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第5話 『ヤケちゃうなぁオセロッチ!それぞれのバレンタイン!』

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      ☆白黒★オセロッチ!

第5話 『ヤケちゃうなぁオセロッチ!それぞれのバレンタイン!』




(オセロッチのバレンタイン!?どうなる??)




終業を告げるチャイムはとっくに鳴り終わっていた。
夕日もすっかり暮れてあたりは薄暗い。

時計の針は午後5時を指そうとしている。

放課後まで一応粘ってみたが、
カヲル子ちゃんはおろか、
誰からもチョコを貰えなかったオセロッチはあきらめて帰路についた。


「(まあ仕方ないよなー。カヲル子ちゃんは学校1の人気者だもん。)」


オセロッチは落ちていた空き缶をカンコロコーンと蹴飛ばした。

そしてこぶしを握り締めて寒空に向かって大声で叫んだ。


「ぼくはオセロ少年オセロッチ!チョコチップなんかより白チップ黒チップだ!オセロの勉強がんばるぞー!」




「じーっ」




周りを気にせず大声を出すオセロッチの背後からじとーっとした視線を感じる。


「だ、誰!?」



「なんでこんな時間に帰ってるんだよオセロッチ!」



後ろにいたのはユメちゃんことユメ子だった。



「なんだユメちゃんか・・・」



ユメちゃんはほっぺたをふくらまして


「なんだとは何よ!」


と言った。



「ちぇッ、なんだか恥ずかしいところを見られちゃったな。」


オセロッチは照れくさくて、
かゆくはないが頭の後ろをぽりぽりとかいて、
また前を向いて歩きだした。


後ろからユメちゃんがついてくる気配がある。



「・・・別に恥ずかしくないじゃん」



「え?」


ユメちゃんは落ちていた空き缶をカンコロコーンと蹴飛ばした。


「好きなことを、とことんがんばるってスゴいじゃん!」



オセロッチは虚を突かれたような顔をした。


「オセロッチどうせ誰からもチョコ貰えなかったんだろ!」


「う、うるせーやい!」


図星だったので焦るオセロッチ。


ユメちゃんはランドセルの中から赤いリボンのついたピンクの包装紙で巻かれた箱を出してきた。


「な、なんだよ・・・。」


どぎまぎするオセロッチ。


「0個だったらかわいそうだからあげる!別に作り過ぎただけだからな!あたしの手作りだからおいしくないかもだけど!」


ユメちゃんは赤くなった鼻をこすった。


オセロッチは顔が赤くなった。


「あ、ありがと・・・」


なんとなく気まずくなったユメちゃんは、
落ちていた空き缶をカンコロコーンと蹴飛ばした。


「・・・ところで、なんでユメちゃんはこんな時間にこんなところにいるの?」


「!!」


ユメちゃんは身体の芯から冷えていたが、
顔は真っ赤になった。


ユメちゃんは落ちていた空き缶をカンコロコーンと蹴飛ばし、全速力で走りだした。


ユメちゃんは立ち止まり、
ぽかんとするオセロッチに向かって、べーっと舌を出した。


「ばーーーかッ!!」


オセロッチはしばらくあっけにとられていたが、
落ちていた空き缶をカンコロコーンと蹴飛ばし、
前を向いて歩きだした。


「♪~」



(つづく!)










(よかったな!オセロッチ!次回はまたオセロバトルだ!!)


次回 ☆白黒★オセロッチ! 第6話 『魔性の女 オセロレディ登場!オセロッチ骨抜きにされる!?』


☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラから

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