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アメリカ先住民の日々―バッファローが疾駆した世界

アメリカ先住民の日々―バッファローが疾駆した世界

 これは、かつてのアメリカ先住民の生活ぶりを、再現した本です。いわゆる、アメリカ・インディアンと呼ばれる人々の生活ですね。
 アメリカ大陸に、ヨーロッパ人が来る前、あるいは、来て間もないころの生活が、小説仕立てで、描かれています。

 一口にアメリカ先住民といっても、その生活ぶりは、多様です。おおむね、部族ごとに、固有の文化があります。

 この本では、合計二十以上の部族について、描かれています。地理的範囲で言いますと、アラスカの北極圏から、メキシコ南部の熱帯雨林にまで及びます。
 これほど、自然環境が多様ならば、そこでの暮らしも、多様なのは、当然ですね。

 北米の先住民の文化を知りたいなら、この本は、とてもお得です。
 一冊、読み通せば、「北米の先住民について、大まかには知っている」といえる状態になるでしょう。北米の北端の部族から、中米の部族まで、ほぼ、まんべんなくカバーされているからです。

 この本の厚さに、めげそうになる人がいるかも知れません。
 でも、大丈夫です。この本は、短編集のようなものです。一つ一つの部族に関する部分は、短いですし、小説仕立てなので、読みやすいです。

 とりあえず、自分の興味がある部族のところだけ、拾い読みしてみるのも、いいですね。
 その場合でも、「まえがき」と「序文」は、先に読みましょう。そのほうが、内容を理解しやすくなります。

 この本は、「注」が充実しています。ぜひ、「注」まで読んで下さい。理解が、三倍増しくらいになります。

 興味がある部族の部分を読み終えたら、その近隣の部族の部分を読むといいです。一つ一つの部族について、理解が深まります。
 近隣の部族は、章ごとにまとめられています。「(北米)中西部の部族」といった具合です。章ごとに読めば、その地域の先住民について、わかるようになっています。

 以下に、この本で語られている、主な部族の名称を、挙げておきますね。

第一章 北米の平原部の部族
     クロウ族
     ブラックフット族
第二章 北米の中西部の部族
     メノミニ族
     ウィニベゴ(ウィネバゴ)族
     メスクワキ族
第三章 北米の東部の部族
     モンターニェ族
     イロクォイ族
     レナピ族(デラウェア族)
     タルサ族(マスコギ族の一派)
第四章 北米の南西部の部族
     アパッチ族
     ナバホ族
     ズニ族
     ハバスパイ族
     モハベ族
第五章 メキシコの部族
     テペカーノ族
     トラウィカ族
     アステカ族
     マヤ族
     トルテカ族
第六章 北米の太平洋岸の部族
     貝塚人(シェル・マウンド・ピープル)
     ユーロク族
     ヌートカ族
第七章 北アサバスカの諸族(アラスカとカナダ西部の部族)
     チプウィアン族
     テナッ族
第八章 イヌイット

 なお、以下のような単語に興味がある人も、この本を読むと、いいと思います。

 スウェット・ロッジ(スウェット・ハウス)、メディスン・マン、ポトラッチ、アステカ文明、マヤ文明、ウィンディゴ(ウェンディゴ)、シャーマニズム、などです。



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