三十路アウトドアライターと生理の話。痛くて辛くて毎月キレている。
「なんでこんなに辛いんだ、こんなに痛いなんて……前世でわたしは重大な過ちを犯したに違いないッ!!」
などと叫びたい衝動とともに、下腹部の激痛に目が覚めた土曜午前5時。非常に不愉快だし痛くてしょうがないが、決して驚きはしない。もう慣れてしまったから。
便座に座るとすぐさまどろりとした不快感が流れ落ち、しまいには赤黒い血がボトッと真っ白な便器に垂れた。
女性として生を受け、この身体を授かったわたしは三十路になっても未だに疑問だ。人々は毎月の苦難──生理というヤツを、どのように乗り越えているのだろうか。
今回は当方の諸症状やこれまでの苦い経験を実験的にまとめてみる。立場は違えど生理で悩んでいる女性陣に届き「あるある」や「そんなこともあるわよね」と共有の場として機能をすること、そして願わくば男性陣も「へ〜難儀なことだ」と知って頂けるとこれ幸いであ〜る。
生理について話す? 話さない?
わたしが子どもの頃には、まるで秘密ごとを教わるように生理の存在を知らされた。いまは価値観が変化し、以前よりも「オープンに話そうよ」という雰囲気が広がっているのを感じる。
わたし個人としては、「性別関係なく必要であれば話す」スタンスだ。
アウトドア系の取材が多いフリーライターなので、生理ともうまく付き合い、必要があれば編集さんやカメラマンさんなど、チーム内で共有するようにしている。
生理痛などの症状が重いゆえ、黙秘をしているとさらに迷惑をかける可能性が高いというのが主な理由だ。状態を伝えて、できることをきちんとこなす。そしてクオリティを担保する。伝えることが最大の自衛になる、というのも経験上学んだ。
それもあり、過去に「アウトドア×生理」記事も何本か担当させていただいた。
専門医の先生にもインタビューし、とても興味深い記事になったので、ぜひご覧ください!
とはいえ、「話したくない」「話さない」というスタンスも十分良いと思う。周期や症状も人それぞれで、病気のシグナルが見つかったり、実に生々しかったり、同性であっても一歩立ち入るようなパーソナルな問題だからだ。
だから、オープンになったこの時代にも「話さない」という選択肢は尊重されるものだと思う。
だが、話さないと考えないのは別だ。決してオープンにしなくても良いが、自分自身の生理、近しい人の生理については考えることが大切。それが男性であっても、女性であっても。
わたしの現状の症状
同性であっても症状や重症度がかなり異なるのが生理の厄介なところだ。参考程度に現在におけるわたしの諸症状をまとめてみた。
これが20代後半におけるわたしの生理の特徴だ。
10代後半で生理痛が重くなり、大学時代〜20代半ばまでは周期もひどく乱れ常に不安がつきまとっていた。婦人科を受診し低用量ピルを使用していたこともある。
現在では、
周期が整ったことと(原因は不明。生活リズムが整ったか年齢的なものか?)
自身で仕事を調整できるようになったこと
体質に合う鎮痛剤が見つかったこと
ベタだが“慣れ”
を理由に、特に薬の処方等は受けていない。だが少しでも変化があれば、すぐにかかりつけの婦人科に相談するよう心がけている。
そりゃたくさんありますわ、仕事×生理の失敗談
フリーランスで働く上で、どうしても生理と〆切・ロケのバッティングは避けられなれないことが多かった。
雑誌の〆切に必ずぶつかる時期があった
これが辛い、本当につらかった。周期が丁寧に整ったものの、必ず症状のキツい時期(PMS後期〜生理前期)に〆切時期がぶつかっていた。
まず痛い。これはわたし独自の症状かもしれないが、PMSでの身体の痛みが強い。腹痛腰痛はもちろん、坐骨神経痛のような痛みや偏頭痛などの諸症状が現れる。
だが、雑誌の〆切はWebと異なり、レイアウトや表回りを頂いてからの作業になるから、執筆時間は自ずとタイトになる。
多少の無理は通さないといけないし、本当ならばコーヒーなどを飲んで夜通し書きたい。でも身体が付いてこない。もちろんコーヒーも飲めない。腹が余計痛くなる。倦怠感もひどいから寝たいし。でも書き終わらない。やるしかない、やるしかない……。そして超絶グロッキー状態を代償に納品までこぎ着けるのである。
20代は気合いで通せたが、今後はピル等を活用し計画的にずらしていこうと反省している。もうこの年齢であの地獄は耐えられない。
