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3060目標への道 中国での再生可能エネルギー利用本格拡大は2040年以降?

2060年のカーボンニュートラルを目標にしている中国ですが、その2060年までの発電量の構成予測を見つけたので紹介したいと思います。

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こちらは石油メジャーのBP社が公表している「Energy Outlook 2020 Edition」を基にしたデータだそうですが、2019年時点で84%ある化石燃料の発電量が2060年には22%になり、それと入れ替わるように2019年には2%の割合であった太陽光による発電量が2060年には35%になり、トップの利用率になると予測されています。

太陽光発電が化石燃料による発電を上回るのは2050年末と予測されているのですが、同グラフを見ていると、2030年末までは化石燃料の利用率は大きく減少することはなく、2040年から2060年に向けて一気に加速するという予測になっています。

この予測を見ていると、中国が掲げている「3060目標(2030年にカーボンピークアウト、2060年にカーボンニュートラル)」の実現は危うく、「3060」ではなく「4060」になりそうです。

以前紹介した中国の国家エネルギー局が発表した2020年末の発電量構成は以下のようになっていました。

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国家エネルギー局の資料では、火力発電(BP社の予測でいうところの“化石燃料”)の発電量割合が2020年末時点で67.9%なので、BP社の予測とはかなりの乖離があります。

感覚論になってしまいますが、BP社のデータにある8割というのは、いささか多めな気もしますし、国家エネルギー局のデータも再生可能エネルギーの浸透をアピールするため火力発電の割合を少なく見積もっている可能性もあるので、実際はその中間である75%くらいが火力発電の割合ではないかな、と考えています。

こちらでも何回か紹介している通り、現在、中国では再生可能エネルギー施設の建設が多くなっていますが、中国電力企業連合会のデータによると2020年に新設されたエネルギー施設の割合では、風力発電が37.6%でトップであるとされています。

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火力発電も29.5%と2位につけていますが、太陽光発電が25.3%と僅差で続いています。

その風力発電に関し、前回の記事でも触れましたが福建省・浙江省・江蘇省・山東省の4カ所が洋上風力発電の重点区域に指定されていますが、2025年までにはそれぞれ発電施設が大きく増えていくことが予測されています。

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風力発電は設備規模も大きく、土地が必要になるので洋上風力発電などに注目を集めている部分もあると思いますが、先日「日経ニュース プラス9」で見かけたチャレナジー社製の「プロペラのない風力発電機」なども面白い取り組みと思っています。

風力発電というと先ほども指摘した通り、洋上はもとより陸上においても、設備規模も大きく、資金と体力を備えた大手企業が建設、運営するものというイメージがあったのと、中国でも現状はそのようなのですが、上記のようなベンチャーが出てくるのは非常に楽しみですよね。

中国でも面白い取り組みをしているベンチャーがないか探していきたいと思います。

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