ビジョンとKPIが対立した時、UXデザイナーができること
「PV」「売上」などの事業がもつKPIと、
達成したい「ビジョン」や、伝えたい「価値」が逆の方向を向いてしまって困ることはないですか?
とくに事業会社のビジネスサイドVSデザイナーという関係性では、あるあるなんじゃないかと思います。
そのような時は「あいつらはわかってない!」となる前に、目標の枠組みから一緒に再考してみるのはいかがでしょうか?
定量的な「KPI」"だけ"になってはいけない
KPIの数字自体だけをチームで見てしまうと、そこに「意味」を失ってしまいます。
よくあるのが「売上20%UP!!」みたいな営業目標をチーム全体で追う時に
「なんでその売上が必要なんだっけ?」という意味が失われてしまうパターンはありませんか?
そんなときは、「なぜ必要なのか?」をセットで掲げて伝える事が必要だと思います。
必ず「OBJECTIVE (目標)」とセットで考える
OBJECTIVE (目標) = 定性的な達成したい目標
まずは何事も「成し遂げたいこと」ありきだと思っています。ここでサービスのビジョンを思い出しましょう。
この成し遂げたいOBJECTIVE (目標)を達成するために、客観的に計測出来る幾つかの定量指標をKPIとして設定してみましょう。
■例えば「ビジョン」を届けるためには
・ サービスを運営する資本となる「売上」
・ まず見てくれるユーザー「PV」
・使ってくれたユーザーの「満足度」
そんなものが必要になってくるんじゃないか?と思います。
目標を達成できなかったKPIは、振り返って修正する
紐付いているKPIはあくまで仮説、間違っている場合もあります。
ここで気をつけてほしいのが、数字には人を引きつける魔力があるので一度設定したKPIが間違っている可能性を忘れて、数字達成に躍起になってしまうことです。
こまめに振り返りを行い、「〇〇数増えたけど目標に近づいてないよね…」という感覚をもったら、求めるKPIを柔軟に修正していきましょう。
OutputではなくOutcome で振り返る
振りをする時に気をつけたいのが、「Outputで評価してしまわないこと」です。
良いデザインが作れた(output)=>その結果、より多くのユーザーに価値が届けられた(outcome)
売上が増加した(output)=>その結果、より影響力の高いサイトになった(outcome)
数字の過多や成果物の良し悪しで評価するのではなく、
どれだけOBJECTIVE (目標) に近づくことが出来たかを振り返りましょう。
何を成し遂げるためにサービスを運営しているのかを忘れてはいけません。
「OBJECTIVE (目標)」のツリーを考える
最も上位のOBJECTIVE (目標) = ビジョン
たとえば「ユーザービリティを良くしたい」VS「売上をあげたい」といった職種別の主観の対立は不毛です。
そのような対立が起きそうになった場合は、お互いの矛をおさめて、
一緒にひとつ上の目標ってなんだっけ?をすり合わせましょう。
そのひとつ上の目標を達成するために、いま優先的に考えるべき事柄はなにか?を客観的に判断することが大切です。
「ぼくらはビジョンという同じ目標の上で集まったチーム」という事実を忘れないようにしましょう。
人数が増える程に意識的なコミュニケーションを
基本的には5人くらいのスタートアップならこのようなお話は不要なはずです。
なぜなら、現状認識が意識せずとも普段のコミュニケーションで充足できますし、ビジョンへの熱い想いが薄れにくいからです。
少し大きな組織になってきたな、と感じた際は、これを「意識的に行う」という風に気持ちをスイッチする必要があると思います。
「見える化」して伝えることが出来るデザイナー
人数が増えて、コミュニケーションにコストを掛ける必要が出てきた時に、一番活躍できるのはデザイナー、特にUXデザイナーだと思っています。
なぜなら、常に「伝えたい価値」のためにサイトを設計しているのはUXデザイナーであり、そこから自身の目標設定がブレにくいからです。
またプロマネやエンジニアなど様々な職種の中間にいることが多く、必然的にコミュニケーションの時間も増えていきます。
そこで、忘れてはいけない「目標」の伝え方をデザインしてく事が必要です。
価値のあるサイトを設計しようとするなら、まず内側に目を向けて組織の目標設定から変えていく。
そんな気持ちが必要だと考えています。
OKRという概念を勉強する
ここに書いたことは殆どがOKRという概念で語られています。
OKR (目標と主な結果)
デザイナーと少し遠い知識に見えるかもしれませんが、
前述の通り、「まず組織の内側に目を向けて、サービスづくりを設計していく」というスキルも必要だと思っています。
いいサービス作りは、いいチームづくりから
素晴らしいチームは、素晴らしいサービスを作り、素晴らしい価値を世に届けます。
組織という大きな目線で見た時、当初の「何を成そうとしていたのか?」という目標は忘れがちです。
UXデザイナーは「噛み砕いて」「設計して」「伝える」ことが仕事です。
そのスキルはエンドユーザーだけではなく、ともに働くメンバーに対しても活用できるのです。
少し目線の向き先を変えるだけで、今より素敵な価値を届ける仕事ができるかもしれません。
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