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二人のためのレシピ|1.グラタン・ドフィノワ

日毎に秋が深まり気温が下がってくると、やはり温かい料理が恋しくなります。じゃがいもと生クリーム、牛乳で作る「グラタン・ドフィノワ 」は、材料も作り方もシンプルな、温もりのあるおいしいお料理です。

フレンチのお店では肉料理の付け合わせとして添えられてくることが多く、私自身もレストランで働いていた頃毎日のように焼いた思い出の一品でもあります。一日中オーブンがつけっ放しのレストランの厨房では、オーブンに入れて1時間近くかけて焼き上げるお料理ですが、家で作るならもう少し手軽に、鍋で軽くじゃがいもを煮たあとに表面だけをこんがり焼けば十分においしく出来上がります。

メインとしてパンと共に、お肉料理に添えてボリューミーに、冷めてもおいしいので翌日までと、シーンに合わせて様々に愉しむことができます。

今、心にいるその人とご一緒に、ぜひどうぞ。

グラタン・ドフィノワ(ドーフィネ風じゃがいものグラタン)

【材料】2人分
・じゃがいも…3〜4個(皮むき後、約300g)
・牛乳…200cc
・生クリーム…100cc
・おろしにんにく…5g(小さじ1)
・塩…3〜4g(小さじ1弱)
・粉チーズ…8〜10g
・こしょう(あればホワイトペッパー)…適宜

「ドフィノワ」とは、フランス南東部ドーフィネ地方発祥のお料理を表す「ドーフィネ風の」という意味です。フランスの方はじゃがいもが大好きで、じゃがいもを使った様々な郷土料理が各地にあります。


じゃがいもの皮をむき、3〜4mm厚さの薄切りにします。お芋が大きい場合は、半分に切ってからスライスする、もしくは、丁度良いサイズの円柱形になるように周りを削ると、お店のように丁寧な見た目に仕上がります。削った部分は、お味噌汁やスープの具に使ってください。

ここで大事なことは「じゃがいもを水にさらさない」こと。このお料理の最大の特徴は、じゃがいものでんぷんが煮ている間に溶け出して生クリームに自然なとろみを付け、それがグラタンの白いソースになる点にあるからです。

肉じゃがやカレーに使うじゃがいもは切ったそばから水に浸けますが、その理由はでんぷんを洗い流してすっきりさせ、煮汁にとろみが出ないようにする/煮崩れを防ぐ/変色を防ぐといった、でんぷんによる作用を減らすため。

反対に、でんぷんを生かしたい場合には水にさらす必要が無く、またさらしてしまっては十分に利用できなくなってしまいます。一つの作業の意味を知るだけで、お料理はぐんとおいしく出来ます。

フライパンに切ったじゃがいもを入れ、〈牛乳、生クリーム、塩、おろしにんにく〉を加えて、鍋底から軽く混ぜ合わせて中火にかけます。沸いてきたらごく弱火にし、蓋をしてふつふつと静かに7〜8分煮ていきます。

私は生クリームを料理に使いますが、家では使う量も頻度もそれほど多くありません。でも寒くなってくるとやはりコクのある料理が恋しくなり、そんな時重宝しているのが、小容量の生クリームです。

ホイップ用の生クリームは200ml入りが多いのですが、コーヒーや紅茶など飲み物が主な用途のクリームは半分の100mlサイズで買うことができます。乳脂肪分がやや低めで、さっぱりした味わいも家の料理には丁度良く感じています。

お好みですが生クリームやバターは少量ずつ使うものだからこそ、生乳原料のものを選ぶと、優しいコクのある安定した味わいの料理になると思います。

じゃがいもを煮ている間に、耐熱の器の内側にバターを塗っておきます。バターはいつも1cm角に切ってストックしていて、こうして型に塗ったりする時も、1かけらを掴んですり付ければ簡単です。

オーブンを使う場合は、この頃に予熱を始めてください。

じゃがいもが柔らかくなってきたら、鍋を火から下ろし、じゃがいもを器に移します。煮汁はできるだけ鍋に残してください。

この時のじゃがいもの柔らかさは、楊枝や竹串で刺した時に「刺さるけれど軽く抵抗を感じる」程度がベストです。たとえ少々柔らかくなって崩れても、あとで上からソースをかけて焼きますから何の問題ありません。

残った煮汁だけを再度弱火にかけ、もう少しとろみがついてソースらしくなるまで3〜5分ほど煮詰めます。ヘラの跡がすぐに消えずに数秒残るくらいが目安です。

ソースにとろみがついたら、味見をして、塩、こしょう(あればホワイトペッパー)で整えます。じゃがいもの上から器に流し入れ、表面を平らに整えて、その上に粉チーズを多めに振ります。

チーズはシュレッドタイプの溶けるチーズでも構いません。その場合は、若干油分が多いので、あくまで主役はじゃがいもと生クリームのコクであることを忘れずに、量をのせすぎないようにしてください。

あとはオーブンまたはトースター、魚焼きのグリルなどで、表面に焼き色がつくまで焼いていきます。(オーブンの場合は、200〜220℃で10分目安)

グラタン・ドフィノワは本来、生のじゃがいもをスライスして器に敷き詰め、上からたっぷりの生クリームを注いで、オーブンで1時間ほどかけて焼く作り方が一般的です。

常にオーブンが温まっている飲食店ではそれで良いのですが、今回は家で気軽に作りやすいように、生クリームを控えめにして牛乳を加え、じゃがいもを先にお鍋で煮て表面だけを焼いて仕上げるレシピにしました。

じゃがいもにはもう火が通っているので、表面に香ばしい焼き色がつけば、出来上がりです。オーブンから取り出すときは、火傷に気をつけてください。

グラタン・ドフィノワの愉しみ方

じゃがいもと生クリームのコクでとても食べ応えがあるので、それだけで十分メインとして楽しめますが、レストランやビストロでは、肉料理の付け合わせに添えられることが多いです。

近頃スーパーでも、ハーブやレモンなどが練りこまれたちょっと本格的なソーセージや、こしょうの効いたハム類(パストラミ、鴨ハムなど)を見かけることがありますので、合わせていただくとお店のような素敵な雰囲気になり、ワインとの相性も抜群です。

冷めてもおいしいので、残ったら翌日のブランチまでのんびりと愉しんでください。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。