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子育て世代の住まい選び 〜ストレスフリーの家事育児を目指して〜

 子育て中の住み替えは大きなイベントとなります。結婚当初と比べるとはるかに荷物が増えているし、そう何度も引っ越しができるわけではありません。子供の通園・通学についても考慮しなければなりません。

 賃貸か持ち家か、マンションか戸建てか。間取りは?立地は?通勤時間は?考える要素が多くありすぎて、すべてを理想通りに叶えることは不可能なので、各家庭事情に合わせて優先順位を付けていくことになります。

 子育て中の住まい選びでは、家に長くいる人たち、つまり子供とその主たる保育者が安全、快適、ハッピーに過ごせることを第一に考えることが大切です。筆者は、不動産屋でも建築家でもないただの素人ですが、幼少期から間取り図の掲載された住宅チラシが好きで隅々まで熟読していました。その間取りの意味は何なのか、どのような生活になるのかを想像するのが好きだったのです。実際に、20年前の実家の建て替えと、3年前のマイホーム建設では、自身も間取り設計に関わりました。最近では一般向けのフリーソフトもあるので、気軽に設計を楽しむことができます。

 そこで、自身の二度の家づくりの経験をふまえて、子育て期に「安全、快適、ハッピーに暮らす」ことをテーマに、住まい選びで優先したいポイントを挙げてみたいと思います。

ポイント1 水回りがまとまって配置していること

 子育て中の住まい選びで最も優先したいポイントが、家事動線の良さです。特に水回り(台所、風呂、洗面所、トイレ)が近くにまとまって配置していることが重要です。
 家に小さな子供がいると、台所で洗い物をしている途中に子供をトイレに連れて行ったり、トイレの後にシャワーで洗い流したり、入浴の手助けをしつつ料理を進めたりと、さまざまな家事育児を同時並行で進めることになります。そして家事育児の場のほとんどが水回りであり、これらが互いに離れていると日々の生活の大きなストレスとなり得ます。間取り図を見るときは、水回りの配置、互いの位置関係をチェックされることをお薦めします。

ポイント2 玄関周りが広いこと

 乳幼児を育てている間、玄関ではベビーカーの乗せ降ろしをしたり、よちよち歩く子供が出入りすることになります。玄関やアプローチは、段差が少なくゆとりのあるスペースが必要です。
 マンションの場合は、共用玄関から個別玄関までのスペースを確認しておくと良いでしょう。毎日のお出かけ時、帰宅時の安心感が大きく違ってきます。

ポイント3 平屋住宅>マンション>2階建て住宅

 小さな子供がいる場合、家の中の階段や段差は少ないほど良いです。その理由は、①安全面②家事動線の二点が挙げられます。当然、階段が少ないほど怪我のリスク、面倒な移動が減少します。
 この観点でベストなのは平屋住宅ですが、現実問題としてなかなか難しい場合が多いと考えられます。戸建て住宅にこだわらないのであれば、ワンフロアですべての用事が済ませられるマンションは魅力です。したがって、2階建て住宅は個人的には3位になると捉えています。
 ちなみに、都市部で見られる3階建て住宅は、乳幼児の子育て期においては生活しづらく感じるかもしれません。「ポイント1」で述べた、水回り設備が別フロアに分かれていたり、階段が多いことによる事故も懸念されるからです。子供が小学生になり、身の回りのお世話がだんだん必要なくなっていけば、階段の問題は少し小さくなるかと思います。

ポイント4 家の中で死角となる場所が少ないこと

 一日中、家事をしながら子供の相手や見守りを続けることは、とても神経を使い、疲れる作業です。特に子供が1,2才の頃は、本人の危機感もなく動き回るので、気付いたら驚くほど危険な行動をとっていることもあります。とはいえ、常に親がついて回ることも現実的ではありません。
 そこで、子供が自由に動き回れるスペースが、台所など親の家事スペースから見渡すことができれば、家事と子守りの両立がしやすくなります。日中、主に過ごす部屋がLDK(リビング・ダイニング・キッチン)であれば、それら全体の見通しが良く、死角が少ない設計のものが良いでしょう。

 子供の成長に一喜一憂しながら毎日を過ごす住まい。何を優先したいと考えるかは各家庭の価値観によると思います。上記に挙げたポイントは一例ですが、慌ただしい毎日において、家の中の環境を整えることでなるべくストレスを減らし、親も子供も笑顔になれる時間を増やせたらと思います。

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