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密教の神々―その文化史的考察


密教の神々―その文化史的考察

 仏教の中の密教に登場する神々について、解説した本です。
 一九七九年に出た本ですが、内容は、古びていません。

 本書と、まったく同じ内容の本が、平凡社ライブラリーの文庫本に入っています。
 二〇一四年現在では、そちらのほうが、入手しやすいでしょう。

 密教には、おおぜいの神々が登場します。おおぜいい過ぎて、普通の人には、何が何だか、わからなくなりがちです(^^;
 本書では、それらの神々のうち、月天【がってん】、観音、聖天【しょうてん】、および、数々の明王について、解説されています。

 特に、月天と聖天については、本書ほど詳しく解説している資料は、少ないです。月天や聖天を知りたいなら、本書を読むことを、強くお勧めします。

 密教の神々は、古代インドの神々が、仏教に取り入れられたものです。月天も、聖天も、観音の一部も、多くの明王も、そうです。
 しかし、起源をさかのぼると、古代インド以外の文化の影響もあるものが、少なくありません。
 本書は、古代インド以外の文化にも、目配りが利いています。広く、深く、神々の起源を探っています(^^)

 本書で取り上げられているのは、密教の数多い神々のうちの、ほんの一部です。
 とはいえ、密教の神々について、日本語で書かれた、貴重な資料です。密教を知りたいなら、読んでおきたい資料ですね。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

まえがき

第一章 月天【がってん】
 第一節 薬師如来
 第二節 方法
 第三節 月と兎
 第四節 月と水
 第五節 不死の霊液
 第六節 豊饒の女神
 第七節 呪術から宗教へ

第二章 観音
 第一節 観音とはなにか
 第二節 観音の功徳
 第三節 観音のセックス
 第四節 観音の持物【じぶつ】――団子
 第五節 観音の持物――蓮華
 第六節 女神としての観音
 第七節 女神
 第八節 補陀洛【ふだらく】

第三章 聖天【しょうてん】
 第一節 聖天信仰の伝来
 第二節 聖天とはなにか
 第三節 聖天の功徳
 第四節 聖典にみられるガナパティ
 第五節 誐那鉢底【がなぱてい】の持物【じぶつ】
 第六節 ガナ・サンガ
 第七節 象頭と騎鼠
 第八節 象族と鼠族
 第九節 双身【そうしん】毘那夜迦【びなやか】

第四章 明王
 第一節 怒れる神々
 第二節 明王の意味
 第三節 呪文の王者
 第四節 成就法
 第五節 大威徳【だいいとく】明王
 第六節 明王の史的背景
 第七節 ダモーダランの所説
 第八節 軍荼利【ぐんだり】明王

索引



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