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2024年3月札幌公演 MUSICAL ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッドを観に行った話

〜はじめに〜
本ノートはネタバレの観劇感想文です
これから兵庫公演をお楽しみにされている方は十分ご注意の上ご覧ください。

はじめに(懺悔)

ジョジョの奇妙な冒険
誰もが知る説明不要の日本を代表する有名な作品であり、私でもそのタイトルと”スタンド”たる名称くらいは知っている。
しかし、私は原作・アニメ共にジョジョ未履修
主人公の名前や”ディオ”という名前すら知らない超完全ミリしらでそこまで興味も持ってこなかった私は、推しである宮野真守さんがミュージカルに帰ってくるやったー!!くらいの気持ちでしかなかったことをここに懺悔する。

ジョジョ好きの友人に誘われ、2.5次元ミュージカルでは恥ずべき”出演している俳優目当て”で最初の一歩を踏み出したことを許されたい。
そしてこの感想も、原作を(今も)知らずミュージカル版のジョジョ第一部を観た素人であることを許されたい。
※2024/3/29ソワレにミリしらで観て感動して、そのままススキノに足を運び終電まで友人からジョジョ第一部の解説をビールと共に飲み下し、付け焼き刃の知識を持って2024/3/30の千秋楽を観てきた人の感想です。

演出の感想

東京は帝国劇場での開演直前に公演中止の案内がスルッと出て、案内のタイミングと方法があまりにもナメてて杜撰で炎上してたりしましたが、、、

ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』につきまして、既にお知らせの通り、2月6日(火)~8日(木)の公演を中止とさせていただきました。〜中略〜
弊社といたしましては、弊社の本公演製作の見通しの甘さ、製作体制の不行き届きにより、お客様に多大なるご迷惑をお掛けしたこの度の事態を重く受け止め、再びこのようなことを引き起こさないようその対策を徹底して参る所存です。

https://www.tohostage.com/cancel2024_1/

開幕と同時に視界に入ってきた舞台装置はミュージカルにしてはシンプルなセット。
シンプル故に様々な形に変えることができる上、派手な演出も多く舞台装置+プロジェクションマッピング+フライングのタイミング調整はそれなりに危険でかなり大変そうだなあという印象でした。
ただステアラでぐるんぐるん回っていた身としては………本当に、初日〜8日までのチケットしかなかった方々の無念は想像しがたいです。
みんなでねぶたになってチケット燃やそ!

で、そう、飛んだんですよ。推し(宮野真守)が
話脱線しますけどね、私もう10年くらい前から早くマモライでフライングしないかなってずっと待ってたんですけど2024年にミュージカルで観ることになりました
もうここまできて飛ばないのは宮野さんフライングNGなのかな、高所恐怖症なのかなって思ってたんですけど、めっちゃ高いとこまで飛ぶやん!!

一幕ラストの演出

きっとジョジョでは有名なシーンであろう、ジョナサン邸が燃え天井からディオが落下していくシーン。
円型の舞台のそれがプロジェクションマッピングにより天井視点へ。
派手な音楽と共に真ん中にいるディオが落下してくのに合わせ、背景のプロジェクションマッピングも天井から正面視点へ移り、浮いているディオも真正面から真横になって落ちていき、照明演出のバックライトでディオが串刺しになるのをシルエットでババァーーーンと演出して一幕が降りていく。
最っ高に心が盛り上がりました
観ててめちゃくちゃ面白かったです。壮絶な最期じゃん!!(※この時点で人間やめてるので死にません)
宮野さんの腰の反りッ!!注目ッッ!!

”波紋”の演出

波紋、でいいんですよね。だって背景に波紋がいっぱい出てたから…
呼吸法だったり、太陽の光のエネルギー(?)だったり、ジョナサンのパワーの源は命の原点・生命エネルギーから引出されるパワーなんだなあって思うのと同時に、石仮面で太陽の光にさらされると灰になっちゃう吸血鬼みたいなパワーを得るディオとの対比がすごい。
波紋による攻撃の際に腕が伸びて(?)打撃を与える演出はとてもわかりやすく、漫画でもこんな感じなのかなと逆の想像ができた。

