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菩薩―仏教学入門 (東京美術選書 (30))


菩薩―仏教学入門 (東京美術選書 (30))

 仏教には、いろんな仏さまが登場しますよね。
 それらの中で、「○○菩薩」と呼ばれるものを、解説した本です。

 正確には、菩薩【ぼさつ】とは、仏さまではありません。仏【ほとけ】とは、「悟りを開いた存在」だからです。
 菩薩とは、「もう悟りが開ける状態なのに、自分の意志で、わざと、その手前の状態でとどまっている」人を指します。

 なぜ、わざわざそんなことをするかと言えば、自分だけでなく、他の人をも救うためです。自分だけ悟りを開いて救われることを、良しとしないのですね。
 そして、この世に悟りを開けない人が、一人でもいる限り、この世にとどまって、救おうとし続けます。

 こんな人は、普通の人から見れば、仏も同然ですよね。
 このために、菩薩は、仏と同様に、人々の信仰の対象になりました。

 観音菩薩、地蔵菩薩、文殊【もんじゅ】菩薩、普賢【ふげん】菩薩、弥勒【みろく】菩薩など、仏教には、多くの菩薩がいます。これらの菩薩について、本書には、ていねいな解説が載っています。
 薬王【やくおう】菩薩、大随求【だいずいく】菩薩など、あまり知られない菩薩も、紹介されています。

 「○○菩薩」について知りたいなら、まず、本書を読まれるとよいでしょう(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

菩薩とはなにか
 菩薩とはなにか
   菩薩の意味  菩薩のおこり  菩薩道と大乗仏教  インドの菩薩像の変遷
   など

観音【かんのん】総論
 観音
  尊の名称  尊の成立  尊の役割とその分化  観音の浄土  中国の観音信仰
  など

観音各論
 聖(正)【しょう】観音
  名称と意味  聖観音の形像  観音の性別
 十一面【じゅういちめん】観音
  尊の成立  尊の役割  形像の特徴  信仰の伝来と発展
 不空羂索【ふくうけんじゃく】観音
  尊の成立  尊の役割  形像の特徴  信仰の伝来と発展
 千手【せんじゅ】観音
  尊の成立  尊の役割  形像の特徴  信仰の伝来と発展
 馬頭【ばとう】観音
  尊の成立  尊の役割  形像の特徴  信仰の伝来と発展
 如意輪【にょいりん】観音
  尊の成立  尊の役割  形像の特徴  信仰の伝来と発展
 准胝【じゅんてい】観音
  尊の成立  尊の役割  形像の特徴  信仰の伝来と発展
 六観音
  七観音と六観音  天台の六観音  真言の六観音  六観音信仰の変化
 三十三身と三十三観音
  観音変化の諸相  法華経普門品【ふもんぼん】の三十三身  三十三観音

弥勒【みろく】
 弥勒
  尊の名称  兜率天【とそつてん】と龍華【りゅうげ】三会【さんね】  形像の特徴
  など

文殊【もんじゅ】
 文殊
  尊の名称  尊の成立  諸経典に説く文殊  形像の特徴  文殊信仰の発達
  など

普賢【ふげん】
 普賢
  尊の名称  形像の特徴  法華経と普賢  普賢の十願  普賢信仰の発達
  など

虚空蔵【こくうぞう】
 虚空蔵
  尊の名称  形像の特徴  初期の虚空蔵信仰  虚空蔵求聞持【ぐもんじ】法
  など

地蔵
 地蔵
  尊の名称  尊の役割  奈良時代の地蔵信仰  天台浄土経と地蔵信仰
  など

その他の菩薩
 大勢至【だいせいし】
 龍樹【りゅうじゅ】
 日光・月光【がっこう】
 薬王【やくおう】・薬上【やくじょう】
 転法輪【てんぽうりん】
 大随求【だいずいく】
 持世【じせ】
 香王【こうおう】
 馬鳴【めみょう】
 般若【はんにゃ】
 五大力【ごだいりき】

あとがき
参考文献



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