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真面目な白木蓮

寒暖の差が激しい。
しかし例え寒い日であっても
日差しは柔らかくなっているなと感じる。

一時、冬とは思えない暖かい日が
やってきたためか、
梅だけでなく
早々に花を開いた桜を見かける。

見事に咲き誇る桜と、
それをスマホで撮ろうと
懸命になっている完全防備の人との
コントラストがなかなか面白い。

——桜が咲く イコール 春

私の脳内では単純に
そんな図式が出来上がっているのだが、
現実はそれほどきっちりと分けられたものではなく
わりと自由なんだなと、
多様性を求められる今の時代にあっているのではと
肯定的に受け止めている。

私は冬の終わりに咲く白木蓮の花が大好きだ。
寒い最中に春の訪れを教えてくれるその花が
大きく蕾を膨らませ、
いよいよ咲いた時には
——よし!春だ!!
と寒いのが苦手な私は小躍りの気分になる。

先日近所を車で走っていると、
大きな道路の両脇に定間隔で植えられた
白木蓮を見かけた。
日常的に使用する幹線道路であっても
そこに植えられた木がなんなのか
普段意識して過ごしてはおらず、
——あぁ、そうだったか
といつも新鮮な気持ちで発見している。

白木蓮の枝にはぱんぱんに膨らんだ
蕾がピンと空を向いて誇らしげにくっついていた。
時折早い木が1輪、2輪咲かしているが、
満開の木はまだ見当たらなかった。

道路が続く何十メートルもの区間
花が咲くまでの状態はどれも同じで、
場所によって日当たりも違うだろうから
気温の差もあるはず。
それでも一斉に咲くんだと言わんばかりの
似通った様子に助手席に座る私は
興味深く見入ってしまった。

今がチャンスとばかりに
さっさと咲いてしまう桜と、
暦を読んでいるかのごとく
足並みを揃える白木蓮。
木にも性格があるのだろうか。

おちゃめに咲いてしまう桜は愛らしく、
真面目な白木蓮はやはり、という信頼感がある。
人も世も変わっていく日々の中で
こうした楽しみを見つけることは
とても面白い。

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