大嶋駿之如

漢方相談薬局勤務。漢方初心者が漢方を処方できるまでを手伝える記事を書いていきます。 写…

大嶋駿之如

漢方相談薬局勤務。漢方初心者が漢方を処方できるまでを手伝える記事を書いていきます。 写真は3年以上前のですのであしからず。

最近の記事

漢方入門書を読む前に読む記事⑪

Q:痰湿の漢方は何を使うのか A:痰湿の原因で使う漢方を変えていく 痰湿は瘀血とは違い○○痰湿の様な表現では無く、痰や湿という単語が入る(痰濁血瘀や湿困脾胃等の表現になる)。 痰も湿も五臓六腑のどこにでも影響が出るし、色々な症状が出るが共通点として詰まっている事が挙げられる。 症状も含めて処方を書いていこうと思う。 肝胆湿熱:お腹張る、黄疸、口が粘る、胸の熱い痛み:竜胆瀉肝湯 胆うつ痰擾:驚きやすい、びくびくする、動悸、不眠、吐き気等:温胆湯 痰火擾心:喘鳴、イライラ、顔面紅

    • 漢方入門書を読む前に読む記事⑩

      Q:瘀血のときの漢方は何を使うのか A:何の瘀血かで使う漢方を変えていく 瘀血の場合は○○瘀血(○○血瘀)という弁証になることが多いので、○○に対応し、血を巡らせる薬をチョイスしていく。虚証の薬と組み合わせて使うこともよくある。 寒凝血瘀:冷えて瘀血になっている状態。温経湯 血瘀内熱:熱くなって瘀血になっている状態。桃核承気湯 気滞血瘀:気滞と一緒になっている状態。通導散や血府逐瘀湯 痰濁血瘀:痰湿と一緒になっている状態。桂枝茯苓丸 気虚瘀血:気虚を一緒になっている状態。補

      • 漢方入門書を読む前に読む記事⑨

        Q:実際にどのような漢方を使うのか A:気血津液、臓腑弁証に従って漢方使う まず前提として漢方は単剤だけ使うのではなく、複数の方剤を使って治療するのも問題ないのである。 2~3剤を組み合わせて使って治療するのも間違いではないし、単剤で治るならそれに越したことはない。 肝血虚:四物湯 肝うつ:逍遥散 肝気虚:桂枝黄耆湯 心気虚:炙甘草湯 心血虚:帰脾湯 脾気虚:四君子湯 脾陰虚:参苓白朮散 肺気虚:玉屏風散 肺陰虚:麦門冬湯 腎陽虚:八味丸 腎陰虚:六味丸 当然ながらこれ以外に

        • 漢方入門書を読む前に読む記事⑧

          Q:臓腑弁証とは A:五臓六腑の気血津液の過不足を絞っていく弁証虚実表裏寒熱、気血津液まで絞れたら臓腑弁証に移る。 五臓でどこの気が不足しているか、血が不足しているか、もしくは過剰なのかを絞っていく(肝の血が足りないとか、脾の気が足りない。肝の気が多いけど腎の気が足りないとか)。 五臓六腑それぞれに気血津液が存在するが、気に影響を受けやすい臓腑、血に影響を受けやすい臓腑がある。今回は五臓(ちょっと六腑も含めて)で話をしていく。 瘀血は次回以降に話をするので割愛。 (臓腑の瘀

        漢方入門書を読む前に読む記事⑪

          漢方入門書を読む前に読む記事⑦

          Q;気血津液弁証とは A:気虚、血虚、気滞、瘀血、陰虚、痰湿を絞っていく弁証虚実表裏寒熱弁証の次は気血津液弁証を行う。 漢方は比較の医学でもある。 なので症状が何で悪くなったのか、どうしたら良くなるのかが大事である。 気虚:気が少なくて悪化する。疲れると悪化するケースが多い。 気滞:巡らなくて悪化。ストレスで悪化するとかは気滞が多いか。移動痛も特徴のひとつ。長期間気滞のままだと熱を持つ。 血虚:血が少なくて悪化。女性に多い。生理終わった後悪くなるとか。 瘀血:巡らなくて悪化

          漢方入門書を読む前に読む記事⑦

          漢方入門書を読む前に読む記事⑥

          Q:虚実表裏寒熱とは? A:弁証論治(証)をたてる過程で一番最初に見極める体質 虚:弱っている。少ない。 実:強くなりすぎてる。多すぎる。 表:病邪や症状、原因が浅く、表面にある 裏:病邪や症状、原因が深く、体の裏側まで行っている 寒:寒さや冷えで悪化する。実際に冷えている 熱:熱さで悪化する。実際に熱くなっている では実際に弁証論治(証)(以下弁証)を立てるにはどうすれば良いか。 順番としては 虚実表裏寒熱⇒気血津液⇒五臓六腑 の順番に弁証していく。 虚実表裏寒熱の場合は虚

