黄泉【よみ】の女―トゥ・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド
これは、画集です。四十四枚の絵が載っています。読むというより、観る本です。
画集ですから、載っている絵が好みかどうか、がすべてですね。私にとっては、好みの絵ばかりでしたので、評価するなら、五つ星です。
どんな絵が載っているかといいますと、神秘的な絵、退廃的な絵、耽美的な絵です。
そういった絵が好きな方に、お勧めです(^^)
唯一の例外(後述します)をのぞき、すべての絵に、女性が登場します。男性が一緒に描かれていることもあります。
女性は、人間とは限りません。女神だったり、妖精だったり、怪物だったりします。
どんなキャラクターが描かれているか、例を挙げてみましょう。
ギリシャ神話に登場する怪物、スフィンクス。グリム童話に登場する女性、ラプンツェル。アーサー王伝説に登場する魔女、モルガン・ル・フェイ。キリスト教における最初の女性、エヴァ。シェイクスピアの『夏の夜の夢』に登場する妖精たち。
その他、ローマ神話の女神プロセルピナ。誰ともわからぬ、媚薬を調合する魔女。嵐や夜や眠りを擬人化した女性。地獄の死者の上を飛び回るサタン。などなど。
女性が登場しない、唯一の絵があります。アルノルト・ベックリン作「死の島」です。
なぜ、この絵が、『黄泉の女』に載せられたのでしょう? 本書の解説に、大きなヒントがあります。
本書は、二〇一〇年現在、古本でしか入手できないのが、残念です。
同じ出版社から出た、似た系列の絵を集めた画集『水の女』のほうは、復刊されています。『黄泉の女』も、復刊して欲しいです。
『水の女』がお好きな方なら、たぶん、本書も気に入るはずです。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
なお、本書では、"Night with her Train of Stars"という絵の題名を、「夜と星の列車」と翻訳しています。が、どう考えても、この翻訳は、誤解を招きます。
個人的に「夜が星を引き連れて」という翻訳が気に入っていますので、こちらの訳にさせていただきました。
Love and Life(愛と生)
Wounded Angel(傷ついた天使)
Punishment of Lust(淫蕩の罪)
Night with her Train of Stars(夜が星を引き連れて)
解説 滝本 誠
掲載絵画一覧
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?