッピング]
・大葉
・イクラ
・レモン
・黒胡椒 など

茹で上がった麺をボウルで和えて仕上げるタイプなので、微妙な火加減など気にせずに作れます。その代わりにお皿やソースの温め/麺の湯切りなど、省略しても出来上るけれど、やるとグンとおいしくなるポイントがいくつかあります。

■作り方はこちらの動画でもご覧いただけます■


①パスタのお湯を沸かしながら、ソースを準備します
パスタ1人前に対して、鍋に1ℓの水と2〜3gの塩、オリーブオイル少々を加えてお湯を沸かします。普段パスタを茹でる時はもっと大らかですが、これは明太子の塩気を考えて、麺がしょっぱくなり過ぎないように計ることにしています。いつものパスタなら私は大体1%の塩加減(水1ℓに10gの塩)なので、これは麺にほんのり下味が付く程度のごく薄め。

明太子・たらこ系のパスタは麺がボソついて食べにくい事がありますが、お湯に油を少し入れると茹でた後に麺がくっつくのを防げます。

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お湯を沸かし始めたらソースの準備も同時進行。ボウルに[生クリーム/マヨネーズ/オリーブオイル]を入れてよく混ぜ合わせておきます。

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この日の生クリームは乳脂肪分やや低めの30%を使いましたが、これはお好みで。近頃は100㎖の小さなパックがあって本当に助かります。このパスタでは1食30g使うので3食分で使い切り。もしくはカルボナーラやスクランブルエッグに、一旦冷凍しておいてシチューにちょっと足すなど、この量でもかなり楽しめてありがたい。

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この時点では「ちょっと少ない?」と思えるクリームの使用量ですが、その辻褄は食べ切った瞬間にきちんと合ってくるのでまずはお試しください。

ソースが冷たいと麺との馴染みが悪く更にはすぐに冷めてしまうので、ソースも 盛り付けるお皿も温めておく心遣いが重要です。私はお湯が沸くまでの時間も使って、網を重ねて鍋の上で温めたりしています。

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②パスタを茹でます
お湯がしっかり沸いたらパスタを茹でます。このレシピのソース量では麺は100g位が丁度良いバランス。もっと!という方はソースの量も合わせて増やす、食べる時に追い明太子もあり。麺をお湯に入れたら麺同士がくっつかないよう泳がせるように混ぜ、その後は吹きこぼれにだけ気をつければかき混ぜなくても大丈夫です。余裕があればまたお皿とソースを温めておけると尚良し。

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茹で時間はパッケージに書いてある通りの時間で。最後にフライパンで仕上げるタイプはその時間を差し引いて早めに麺を上げますが、今回はボウルで和えて終わりなので表示通りの茹で時間で丁度良くなります。明太子でふっくら熱々のごはんを食べるイメージ。

③ボウルに明太子を足します
明太子を薄皮ごと細切りにしてボウルに足し、粒を潰さないようにやさしく馴染ませたらソースの準備も完了です。魚卵は熱にデリケートなので必ず後入れに。

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包丁でこそげて薄皮を除く方法もありますが、こうして細切りにすると食べても全く気にならなくなります。

④麺とソースを和えて仕上げます
麺が茹で上がったら一旦ザルに上げてからボウルに移し、手早く混ぜ合わせます。茹で汁はこの後使うのですぐには捨てないでください。

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このザルにワンバウンドはとても重要。茹で汁がソースに入り過ぎて水っぽくなるともう戻れない。さらに熱で明太子が固くザラザラになってしまっても戻れない。このザルワンバンには[多すぎる水気を一旦分けて/強すぎる熱を和らげる]二つの大きな効果があります。

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全体に混ざると麺がソースを吸ってもったり重たくなってくるので、とっておいた茹で汁をスプーンで2〜3杯加えて混ぜ合わせ、なめらかに整えます。

⑤完成です
温めておいたお皿に盛り付けて、好みのトッピングをして完成です。この日は大葉の千切りとイクラをのせた豪華版。さらに意外なほど相性の良い黒胡椒もたっぷり振っていただきます。

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序盤ややあっさりしている感じがするかもしれませんが、徐々に明太子の塩気とクリームのコクが効いてくる。そこをレモンや追い黒胡椒でスッキリさせれば、最後まで飽きることなくフォークが進みます。

クリームが持つ贅沢なおいしさは使い方によっては〝クドさ〟に変わる事がある。明太子をソースとしてパスタと繋ぎおいしさを膨らませる効果は、量をたくさん使わなくても十分に感じられます。

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この日の友は山形県産りんごで造ったシードル[HOCCA/ホッカ]の sweet。塩気と甘口のお酒は好きな組み合わせ。そもそもりんご(のお酒)が好き。

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自分好みに決めたレシピなら自分がおいしいのは当たり前。そう言われてしまえばそれまでの話。ただ、誰が食べるにしても、まず作り手がおいしいと感じる事がとても大切な事だと思うのです。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。


お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。