アイヌの物語世界

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アイヌの物語世界

　アイヌの伝統的な精神世界を紹介した本です。
　と書くと、難しそうな印象になってしまいますね(^^;　実際は、そんなことはありません。わかりやすく書かれています。

　何より、紹介されているアイヌの神話・伝説が面白いです。神話・伝説を通して、アイヌの精神世界を語っている本、といえます。

　この本を読み通せば、アイヌの主な神々（カムイ、と呼ばれますね）や、伝説の英雄について、知ることができます。
　アイヌの神話・伝説について知りたいなら、お勧めの本の一冊です。

　ただし、わかりやすく書かれてはいても、内容は深いです。一度読んだだけでは、書かれている意味のすべてを、読み取れない可能性が高いです。
　アイヌに関する他の本を読んでから、もう一度読み返してみると、さらに深く、味わえる本ですね。

　以下に、本書の目次を書いておきます。

　なお、アイヌ語の日本語表記は、難しいです。標準的な日本語にない音があるからです。人により、日本語表記の仕方に違いがあります。
　以下の目次にあるアイヌ語の表記も、絶対的なものではありません。

はじめに

第一章　カムイの世界
　カムイの物語――神謡
　　神謡の語り方　　サケヘ　　神謡の主人公――カムイ
　カムイたちの見た世界――神謡が教えるもの
　カムイたちのプロフィール――神謡世界の主人公
　　尊敬されるカムイたち　　普通のカムイたち　　カムイとみなされないものたち
　カムイたちのテーマソング――サケヘの不思議
　　サケヘの性格　　サケヘの挿入形式　　二次的なサケヘ

第二章　人間の世界
　人間の物語――散文説話
　　散文説話の語り方　　散文説話の描く世界　　散文説話と「事実」
　波瀾の生涯――散文説話の構成
　　主人公　　舞台設定　　勧善懲悪の世界　　戦いと恋愛　　終幕
　神々との縁――散文説話の伝えるもの
　　カムイとの婚姻　　カムイの養い親　　カムイへの救済
　パナンペ・ペナンペ――不思議な小話の世界

第三章　超人の世界
　超人の物語――英雄叙事詩
　　ユーカラとユカラ　　英雄叙事詩の主人公　　英雄叙事詩の語り方
　戦う少年――英雄叙事詩の構成
　　生い立ちの秘密　　主人公出陣　　戦闘　　美少女の獲得　　大団円　　英雄叙事詩の特性
　天駆ける少年――英雄叙事詩のバラエティ
　　カムイとの戦い　　和人との戦い　　女の英雄叙事詩
　オキクルミとポイヤウンペ――文化英雄と超人
　　オキクルミと聖伝　　聖伝の実例　　オキクルミのいろいろな顔

第四章　アイヌ文学の特質
　口承文芸としてのアイヌ文学
　　韻文と散文　　雅語と日常語　　伝承と変容
　アイヌ文学は一人称文学か？
　アイヌ文学の系譜

第五章　アイヌ文学の歴史と現在
　アイヌ文学の研究史
　アイヌ文学の現在

アイヌ語表記の原則
注
あとがき

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