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映画レビュー#009 『万引き家族』(2018年)

万引きは犯罪です。
いちいちそんなことを言わなくてはいけないぐらい、「万引き」という言葉には変な作用がある。
窃盗であるのことは違いないのに、「ちょっと」悪いことみたいなニュアンスが生まれる。


あれ?何を書こうとしたんだっけ??


いままで一度も観たことがない是枝監督作品。観たこともないのに先入観やイメージだけでアレコレ言うのも良くないし、今作についても気にはなる存在だったので鑑賞。


途中、なんども諦めそうになったけど、なんとか最後まで観た。
万引きなどの犯罪行為が良い悪いの話をしているのではないな、ということはわかった気がする。じゃあなんだ?
万引きが何を示しているのか。なんで『万引き家族』っていうタイトルにしたのか。

万引きやその他の犯罪、血縁関係の有無、性風俗。そんないろいろを使って何を言いたかったのか。
なんだろう。
家族のあり方、貧困、虐待や育児放棄?年金不正受給?行政?再開発やジェントリフィケーション?格差?持つ者と持たざる者?
貧しくても、本当の家族じゃなくても、繋がりを持つことができる。ってことか?血縁関係だけが愛情のベースではないということ?


警察が「産まないと母親になれないよね」と言って、虐待や育児放棄を行っていた本当の親元へ戻すのはなかなか。批判的な視点が含まれているのかな。
「学校へ行かないと学べないことって?」という問いに対する答えは「うわー」ってなった。言いたいこと分かるけど、ちょっとな。
取り調べ、質問の仕方や内容もなかなか。


映画に明確な結末がなくてもいい、と思ってるけど、けっこうぶん投げた感じのラスト。もともとスッキリするような映画でもないし、これはこれでいいのかな。


全体的に一方的な視点だけに思えてしまって。対比や二項対立にしてほしいということじゃないけど、ただあの家族の言い分だけを聞いて終わってしまった感が。
もしかしたら、子供たちがそのあたりをちょっと担ってくれていたのかな。少しの反抗や疑問などで。


安藤サクラはじめ子役も含め演技は自然で良かった。
松岡茉優も自然だったなぁ。
海水浴のシーンは好きだった。ただあそこでの樹木希林の仕草やセリフでその先が少し読めてしまった。
取り調べシーンの安藤サクラも良かった。


ビー玉に宇宙が見えるのも良かった。


それぞれの場面をただひたすら「じーっ」と見つめるような、ねっとりした視点のカメラ。ここは個人の好みの問題なのかな。ただ、温度・湿度の伝わり方はすごかった。当然エアコンなどはないわけなので。
ヘッドホンを使って鑑賞してたのだが、それぞれのセリフ(音声)がどの場面でも前に出過ぎていて、映像に比べて音声・音響の奥行が感じられなかったのが、なんとなく気になってしまった。雪が降る音も。


当時まだフジテレビに在籍していた笠井アナが出てくると「あぁフジテレビ制作」ってなってちょっとだけ冷めた。


これがカンヌでパルム・ドールなのか。むむむ…。
是枝監督作品、他のも少し観てみようかな…。

鑑賞日2020年2月12日(Amazon Prime Video)

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