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アキがない。

あの諺が「秋は釣瓶落とし」に変化しようとしている。夏ががんばりはじめたんだね。

耐えて耐えて耐え抜いて、親指立ちの足がぷるぷる震えてくるまでがまんして、ある日とつぜん無責任に手を離してしまうものだから、幕を落としたみたいに冬に切り替わる。

どうしてそんなことになっちゃったかねえ。

心境の変化?

環境の変化?


そんなにがんばらなくてもいいのにね。

秋の陽の釣瓶落としを、ちゃんと刻んでいってよね。

センチメンタルに浸る時間もほしいしね。

それに、困ったことが起こる。

秋の装い、食の貪欲、旅の解放、冬支度。あれこれ予定が狂っちゃう。


お向かいのおじさんが文句言ってたよ。

「季節が抜けると準備が間に合わんじゃないか」


そういえば、飲み屋で『春夏冬中』と気取る表示を見かけることがある。
秋がないから商い中。
シャレの技術点は、、、推して知るべし。

でもねえ。
まさか大御所の季節が庶民の三文駄洒落に追従することになるとはねえ。
先見の明といえば聞こえはいいけど、軽薄すぎ。

暑さに弱いそのおじさん、涼しくなってからでいいから手伝ってくれないかって頭を下げてきたんだけど、無理かなあ。

こっちは手も足も出せないんだ。



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