見出し画像

リヒテンシュタイン物語


リヒテンシュタイン物語

 リヒテンシュタイン侯国【こうこく】という国を、御存知でしょうか? たぶん、聞いたことがない人のほうが、多いと思います。

 この国は、スイスとオーストリアとの間にある、小さな国です。日本の小豆島【しょうどしま】と、同じくらいの大きさしかありません。人口は、約三万五千人です。

 こんな小国なのに、リヒテンシュタインには、とてつもない宝があります。
 ヨーロッパ美術の精髄を集めた、美術品のコレクションです。この国を治める、リヒテンシュタイン侯爵【こうしゃく】家が所有しています。
 そのコレクションには、ラファエッロ、ルーベンス、ヴァン・ダイク、レンブラントなど、綺羅星のごとき作品群が含まれます。

 これだけを書くと、「お金持ちの王侯貴族が、道楽で美術品を集めているのね」としか、思われないでしょう。

 確かに、道楽といえば道楽ですが……リヒテンシュタイン侯爵家は、それらの美術品を、ただ私蔵しているのではありません。
 「人類の宝を預かっている」という責任感を持ち、幾多の危機を乗り越えてきました。

 そのリヒテンシュタイン侯爵家について、池田理代子さん―『ベルサイユのばら』の作者さんですね―が、漫画化した本です。

 日本語で、リヒテンシュタインを紹介した本は、ごくわずかしかありません。
 本書は、そのごくわずかな例の一つです。

 とりあえず、リヒテンシュタインについて知りたい方は、本書を読むのが、一番、手っとり早いでしょう。
 漫画の部分が多いので、とても読みやすいです。文章の解説もあります。

 個人的には、あっさりし過ぎていて、もの足りなく感じるところもありました。
 でも、初心者が読むなら、このくらいでいいのかも知れません。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

漫画 リヒテンシュタイン物語

すぐれた美術品は人類の遺産  池田理代子・文

リヒテンシュタイン家の歴史
カール1世
カール・オイゼビウス1世
ヨハン・アダム・アンドレアス1世
ヨーゼフ・ヴェンツェル
ヨハン1世
ヨハン2世
フランツ・ヨーゼフ2世
ハンス・アダム2世

リヒテンシュタイン侯国の「いま」



この記事が参加している募集

#読書感想文

191,569件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?