          漢方入門書を読む前に読む記事⑥

          漢方入門書を読む前に読む記事⑤

          Q:四診とは A:望、聞、問、切診の事で弁証論治や証を出す漢方の診断方法の事 西洋医学で診断を出す際は検査データーや問診票や実際に問診をして医師が診断結果を出す。 では漢方の診断結果である弁証論治(証)をどう出すかというと、四診で弁証論治(証)を出していくのである。 望診:視覚情報。体つきや歩き方、顔色、舌の様子とかも望診に含まれる。漢方は大体の場合において舌診をする。 聞診:聴覚、臭覚情報等。声の様子や匂い等。 問診:診断する側の質問。 切診:触覚情報。脈診とか腹診はここ。

          漢方入門書を読む前に読む記事⑤

          漢方入門書を読む前に読む記事④

          Q:弁証論治、証とは A:漢方的診断結果や治療方針の事 実際に漢方治療をする為には、当然ながら診断をしなければならない。 どの漢方を使うか、鍼灸ならばどこにどうやって鍼を刺すのか、お灸するのかを考えなければならないからだ。 そこで登場するのが弁証論治もしくは証である。 弁証論治は、五臓六腑や気血津液(または両方)、表裏、寒熱や邪気等が実or虚であると示されている(結構例外はある)例:肝うつ気滞、血虚瘀血、風熱犯衛、肝血虚、腎虚。 証は、方剤(葛根湯とかの生薬の組み合わせ

          漢方入門書を読む前に読む記事④

          漢方入門書を読む前に読む記事③

          Q:五臓とは? A:気血津液の過不足の原因で、漢方治療してバランスとっていくところ。五臓六腑とは身体内側全体の事を指している。ビールが五臓六腑に染み渡るのは身体内側全体に染み渡るという意味である。 今回は五臓六腑の五臓に着目していく。肝臓、心臓、脾臓、肺(臓)、腎臓の五つがそれぞれの役割を持っている。 これも細かく書くと膨大な量になるのでシンプルに書いていく事にする。 ちなみに漢方的には肝臓ではなく肝とか心とかで記載する。 肝:現代医学の肝臓の機能+気血の循環+自律神経 気

          漢方入門書を読む前に読む記事③

          漢方入門書を読む前に読む記事②

          Q:気血津液(水)とは A:気=エネルギーや元気、血=血液や栄養、津液(水)=水分。で最初はOK 気血津液(水)とは何かを詳しく書くとそれだけで本が一冊かけるほどのテーマになるので極めて簡便に書くとこういう事になる。 気とは体にあるエネルギーで、足りなくなると、疲れ、だるさ、内臓機能低下、やる気が出ない等が出てくる。いわゆる元気不足である(これが気虚) また体の隅々まで巡っていないとイライラ、不安感、移動性の痛み、火照り、胸の張り、お腹の張り等も出てくる(専門用語で気滞とい

          漢方入門書を読む前に読む記事②

          漢方入門書を読む前に読む記事①

          Q:漢方ってどんな医学なの A:漢方とはバランスを整える医学である。何で漢方が効くのか、そもそも漢方ってどういう医学なのか、と疑問を持つ人が多い。 結論から言うと『漢方とは崩れたバランスを元に戻していく医学』という事になる。 人間の体というのはよく出来ており、バランスが整うと勝手に治っていくのである。 専門用語では中庸という言葉があり(つまりは真ん中)、この状態が『バランスが取れていて健康な状態』という事を示している。 ここからバランスが崩れていくと病気や体調不良になって

          漢方入門書を読む前に読む記事①

          漢方入門書を読む前に読む記事。はじめに

          誠心堂学芸大学店にいるただの薬剤師の大嶋です。 このnoteでは実際に臨床で身につけた事を記事にしていけたらとおもってます。 記事の内容としては、漢方初心者が漢方入門書を理解できるようになるまでを目指しております。 6年前にこの業界に入りました。10年で半人前と言われる漢方業界で、ようやく4分の1人前までになりました。 多少は人に薬を出せるようにはなりましたが、それまでの勉強は本当に苦労しました。 中医学を勉強していたが分からなくて挫折し、日本漢方を学んで改めて中医学を勉強

          漢方入門書を読む前に読む記事。はじめに