日仏デザイン論 ~ 教育アニメにおける日仏デザインの違い
今日はフランス人同僚と話していて面白かった、アニメーションデザインに関する話題を取り上げたいと思います。
その同僚曰く、
「日本のアニメは素晴らしいとよく言われているけれど、子供向け教育アニメは特に素晴らしい。
何が素晴らしいかって、作画はもちろん、教育・道徳的要素を散りばめながらストーリーとしてあれだけ子供の興味を引くことができるなんて!!そういう親が進んで見せたいアニメの番組って、フランスにあまりないんだよね」
たしかに彼の言うように、フランスの教育アニメ番組…と聞いてあまりピンと来るものがなかった私。
どんなものに対して彼らが興味をもっているのか、少し突っ込んで聞いてみました。
フランス人が感動する日本の教育アニメ
宮崎駿やドラゴンボールはグローバルアニメと呼んでも良いほどに海外でもポピュラーですが、特に同僚が感動していたのはNHKを始めとする教育番組アニメーションのレベルの高さでした。(彼は日本人の奥様がいるので、日本の番組にも精通している)
たしかに私が子供の頃、そして今現在も、日本の教育番組のクオリティの高さは目を見張るものがあります。
例えば現在ではEテレのピタゴラスイッチはまさにその一例でしょう。大人が見ても楽しく、親子で見れるのも高ポイントですね。
また、同僚がいたく感動していたのがこちら「テキシコー」。プログラミングをテーマに子供にも分かりやすくアニメーションを使って説明されています。たしかに、こんな番組は海外では見たことがありません…
フランスの代表的なアニメって?
逆に私から同僚への質問として「じゃあフランスアニメの代表的なものって何?」と聞いてみたところ、例えで出てきたのがこのアニメでした。
「Chapi Chapo」というパペット達が、可愛い音楽と共に様々な悪戯をしかけていくショートアニメ。カラフルな色使いやユーモアあふれるキャラクターなど、随所にフレンチエッセンスを感じることが出来ます。ちなみにこの音楽はフランス人なら誰でも分かるくらいポピュラーなのだそう。たしかに耳に残りますね。
近い雰囲気のアニメでは、日本でも有名な「バーバパパ(Barbe à papa )」があります。これも実はフレンチアニメの1つ。仏語で Barbe à papa は元来「パパのひげ」そして「綿菓子」のことを指すそうです。
バーバパパもまた、Chapi Chapoに通じるようなテーストで見るだけでハッピーな気持ちにさせてくれます。
一方、Chapi Chapoとバーバパパ共通して言えるのは、彼が言うようにストーリーに関してはあまり重要視されておらず、雰囲気や色彩・音楽のテンポで楽しむアニメというポジションです。
もう一つ上がったのは「キリクと魔女キリク(Kirikou et la Sorcière)」というアニメーション作品です。アニメでヒットが生まれないフランスで、歴代興行収入第1位を獲った伝説的アニメと言われています。2003年ジブリ監修の元、日本でも上映されているので記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。
内容としてはアフリカを舞台にしたファンタジーで、独特の色彩と繊細な作画センスによってアーティスティックな世界観が描かれています。ストーリーには分かりやすい教訓的要素も含まれている一方、 内容が小学校高学年〜大人向け、かつビジュアル的にも幼少期の子供が見たがるテーストとは言い難そうです。
確かにこうして比較して見ると、同僚の「子供に見せたいちょうどいい教育アニメがない!」と言っていたのも頷ける気がします。
個人的、フランス人に勧めたい日本の教育アニメ3選
最後に、こういったニーズ背景を踏まえ、まだフランス人が知らない日本アニメーションの中で「こういうのフランスでやったら人気でるのでは?」と感じた超個人的オススメを3つ挙げたいと思います。
1. NHK 「だじゃれDE○〇〇」シリーズ
これは今でもフランス語で曜日を考える際、こっそり思い出しています。
このシリーズのように歌のフレーズに当てはめ、韻を踏みながら単語を覚えるのはとても日本的だとこちらにきて感じるようになりました。リズムがキャッチーなので、これのフランス版を出せば人気がでるのではないでしょうか。
2. ざんねんないきもの
その名の通り、「なんでそんな風に進化しちゃったの!?」と言いたくなるような、残念な動物の習慣がショートショートで描かれているアニメーション。
かなりシュールですが、動物を面白おかしく皮肉を込めて擬人化したストーリーは、フランスのエスプリにも通じるものがあると感じます。もし「フランスのざんねんないきもの」ができたら、是非そちらも見てみたいですね。
3. びじゅチューン!
またNHKからになりますが、日本はもちろん、海外の有名絵画をテーマにしたものも多く扱われています。
アニメには絵画の歴史的背景などの説明は一切ありませんが、「モナリザさんが出てくる絵画をみに、美術館行ってみる?」と誘ってみたり、キャラをきっかけに本物に興味を持てるかもしれません。
特にフランスはいたる所に有名絵画があるので、気軽に本物を見に行けるもの羨ましいところ。
これらのデザインの違いは一概に全部に当てはまるとは言えませんが、日仏デザインセンスの違いが顕著に出ていて面白いので、stayhomeのこの期間中にお試しでみてみるのはいかがでしょうか。
それではまた。
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