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【性教育奮闘記②】終わらない学校との打ち合わせ

保健体育教諭からの性教育無理ですメールから2週間後、A高校の学校責任者2名と直接性教育に関して話しあいをさせてもらうことになりました。

私の方でももちろん、新しい授業指導案とさらに責任者向けにバージョンアップしたパワーポイントを準備してきました。

さあ、責任者との打合せへ!


職員会議で明らかになった教員たちの性教育に対する思い

「まず、この前の職員会議でおすぎさんが提案した性教育について他の教員からでた意見についてお伝えさせてもらいます。」

学校責任者は男性の教頭先生と女性の学級主任でした。学級主任から職員会議で出た性教育に関するご意見を以下の通りにもらいました。

①養護教諭より:生徒からはあまり性に関する悩みは聞かないから、こういった内容の性教育をする必要はないのでは?選択制の授業でもいいのでは?こうった内容を取り扱って生徒たちがどんな反応をするのかが不安。

②クラス担任より:こういった内容の性教育をするのであれば、授業だけではなく事後のフォローも必要なのでは?

③心理カウンセラーより:みんな性に関する知識よりも被害に遭うことの方を心配しているからそっちの方を授業で取り扱うべき

④クラス担任より:この内容の性教育は踏み込みすぎている。現在の生徒たちは私たちが学生であった時とは違って、かなり自己肯定感が低くて承認欲求が強く、本当にちょっとした言葉で傷つき、それが保護者からのクレームになりかねない。この内容をやっていいかわからない。

まあ突然よく知らない助産師がやってきてこのような反応を先生たちがするのは無理もないことでしょう、、冷静に冷静に丁寧に返答をするしか私にできることはありません。
私は以下の通りに返答させてもらいました。

①養護教諭の先生がおっしゃる通り、性教育を選択制にする方法は生徒の自由度が増すので、良いと思います。性に関する相談がないから生徒たちが性に関する悩みがないというよりも、、生徒たちが性に関する悩みを学校に相談しにくい雰囲気になっている可能性があります。性に関する悩みは今後の人生に関わることであるから、相談して問題ないんだよと、性教育を通して伝える必要があると思います。

②授業後のフォローに関しては重要な意見です。ありがとうございます。授業後、学校側で対応しきれないことに関しては誠心誠意対処させてもらいます、いつでも相談していただければと思います。また、専門の機関も紹介することも可能です。

③私は助産師の他にSANEという性暴力被害者支援看護職の資格もあり、被害者の支援活動もしています。被害者のほとんどが性に関する知識を有していないことを加害者につけ込まれて被害に遭っているのが現状です。被害に遭わないためにも、性教育を通して性の知識を有することが何よりも大切だと思います。また、被害者がセカンドレイプを恐れ、被害を誰にも相談できていない現状もあるため、被害者に対する誤った偏見を払拭するためにも性教育が必要です。

④授業前に生徒と保護者に対して事前アンケートを実施する旨を保健体育教諭の先生方との打合せでお話しましたが、そちらはいかがでしょうか?また、保護者に関しては保護者会などで直接私から保護者に性教育の必要性についてお話することも可能ですし、クレームは学校ではなく直接私にご意見いただくよう説明もさせてもらいます。

ふうーーー、、、乗り切った。
男性の教頭先生はだんまりのまま。

女性の学級主任からは「選択制にして、もしよければ保護者も参加できる授業にしたらいいかもしれませんね。おすぎさんの望むやり方を全て通すのは難しいかもしれませんが、まずは小規模にやってみて、口コミがよければだんだん必修にしていくのもいいかもしれませんね。」
学級主任の考えはとても現実的、かつしっくりくるものでした。

「初めから大々的に行うのは確かに難しいことですよね、先生のご意見、とても良いと思います。私も先生方のご意見を聞き、色々と考えさせてもらう機会をいただけ、とても勉強になります。」
とお返事をしました。

保護者のクレームに振り回される教育現場

そして私は作り直したプレゼン用のパワーポイントと指導案を先生たちに再度見せました。
どうして性教育が必要なのか、性教育を生徒たちにどう活かしてもらうか
前回よりも直接的な表現は減らしたけど、改正した指導案を提出しました。

そしてついに教頭先生が口を開きました。

「おすぎさんの言っていることは正論です。今本校の教育現場で問題なのが、保護者からのクレーム対応です。おすぎさんが学生の時と違って、我々のちょっとした一言で生徒は傷ついてしまい、保護者から弁護士をつけて訴えると言ってくることもあるのです。昔と違って、本校の保護者はかなり過保護なところがあるので、その対応が教師にとって時間も取られ、精神的苦痛も募り、、、この内容の性教育をしたら間違いなくクレームが来て教員が疲弊します。本校の教師陣のいう、クレームが来る可能性があって、性教育をしたくないという意見も正論なんです。教育者が教育する権利がなくなっている状況、、もうこの日本という国は色々と駄目な国なのですよ、、、。

私は教頭先生のお話を聞いた時、学校の先生の気持ちを考えられていなかったな、、、と自分を罵りました。それと同時に私自身も医療現場で働いており、日々患者さんや家族からのクレーム対応をしているため、一体どの程度のクレームなのだろうか、、、とも疑問に思いました。

その日の打ち合わせは終わり、次回の職員会議の結果を後日メールでいただく運びとなりました。

まだまだ打ち合わせはつづく

打ち合わせから1ヶ月後、、学校から連絡は来ません。
打ち合わせから3ヶ月後、、学校から連絡は来ません。

A高校で非常勤で勤務している知り合いに「いつぐらいが学校的に落ち着いている時期かな?」と探りを入れました。
「今は試験期間で、、次は入試で、、3ヶ月後なら落ち着いてる!」と返信がありました。

そして打ち合わせから半年後、痺れを切らした私は学校主任へ職員会議の結果、性教育の実施はどうなったのか連絡しました。
そうしたら
「もう少しオブラートな指導案を作り直して下さい。」
とのこと、、、。

このままだと堂々巡り、、うん、もうこれは責任者だけではなく反発してくる先生の声を直接聞くしかないな、、と思い、次の行動へ出ることにしました。

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