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漢方入門書を読む前に読む記事⑦

Q;気血津液弁証とは
A:気虚、血虚、気滞、瘀血、陰虚、痰湿を絞っていく弁証

虚実表裏寒熱弁証の次は気血津液弁証を行う。
漢方は比較の医学でもある。
なので症状が何で悪くなったのか、どうしたら良くなるのかが大事である。

気虚:気が少なくて悪化する。疲れると悪化するケースが多い。
気滞:巡らなくて悪化。ストレスで悪化するとかは気滞が多いか。移動痛も特徴のひとつ。長期間気滞のままだと熱を持つ。
血虚:血が少なくて悪化。女性に多い。生理終わった後悪くなるとか。
瘀血:巡らなくて悪化。逆に巡ると良化するので動かして良くなれば瘀血である。夜に痛みがある。刺すような痛みがあるは瘀血の代表的な症状。
陰虚:乾燥で悪化。辛いもの食べた後や汗かいた後、冬の乾燥で悪化する。
痰湿:湿気で悪化。梅雨や夏に悪化したり浮腫みと症状が関連していたりする。長期間痰湿のままだと熱を持つ。
これで何が問題なのかを絞って行く事で、臓腑弁証へとつなげていくのである。

注意点としては、何かが足りないと、他も大体足りてなかったり(気虚があれば大体血虚もあるし、陰虚もある)するし
巡ってなければ色々滞る(気滞があれば瘀血もあるし、痰湿もある)という点である。
なので気血津液のどこにウエイトを置いていくかという点である。
この人は虚証だなと判断したら、気虚の方が大事とか血虚の方が大事とかで優先順位を付けて弁証していく。

ここからは雑記だが、人間の体というのは難しいもので、気虚気滞、血虚瘀血とか燥痰(陰虚が原因で痰湿できる状態)という事が存在する。
この場合虚にウエイトを置きつつ、流すという事も同時にやっていくのである。
長期的に使える方剤というのは、補いながらも流してあげる、というコンセプトで組んでいるものが多い。
例を挙げると、逍遥散という薬だが、割と長期で飲んでも問題ない薬でもある。中身をざっくり分析すると

当帰:血を補う。血を流す。割りと色んなところの血を補える。肝血も補える(大事)
芍薬:血を補う。肝血を補える。
柴胡:気を流す。肝血使って全身に気と血を巡らせていく(主に気)
薄荷:これも気を巡らせる。肺にアプローチしていく薬。当然気を使う
白朮:気を補う。胃腸にアプローチして気を作る
茯苓:気を補う(弱め)。津液を流す。これも胃腸にアプローチしていく。
生姜:胃腸の薬。薬が胃に負担をかけないようにする。
甘草:胃腸の薬。他の生薬の調和したり胃の負担を軽減したりする

という感じである。
逆に短期で使う薬は、補うか流すかのどっちかに偏っていることが多い。

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