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揚げ出し豆腐つゆだく派 【私のレシピノートから】

揚げ物は好きで家でもよく作る。油の処理が面倒、高カロリー、酸化した油がどうのといったマイナス要素が丸で気にならない訳ではないけれど、それらが束になってかかってきたところで強大なおいしさのパワーには敵わない。好きと言っても今は若い頃のようにべらぼうに食べられるわけではないし、揚げ物を思い浮かべるだけで胸焼けする日だってある。

そんな揚げ物料理の中にあって、唯一とめどなく食べられてしまう料理と言えるのが「揚げ出し豆腐」。豆腐という穏やかな食材のおかげか油で揚げようがどんなにたくさん食べようが、あたかも自らの健康を気遣っているかのような気分になれる。家ではいつも少なめの油で揚げるからお店のようにカラッといかない事もあるけれど、もともと揚げ出し豆腐はつゆだくで食べるのが私は好きだし特に問題ない。豆腐の淡い味わいに油のコクが加わり、それを大根おろしたっぷり醤油味のかけつゆで追いかければ油が洗い流されるようにつるりつるり。いくらでも食べられる気がする素敵なおいしさの料理です。

◼️揚げ出し豆腐[つゆだく派]の作り方◼️

・絹ごし豆腐…1〜2丁、食べたいだけ
・片栗粉…適量
・揚げ油…適量
・大根…400g〜
・三つ葉…1/2束くらい
・なめこ…1パック
・出汁…500g
・みりん…40g
・濃口醤油…45g
・おろし生姜…お好みで

揚げ出し豆腐は外はカリッと中フワフワが目指すところとされるけれど、私はつゆだくで衣がしとっとなったところを汁ごと食べるのが好みなので、この分量はかなりつゆたっぷり。お好みの加減でお試しください。

①豆腐を切っておきます
豆腐を揚げやすいサイズに切って、ペーパーを敷いたところに並べて置いておきます。今日は6つに。

揚げ出し豆腐つゆだく派の私にとって、揚げ上がりの豆腐のカリカリ感はこの料理の最重要ポイントではないので、豆腐にはある程度水気があって結構。片栗粉をまぶす時少し扱いやすい位になれば十分だから、切って紙の上に並べておいて、他のことをしている間に自然に出てきた水が吸い取られる程度でいつも揚げています。

②かけつゆの材料を準備します
つゆを合わせる前に、まず大根おろしをたっぷり用意。手でおろしてもフードプロセッサーなどを使っても、好きな方で。

フードプロセッサーを買いたての頃は、高速大根おろしに感動してやたらとギュンギュンおろしたものだけど、今は使い分けというよりは時々の気分によって手でやったりギュンギュンやったり色々。
おろしたら自然に水気が切れるようにザルに上げておきます。

揚げ出し豆腐が食べたくなる季節は、大根がまたジューシーでおいしい。せっかくの持ち味をぎゅっと絞って繊維ばかりにする必要もないからと自然に水気が切れるくらいにしている。
この料理には多すぎる水分を一時的に分けるというだけで、ザルの下に落ちた大根汁もおいしいので、残る汁はいつも出汁と合わせてお味噌汁にして食べています。

三つ葉は3cmくらいにザクザク切って、なめこは洗って水切り。この辺りで揚げ油を温め始めます。

③豆腐を揚げます
切って置いた豆腐の表面の水気もペーパーで軽くおさえて、片栗粉を全面に付けたらすぐさま油に投入します。このすぐさま、が大事ですぐに油に入れないと片栗粉があっという間にしとっと泣いてくる。だから、せっかくつけたのに、えー、となる前に油はねに気をつけながら静かに入れてしまってください。

家の揚げ物はいつもフライパンに1〜2cm深さ位の少なめの油で。初めは油が足りない感じがしても、豆腐を入れていくと段々と下半分くらいが浸かる感じになるから大丈夫。

入れたらしばらくは触らずにじっと我慢。すぐに触るとどうなるか。衣がネチネチと箸についてきて、運悪くそのままズルッと剥がれるともう戻れません。
しばし堪えたのち、油に浸かっている下の方を箸先でちょっとつついてみた時にカサっと乾いた感触を感じたらようやく裏返して、反対側も同じように揚げていきます。

④かけつゆを仕上げます
鍋に出汁を温め、みりん・醤油を加え一度煮立ててから、用意しておいたなめこ、水気を自然に切った大根おろし、最後に三つ葉を加えてさっと煮たらかけつゆの出来上がり。

豆腐もそろそろ揚がる頃。

⑤で、完成です
豆腐は裏返して両面を揚げたら、横にも転がしたりして全面がカサカサっとした感触になれば揚げ上がり。

水切りをほとんどしない豆腐でも、揚げたてはサクッサク。肉や魚の揚げ物と違い相手はそのままで食べられるお豆腐だから、この位を目安に引き上げれば衣はしっかり火が入ってほんのり色づき香ばしく、中の豆腐は十分な水気を保ったまま芯まで熱々。

揚げたてを器に盛り付け熱々のかけつゆをたっぷりかけたら、好みでおろししょうがもたっぷり添えてどうぞ。大根おろしとなめこが入ったつゆまでが全部食べ物なので、食べる時には匙があるといい。
熱!でも箸が匙が止まらない驚異のおいしさ。これが年を取ったということか、ならそれもいいかもしれない。

大根の皮はきれいならきんぴらにしておくと、つまみになりごはんのおかずにもよく日持ちもして無駄なくおいしく食べ尽くせる。
桂むきでむいた皮は繊維に沿って細切りにしてから、ピーラー むきならそのまま、まずごま油でさっと炒めてから酒・みりん・醤油を加えて炒り付ける。辛味は鷹の爪か七味・一味などあるもので。

皮は他にもさっと茹でてからポン酢漬けにしておくのも手軽な箸休めにいいし、葉っぱも皮と一緒に料理するかお味噌汁か炒飯か。どんなに店の仕込みで皮が余ったとしても商品としてはなかなか出せないものだから、こういう料理は家ならではの楽しみだと思う。

今日の友は、特別純米酒[ 十水/とみず]。十水というのは仕込み法の名前で、十石の米に対して十石の水で仕込むの意だそう。普通より少ない割合の水で仕込む濃醇な味わいで、油を使った料理にもよく合いました。コクもあってキレもある冷も燗もおすすめという幅の広さもまた豆腐に似て寛容。

皆がおいしいというものにおいしいものが多いのも確か、けれど中には自分の好みと違うものだってある。そんな時は、どこがどう違ったかどうしたら自分にとっておいしくなるか考えることも料理の楽しみのひとつ。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。

[揚げ出し豆腐のおいしい作り方]の動画をYouTubeに投稿しています。合わせて見てもらえたら嬉しいです。

お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。