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本、物語、詩

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#児童文学

「詩は十月の午後」

今まで、詩がわからないなと思って生きてきた。
それでも好きな詩歌の幾つかはあって、ならばわたしのなかには、何らかの詩に対する好みというものがあるはずだ。その「何らかの好み」がどういうものか、自分なりの詩の良し悪しを、そろそろ本腰を入れて培いたいと近頃思うようになった。
それは、世の詩歌をもっと味わってみたいからでもあり、自分でもつくってみたい――正確には、自分で作ったものに対する、自分なりの評価基

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「もう子どもじゃないって思ったときって、いつだった?」

「もう子どもじゃないって思ったときって、いつだった?」

石井睦美『卵と小麦粉それからマドレーヌ』

たまたま手に取った栞が、ピュアフル文庫の(今ではポプラ文庫ピュアフルだが)、『卵と小麦粉それからマドレーヌ』のこの台詞が書いてあるものだった。
(わたしは文庫本に挟まっていたり本屋さんで貰ってきたりする紙の栞を、お菓子の缶に溜めこんでいて、もはやくじ引き状態になっている。
この栞はよく見たら「1周年フェア」というマークが入っているから、ずいぶんな年季物だ

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魔女になる

魔女になる

梨木香歩『西の魔女が死んだ』

小さい頃から魔女になりたかった。
図書館の児童書のコーナーで、タイトルに「魔女」や「魔法」とつくファンタジーを端から読んでいた。
(そうして得た、かけがえのない本との出会いが幾つもある。『魔女の友だちになりませんか?』から始まる村山早紀〈風の丘のルルー〉シリーズもその一つだ)

今でも、不思議な薬を作ったり、おまじないをかけたりするような魔女が、どこかにいないとは言

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十一月は、扉がひらく

高楼方子『十一月の扉』

晩秋が好きだなあと感じるのは、この本の影響が大きいと思う。
現在は青い鳥文庫からも刊行されています。秋の終わりに、ぜひどうぞ。

* * *

木立に囲まれた赤茶色の屋根の家、十一月荘。
ナナカマドの朱に囲まれて、十一月のはじめにその家と出会い強く心を惹かれた爽子は、二学期が終わるまでの間、十一月荘に下宿することになる。
そこで爽子は、物語を綴りはじめることに……。

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