第6話【カエルとおばあちゃんと秘密のヒーロー】
今日はお盆。
パパに逢えなくなってから
五回目の夏……
(パパ……心が痛いよ。苦しい。逢いたいよ……)
私ね、不器用すぎて。人間関係でいつも躓いちゃうんだ。
ホントね。 自分で自分が嫌んなっちゃうよ……
最近の自分は 、メンタルが弱っていて泣いてばかりだよ。
パパ。
(お盆でパパを迎えに来たんだ。 泣き顔なんて見せちゃだめ! 笑顔でお帰りなさいって、向かえなきゃね!)
(あれ? カエルだ……)
墓石の上にね、ちっちゃな緑色のカエルが チョコンと乗ってるの。
不思議なんだ。
だって。
ずっとずっと。
カエルと目が合わさったままなんだもん。
カエルからなぜか、目が離せなかったんだ
その後ね、ママと○○(兄弟)と、父方のおばあちゃんの病院にお見舞いに行って。
おばあちゃんがね、ジッっと私の顔を見つめているの。
(あれ? この感じ何だろう?)
見つめているのは……
おばあちゃんではなく……
(あ! パパ?)
パパの訴えかける表情に見えたんだ。
しばらく見つめ合ってたの。
おばあちゃんが静かに泣いてるの。
一筋……スーッて頬に涙。
泣きながら私を抱き寄せるとね……
『今の仕事頑張るんだよ。お前はそのままでいいんだよ』
そう言ってくれたんだ。
でもね。
話し方も。表情も。
(パパ……?)
パパなの。
だって、おばあちゃんが知らないはずの事が……
おばあちゃんの口から語られたんだもん。
パパの想い。
亡くなってから5年後の……
5年越しの想い。
久しぶりに。
パパの声が聞けたんだ。
涙が止まらなかったよ……
私もパパにね、ギュッてしたんだ。
やっぱりね!
パパは私のヒーローなんだ!
いつだって私がピンチの時は、そっと近くに寄り添って来てくれて。
一晩中だって、私の 話に黙って耳を傾けてくれて。
私の事ね、否定しないで認めてくれたんだ。
『 お前は、*イチガイコキで困った子だね。泣いてばかりで。でも感受性が豊かだからだね。 心の優しい良い子だよ』
パパの魔法の言の葉。
私の頑張る為の。
頑張れ無くなった時のね、モチベーションなの。
《なんだかね
良いトコよりも
悪いトコね
探す世の中
なんだろね》
生きずらいよ。
パパ……
けどね。 パパと話をしてから。
こう思えるようになったんだ。
パパはいつも私の傍にいてくれる。見守ってくれているから頑張れる!
目に見えなくたって
心の中に生きているんだ!
って。
それからはね。
今度はどんな形でパパに 逢えて。どんな話が出来るかな?
って楽しみになったんだ。
パパと私の秘密だよ!
私にとってね。
パパは
秘密のヒーローなんだ!
*某地方の方言 《頑固者》