効果音

ジョジョって、効果音にすごい癖が特徴があるんですね!!
観終わった後に友人から、「ディオとエリナがキスするシーン、あそこ”ズキュウゥゥゥン”って効果音なんだよw」「波紋のカエルのやつ、”メメタァ”っていうんだよw」と教わり、ビールを飲みながらメメタァ…?となった。
翌日の千秋楽でその知識が入った状態で観ると、ちゃんとエリナとのキスシーンで『ズキュウウゥゥゥゥン!!!』ってギター鳴ってたし、カエルのとこでは『メメタァ!!』と歌われていた。すごい!気づかんかった!!笑
キスをグリッサンドで表現するのはジョジョだけ!!
きっとジョジョファンにはすぐに聴き取れる楽しい演出だったことでしょう。
知らないところでいろんなところにジョジョならではの効果音がたくさん鳴っていたんだと思う。これから観る人は効果音にも是非耳を集中させてほしい。

ねぶた

一幕でジョースター卿がジョナサンとディオに問いかけた黒騎士の物語。
その2人が二幕でねぶたとなって還ってきた(?)
ジョジョ初体験の私には、二幕は完全に置いていかれてしまって理解が追いつけなかったのが本音でして、演出や派手さで楽しんでました。
あの黒騎士たちがディオによって蘇ったんですよねきっと。
そしてあの戦闘で「魂を浄化するには殺さなくてはならないなんて…!」みたいなジョナサンの葛藤というか、心の成長的な要素があった気がするんだけど、ディオの高笑いと共にドバァーーン!!とあのねぶたがオープンされちゃあ「えっ、ねぶた…?ねぶただよね?なぜここ(劇場)に??」という気持ちで頭がいっぱいに笑
まさかミュージカルでねぶたを見れるとは思わなかった。
ジョジョのミュージカルは本当に斬新で面白すぎる。
あのねぶた、どうやって東京〜札幌〜兵庫と運んでいるんでしょうね。

ハネムーン

二幕でしばらく「ジョ〜〜ジョ〜〜〜〜」と呼んでいたジョナサンのことをハネムーンあたりから「我がボディ〜」と呼んでいたのがさっぱり「??」だったわけですが、観劇後の友人の話であそこのディオは負傷により首だけになっていたというのでやっとなるほどと。
確かにあの時ディオの首から下は真っ暗で見えていなかったけど、あれがそもそも棺桶だったということにすら気付かなかった私。
二幕は結構頭に原作ありきで想像と補完を観劇者側にゆだねる部分も多く、故に新参者は雰囲気で2人のバトルを音楽と歌と派手さで堪能するという。
いや単に私の想像力が足りなかっただけなのか。でも雰囲気で全然めちゃくちゃ楽しめました。ジョジョの世界は奥が深い。
ジョナサンとディオの決闘の果てに、ジョナサンの腕の中でディオが「こいつ…死んでいる!」というセリフでジョナサンの死を確定づける印象的なシーンで、よりにもよってエターナル・カオルが脳内でよぎりシリアスな2人のラストを真剣に受け止めなかった私を許してほしい。し、死んでる………

キャスト感想

ジョナサン(松下優也・有澤樟太郎)

比較して見たくて、有澤ジョナサン(3/29)・松下ジョナサン(3/30)を堪能。
有澤ジョナサンはより意志が強く、松下ジョナサンはピュアな少年のような印象。
ジョナサンって、本当心が純真で幼少期の頃から紳士で、ディオの存在のせいでああも強くならざるを得なかった子なんですね…良くも悪くもディオから様々な感情とパワーを引きずり出されている子。
どんな地獄でも、変わらず星を見続けられる子。
特に愛犬ダニー(走ったり近寄ってクゥ〜ンしたりの演出、お見事でした)と仲睦まじく唯一の心の拠り所としていた幼少期のジョナサンは可愛かったです。
でもダニーを焼却炉に生きたままINはまじディオ許せないからね!?!?!?!?
ダニーの最期がジョナサンとディオのそれよりも何故か群を抜いてド派手な死に様で、悲しみの前に炎やべえ!!って感想になっちゃったけど。
冷静に思い返すと人のやることじゃない。人間やめる前から非道すぎるんだが。ディオ絶許。
エリナとの初恋、キャッキャウフフしてる2人も見ててこちらがちょっと恥ずかしくなるくらいピュアッピュアで良かった。
有澤ジョナサンも松下ジョナサンも、清水エリナさんとのデュエットがほんと〜〜〜にきれいでうっとり聞き惚れました。

ディオ(宮野真守)

