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うま味の相乗効果|キムチ鍋

さて今日は何を食べようか。食べたいものを考えるとき冬という季節はずいぶん簡単で、体が温まるもの、熱くて冷めにくいものから始められるのでとっかかりやすい。底冷えのする真冬の冷たい日はすぐそこまで買い物に出るのも億劫で、まずは買い置きだけで出来る熱い食べ物を考えてみる。そんな諸諸の事情をもれなく満たしてくれる筆頭は鍋もの。冷蔵庫を開けてキムチがあればその行く先は自然とキムチ鍋。

日本のキムチは甘めの漬け材料たっぷりのタイプが多く、味付けも色もしっかり濃くて頼もしい。料理に使うと調味料の役割も担ってくれて買い置きがあるととても心強い。冷凍庫から肉を出して何かしら野菜を見繕い、あとは豆腐で満足、納豆もあれば最上。キムチのインパクトを生かして味付けはごくシンプルに。煮えたぎる赤いスープが食欲を掻き立てる。

沸き立つ鍋の音、立ち上る湯気に曇る窓。家鍋なら外の寒さもおいしさの一部に変わります。


■キムチ鍋の作り方■

【使った材料】※2〜4人前
・キムチ…250g〜
・豚バラスライス…200g〜(部位は好みで)

・もやし…1袋
・人参…1/2本
・にんにく…2〜3かけ
・長ネギ…1本
・納豆…1パック(好みで使わなくても)
・豆腐…1丁
・ニラ…1/2束

・ごま油…10g〜
・煮干し…5〜6本
・水…600g〜
・醤油…30g〜

国産のキムチは薬念(ヤンニョム)と呼ばれる漬け材料がたっぷりでうま味もしっかり。日本で好まれる味わいのバランスと強さをそのまま生かして、あれこれやり過ぎないのが何度でも作りたくなる手軽さとおいしさの秘訣です。


■作り方はこちらの動画でもご覧いただけます■


①キムチと豚肉を和えます
豚肉スライスを5cm幅に切り、キムチと和えて少し時間を置きます。和えることで料理の一体感が増し、キムチの調味料の作用で肉がしっとりする効果もあります。こうして肉の下味をキムチで済ませてしまうととても手軽。

時間は15分ほど置きたいところ。長い分には問題ないので前日に和えて冷蔵庫に入れておいても。私は脂がおいしいバラをよく使いますが、部位は好みで。鶏肉でもおいしく作れます。

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②キムチと豚肉を炒めます
鍋にごま油を中火で温め、和えておいたキムチと豚肉を炒めます。多くの場合鍋料理は汁に直接具材を入れて煮ていきますが、このキムチ鍋では油で炒めて得られる香ばしさが重要な風味づけの一つ。肉の色が変わって全体がしっかり熱くなるまで時々かき混ぜながら炒めます。

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熱伝導の良い金属の鍋は炒め煮が出来て汁の沸きも早く重宝します。これは無印良品のもの。空焚きできない土鍋の場合は、先にフライパンで炒めて土鍋に移せば同じように作れます。フライパンでそのまま作ってもだいじょうぶ。

③煮干しと水を加えて煮ます
全体が熱くなったら、煮干しと水を加えます。煮干しはキムチの本場韓国のチゲ(鍋)でもよく使われる出汁。くっきりとした魚風味がキムチの強さに隠れることなく旨味を補強してくれるので、私も好んで使っています。出汁を別に取ることはせず、頭と内臓を除いた煮干しを一緒に煮込んでいつもそのまま入れっぱなしに。お碗によそった時に自然に入ればそのまま食べることにしています。

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この後野菜が入ると水気が出て煮汁の高さが上がるので、はじめの水の量に気をつけます。ここで加える水分は普段使っている出汁でも、水だけで煮てもおいしくなります。

④野菜を加えて煮ます
あとはこの鍋を火にかけたまま具材を足していけばいつの間にか出来上がり。まずもやしを加え、ざっくり混ぜて鍋底のキムチと豚肉を持ち上げるようにしておくと後で食べやすくなります。

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長ネギは1.5cm幅の斜め切り、にんじんは縦1/4にしてから斜め薄切り、にんにくは薄切りにして加えました。キムチの白菜も野菜の1つに数え、あとは何かしらあるものを食べやすく切って入れれば十分。他には玉ねぎ/キャベツ/大根/小松菜/春菊/きのこなど。

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もやしは水に浸けてシャキッとさせて使うと、筋っぽくならずふっくら煮えます。水に浸した状態で冷蔵庫に入れておけばシャキッとしたまま日持ちを少し延ばすこともできるので、使う予定がずれた時におすすめです。

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⑤納豆と豆腐を加えます
野菜が全部入ったら、好みで納豆を加えます。ここで加える納豆は具というよりも出汁の一部。納豆は昆布と同じうま味成分のグルタミン酸を含むので入れるとスープのおいしさがぐんと増す。苦手でなければぜひ試してみてください。

続いて味付けの醤油を少し。キムチの甘味と、煮込めば野菜と豆腐からも甘みが出るので、それらを生かして醤油で香りと塩分を補い私の味付けは終わりです。

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崩れやすい豆腐は8〜10等分に切って上にのせ、くつくつ煮ていればじきに温まります。芯に熱を蓄えた鍋の豆腐は格別なので、しっかり温まるまで煮てください。

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⑤ニラを加えて、完成です
豆腐が温まりふっくらとしてきたら、最後にニラを加えて完成です。くたくたに煮えた野菜とまだ白さの残る熱い豆腐、煮干しと納豆が利いたうま味スープを、一緒にいただきます。
まず食べてみて、辛味を足したい時は鷹の爪や一味唐辛子、もう少し甘味が欲しい時にはみりんを少し加えたり好みで調整してください。ただやり過ぎには注意。

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食材のキムチが味作りの素になるこの鍋は、途中で具やスープを足しながら食べ進めるというより、はじめからたっぷり煮てしまい後は座りっぱなしで食べるだけ。肉はしっとり柔らかく、野菜と豆腐のヘルシー感をあっさりした味付けが後押しして、どんどんど入っていきます。

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食べきれなくても、うどんやごはんを足してまだもう1回楽しめるからむしろ嬉しい。
今日は鍋、明日も鍋でもちろんいい。冬の暮らしはそれがいい。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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