ロケ中に突然出血したことがあった
雑誌のとある地方ロケで、企画の被写体兼ライターを担当したときのこと。ヒルクライムシーンを撮影したいということで、麓からゆっくりと上っていた。
生理前だが、来るなら少し早いくらいの時期だった。やんわりと腹が痛かったが鎮痛剤を飲むほどではない、そう思いペダルを踏みしめていた。
だが、事態は急変する。
激坂区間に突入し、ダンシングをしようと立ち上がってグッと力を込めた瞬間である。下腹部にギュウウウウウンンンと裂けるような痛みが走り、同時にバーッと血が漏れた感覚があった。
「これは完全にやっちまった」と半泣きだった。もう真っ青である、心拍数も既に高かったし、焦りもあり、痛みもあり、焦りで吐き気もした。遊びだったらここで走るのを止められるが、これは仕事。そう言い聞かせて、淡々と上った。
その後、頂上まで走りきりそのままトイレへダッシュ。気分が悪かったので事情を話し、数十分の休憩をいただいた。
今思うに、あれは不可避だった。ただ、事が起こった直後にすぐにロケチームに話し、みなさんがスムーズに対応してくださったのがありがたかった。
コミュニケーションを取りやすい関係性を築けていて本当に救われたと感じる一幕であった。
わたしが救われた生理本&アイテムたち
そんなこんなで憎たらしい生理だが、前向きになれるようなアイテムとの出会いもあった。
【書籍】生理で知っておくべきこと
上記で紹介した執筆記事『生理中の登山、もう大丈夫。女性スポーツ研究センターに聞いた「生理との正しい付き合い方」』で、ご紹介いただいた本だ。
順天堂大学の女性スポーツ研究センター・奈良岡佑南先生が監修しており、自分自身で生理の諸症状を改善していけるような内容になっている。
読了後、「こんな方法もあるんだな」と前向きになったし、凄く救われた気持ちになった。
PMSや生理症状に悩んでいる方はぜひ読んでみてください。おすすめです。
【まんが】生理ちゃんシリーズ
言わず「生理ちゃん」シリーズ。初見時はかなり鮮烈だったなぁ。
ミソは生理ちゃんと男性陣の関わり方。にくったらしい生理を具現化したキャラクター「生理ちゃん」は、とても腹立たしいけれど、いつも女性の味方だ。生理ちゃんを介し、理解のある旦那やダメンズ、彼ピッピなどが描かれるのも圧巻だった。
あと普通に女性キャラがかわいい。話も一話読み切りスタイルで手に取りやすい。話も面白い。まんがとしても良いからぜひ読んでみてください。
【ツール】月経カップ
気になっている人も多いんじゃないかな。月経カップというツール、結構良いです。
実際使ってみようと踏み切ったのは、スポーツ×フェムテックをテーマにした展示会への取材だった。そのレポートがこちらの記事↓
今まで噂では聞いていた月経カップだったが、実物を見たことも触ったこともなかったため、イマイチ分からないツールという印象だった。
実際に触れ、使い方を聞き使ってみようと思い立ち、翌生理から早速導入。これが以外と良く、以来1年半はずっと愛用している。
わたしの感じる月経カップの利点は、
ドロッとした感覚がなくなる(無感覚部分で溜めるため)
夏場も蒸れないため、臭いやかぶれを防げる
ほぼ漏れないので、夜間も安心して熟睡できる
繰り返し使えて楽
意外と手入れも楽
経血量を計れるので、今月の月経レベル把握に役立つ
というのが挙げられる。初期投資こそ4000〜5000円と比較的高いが、もうナプキン+タンポンの頃には戻れなくなってしまった。
最近はドラッグストアなどでも見かけるため、気になる人はぜひチャレンジしても良いと思う。こっそりイチオシしたいアイテムだ。
生理よ、あと20年ほど穏やかにやってこうな
二次性徴期ではじまるこの厄介な儀式は、50代ごろまで続くというから未だに信じられない。まだあと20年近くこれをやるのだ。単純計算であと240回!?!?!?!?!!! ああ、もうやになっちゃうよ。
とはいえ、生理は身体のシグナルを教えてくれる。
無理をしていればいつもより症状が重くなったりするし、強いストレスを感じて周期がズレることもある。それがきっかけで重大な病気が見つかることもあるゆえ、生理に気を配ることはとても大切なのだ。
定期的に毎月来ることがありがたい……とまでは悔しいから言いたくないが、「あと20年ほど穏やかにやっていこうな、生理よ」という気分だ。