憎き父の亡霊に囚われすぎでは?????
コトあるごとにすぐ「♪ディオディオディ〜〜オ〜〜〜」って出てくる故・父ちゃんに苦しめられる宮野ディオ。
まぁディオにとっては愛する母をボロボロにして死なせて、その後もなお「(愛する母の)服を売って酒買ってこい」と暴れるクソ親父にプッツンするディオの生い立ちもわからないではないけれども、ジョナサンと初めて会った早々にワンチャン蹴り飛ばすのは極悪人です!!!!(そこ?)
馬車から飛び降りてくるシーンは「脚5メートルあるなあ」と思いながらいつかのマモライでハイキックしている姿を思い出しました。いつだっけ。
ジョナサンに精神的苦痛を与える天才。
エリナに対し「ジョジョとのキスはまだか…?」と甘く問いかけるシーンは私の鼻の穴が大きくなりました。
闇落ちしていく様が本当に素晴らしかったです。「人間をやめるぞ」の歌い上げは腹の底からゾクゾクしたし、石仮面を装着して落(堕)ちていく姿はさながら第六天魔王……(すぐに違う何かと重ねるな。悪い癖だ。)

何かとジョナサンの優位に立ちジョースター家の何もかもを奪おうとしているのに、ジョナサンの真っ直ぐな光と綺麗な血への劣等感は拭うことができず、結局自ら泥ばかり見ていたような…あの親の血が自分の体を巡っていることそのものが許せなかったんだよなあ。でもねディオ…きっとディオにも星である何かを見つけられたはずなんだよ……

エリナ(清水美依紗)

綺麗な歌声〜〜〜〜!
ジョナサンも含めみなさん歌は高音が多くすごいなあと思っている中で、透き通るような綺麗な歌声。ジョナサンとのデュエットもとても綺麗。
ディオにキスされた後、敢えて泥水で口を洗うエリナ気高すぎません?
ディオにあれ以上ない侮辱のダメージ。あのシーンでエリナがいかに気高く芯の通った強い女性であることがよくわかった。
でもそのせいでジョナサンとギクシャクしてそのまま遠く離れてしまうところもその年齢っぽさもありわかる…
7年後、ああいう形でジョナサンと再会するわけだけど、心が通じ合っていた期間は長かったのかもしれないけど、ハネムーンであの悲劇に遭ってしまったのなら実際ジョナサンと一緒に過ごせた時間って結構短くないか??
それでもジョナサンを生涯愛し抜いたのかと思うとその純真さにまたやられてしまうね…いい女よエリナ…

スピードワゴン(YOUNG DAIS)

一幕開演、いきなりおじいちゃん出てきた。
あぁこの人がストーリーテラー的な人なのね、と思いながら観ていると、途中から顔マスクを引きちぎって若返り、要所要所ラップで物語を語り紡いでいく。
その名をスピードワゴンさん。
ミュージカルでラップを聴くことになるとは夢に思わず、そして普段聞かない音楽ジャンルのためきっと大事な物語の説明をしてくれているんだと思うんだけれど頭に入ってこない。ものすごく集中して聞いた気がする。(2日目はだいぶ頭に入った)
しかし質の良いHIPHOPミュージシャンのラップを聞けるなんてこの先にもないことなのでとても良かった。
物語を紡ぐ役柄のせいか、ずっと出ずっぱりで可愛かった。
ジョースターさああぁぁぁん!!」「ツェペリさあああぁぁぁぁぁん!!」と幾度となく悲劇と直面し、膝を崩しては涙して、無力だと嘆いて、全てを受け止めて、前に進むスピードワゴンさん。
ツェペリさんの帽子をかぶってちょこんと出てきた時には愛を感じた。
がんばれスピードワゴン。忘れないぜスピードワゴン。

ウィル・A・ツェペリ(東山義久)

廣瀬さんの方は残念ながら機会があわず東山ツェペリさんを2度堪能しました。
ツェペリさんは、波紋をジョナサンに伝授して黒騎士と共に派手に散っていった方…というスピード感だったんですよミュージカル。
なんかワインを持ってた気がする。
ジョナサンに波紋だけでなく大事なことをたくさん伝えていったんだと思うんだけど、それよりも波紋の演出や音楽がド派手でそちらに意識がいってしまい記憶に残らない結末。私の頭のキャパが少なくてすまん。

