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作業療法士の大学病院での実際の業務

作業療法シリーズ第2回目は、大学病院での実際の業務について記録していきます。

1.臨床×教育×研究が基本

大学病院では最先端高度医療が求められるとともに、地域医療の要、育成、社会貢献として”臨床×教育×研究”の3つの機能を持ちます。

臨床

大学病院は総合病院なので、全ての診療科から依頼を受けます。
当院では月に約300件ほどの新規OT依頼が出ます。OTは約15名で、単純計算ですと一人あたり月に20名の新患を担当することになります。
依頼数が多い診療科は、整形外科、脳神経内科・外科、救急科で、その他にも呼吸器内科、消化器内科、循環器内科などの内部障害(がんを含む)系、小児科・婦人科・血液内科などの診療科からの依頼も受けます。
実際の臨床は、OT内でチームに分かれているので、所属チームが担当する病棟や診療科の患者様を担当することになります。
僕は現在は救急科、内部障害系を多く担当しています。

非臨床業務としては、病棟との朝の情報交換に行ったり、カンファレンスに参加することも重要な業務です。臨床・非臨床業務を行いながら、1日18単位以上取得することが業績として求められています。

教育

大学病院は臨床教育の場でもあるので、学生実習を積極的に受けます。基本的には付属大学の学生が多いですが、場合によっては外からの学生を受ける時もあります。
大学によって実習カリキュラムが異なりますが、1年次〜4年次全ての臨床実習を担当します。1〜2年生は主に見学、3年生から実際に患者を担当し(ケース)評価や治療計画を立案し、OTの臨床思考過程を学びます。
当院では複数のセラピストで学生を担当し、臨床参加型実習(クリニカルクラークシップ:CCS)を積極的に取り入れています。
指導者になった場合は、スーパーバイザー、ケースバイザー、メンバーの役割に分かれそれぞれの立場で学生と関わります。年間に30名以上学生が実習に来るため、必ず何かしらの役割で実習を担当することになります。

研究

多くの大学病院に勤めるセラピストは、臨床研究に力を入れています。
大学院(修士・博士)を卒業しているセラピストも多数います。
当院では、約半数のOTが大学院を出ています。(僕は大学院は出ていません)。
研究といっても、どのような形でアウトプットしていくかによってそのハードルは異なるかと思います。最もメジャーなのは学会発表で、日本作業療法学会や各都道府県士会の学会では毎年複数の演題で発表されています。
次に論文執筆ですが、国内・海外の雑誌に投稿するのは、年間1〜2本程度でしょうか。
僕個人の実績としては、2年に1回程度学会発表(ポスター・口述)はしているのですが、論文投稿はまだ一度も経験がなく、現在絶賛執筆中です(海外論文)。今後はこの研究にも力をいれていかなければと思っています。
そのためには、日々の臨床での臨床疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)を常に意識し、OTとしてのアウトカムを確立したデータベースの作成が必要だと思います。


2.チームマネジメント

臨床の項目で述べたように、当院のOT部門はチームで分かれています。
そのチームリーダーとして、マネジメント業務も担っています。
具体的には、チーム目標の設定と共有、チーム運営方針の検討、データベースの作成・管理、OT専門性の確立などを日々考えています。
まだまだマネジメントに関しては勉強中であることと、日々模索しながら取り組んでいるのが実際です。
チームのマネジメントも大事ですが、現在はOT部門全体の方向性や価値観の共有など、課題がたくさんあります。当院のOT部門は開設から15年程度と聞いているので、組織としてはまだまだ未熟だと思っています。その分、まだまだ伸びしろもあるしこれから発展させていかなければいけないと思っています。もし将来、自分がもう少し管理の立場になったときに、全てのメンバーがポジティブに、目標に向かって仕事に取り組んでいる状態が理想だと思っています。




以上、大学病院での実際の業務を紹介しました!





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