切り裂きジャック/アーチャー警部(河内大和)

あのジャックと警部が一人二役だとはプログラムを見るまで知らなかった。(すみません)でも、思い返せば確かに同じ人だったわ。声同じだったもん。
ディオが切り裂きジャックやワンチェンにどういう意図で、どういう感情を持って近づいたのか、そしてディオの何にそこまで惹かれ心酔したのか、短いあの歌の中で感じ取るしかなく、ついていくのにいっぱいいっぱい。
札幌千秋楽で切り裂きジャックが馬を切り裂いて出てくるシーンでコケちゃったところで「あっ」と思ってたら、後でディオが「馬からコケちゃってたじゃぁ〜〜ん♪」ってジャックに絡んでて面白かった。
悪役3兄弟の薄暗い中で唯一会場に笑いが起きなごんだ可愛いシーンだった。

ワンチェン(島田惇平)

二幕開演直後のコンテンポラリーダンス的な身体表現。あれっジョジョに森山未來出てたっけ?って思ったわよ。
いやもう本当、会場の全員が彼に釘付けでした。
島田惇平さん、プログラムをよく読むと森山未來他に師事を受けた方であった。なるほどそりゃ”私が育てました”の顔が見えるわけだ……
ワンチェンの動きがとにかく美しくて、たぶん今回のキャストの中で唯一?の東洋人っぽいんだけどあの華麗な動きがよりワンチェンのキャラクターを際立たせていたように思う。
ワンチェンの背中にディオ在り。

ジョースター卿(別所哲也)

歌、うま〜…
紳士の中の紳士。その優しすぎる人の良さと人を見る目の無さ。
ブランドー家に情けをかけたが為にこの2人の少年と末代までの冒険が始まっちゃったんですよね??
ディオの父ちゃんのことを理解した上で結婚指輪を渡しているところを見る限り、ディオに盛られていることを知りながら受け入れて薬を飲んでいそう。
ジョナサンとディオに問いかける”星か泥か”、ジョースター卿が歌う歌は重くずっしりとかつわかりやすく耳と心にスッと入ってきました。とにかく聞きやすい……
ジョースター卿のおかげでこのミュージカルの核心部分を、原作知らずのジョジョ初体験観劇者にもきちんと理解できる構成。素晴らしい。

ジョナサンとディオ

この2人は善と悪とか光と闇とかそういうよくある対ではなくて、うん…やっぱり星と泥が一番しっくりくる。別で言うなら生と死か。死んでなお一番生に執着しているのディオですけどね。
あそこまでわかりやすく何度も”星”と”泥”を歌にもセリフにも登場させジョナサンとディオを強く印象付けていたし、やっぱり星と泥か。
ジョナサンもディオも「星」と「泥」を歌っているし、エリナは「星」を歌っていたし、、、あ〜〜エリナはジョナサンにとっての輝く一等星だったのかもしれない……そうか…
正義は見る角度により異なり、ジョナサンにもディオにも己の中に一本太い芯がある。
ジョナサンの貫く正義とディオの貫く正義は表裏一体だったのね…ジョナサンとディオは2人で1つ。(物理的にも)
ジョナサンはプロセスを大事にするし、ディオは結果が全てだと思ってる。
ジョナサンは持つ者であり星に手を伸ばせる人。
ディオは持たざる者であり泥しか見えていない人。
黒騎士が牢獄で最後に見ていた景色は足元の泥か?頭上の星か?の問いに、ディオが即答する「泥を見ていた」、ジョナサンが希望を捨てずに答えた「星を見ていた」、本当は自らどちらでも選べるし、どちらをも正解にすることができる…深い………まあ、本ミュージカルではその答えはねぶたであったわけだけれども(違います
でもまぁ死ぬ間際の騙された恨み怨念この世の未練がディオに呼応して黒騎士がねぶたとなり蘇ったのならあながち泥で合ってたんじゃないのかしらなんて思ったり思わなかったり。

とにかく、初心者でも(いろんな意味で)ジョジョを楽しめて、そしてミュージカル的な意味で斬新的な演出がたくさんあってものすごく楽しめる、それがミュージカル・ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド。

あとの語りはスピードワゴンに任せてそろそろ私もクールに去るぜ。
兵庫公演、最後まで駆け抜けて大千秋楽派手にぶち上げてくれURYYYYYYYY!!!!!

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