冷や汁になっちゃう

冷や汁を作る。

冷凍庫から、鯖を取り出す。半身のさらに半分になったそれを小さなタッパーに載せて、解凍をしている間にアルミホイルを俎板の上に広げた。味噌大さじ1強を塗っていく。レシピではトースターかガスコンロでこれを炙れとあったけれど、あいにく我が家には大型の電子レンジとIHコンロしかない。一か八か、電子レンジのグリル機能を使うことにする。先程の鯖の解凍が終わったので、取り出し、アルミホイルに満遍なく広げた味噌と交換して、グリルのスイッチを押した。時間の目安が分からないので、ひとまず3分。様子を見る。

鯖は臭いらしい。だから浸かる程度の料理酒につけておく。その間にきゅうりとみょうがを準備する。きゅうりは薄切りにして塩をふり、みょうがはみじん切りにする。水につけるといいらしいが、なんとなくそのままにする。みょうがを買ったのは今回が初めてだったけれど、意外とトマトなどと相性が良く、この夏の意外な発見だった。

レンジが鳴った。覗くと、味噌はまだ生だ。あと3分、入っていてもらう。

台所に向き直り、今度はフライパンに油を少し垂らして温める。酒に浸かった鯖の水気を切り(本当はキッチンペーパーを使うべきだけれど、我が家は長らく切らしていて、柔らかいティッシュで代用する)、フライパンに並べる。ふと予感がして、換気扇をつけた。きっとこのあと、ここは魚くさくなる。

また、レンジが鳴った。覗く。味噌は少しだけ表面に焼き目がついている。欲を出して、もう一度だけ、焼かれてもらうこ。3分。見送る背後で鯖がじゅうじゅうと香ばしい音を奏でている。菜箸でかえすと、皮目にしっかりと焼き色がついていて、なんともおいしそうだ。焼き鯖を家で食べることがあまりないけれど、今度やろう、と思う。

以前友人と一緒に作った黄緑色の深皿を取り出して、粉末の出汁と、水100mlを注ぐ。菜箸でくるくると混ぜる。溶けているんだろうか。ピピピ、という音に振り返り覗くと、焼かれた味噌は三度目の正直と言わんばかりにしっかりと焦げ目をつけていた。アルミホイルの表面からこそいで、お皿の中でといていく。本当は先に味噌を置いて、そこに出汁を少しずつ注ぐのがいいらしい。でも混ぜれば混ざるから、いい。

冷凍ご飯を解凍しておく。その間に用意した具材をどんどん皿に放り込んでいく。きゅうりは水気を絞り、みょうがはそのまま。鯖はいい頃合いでフライパンからあげ、まな板の上で刻む。主役なので真ん中にこんもりと、と少し意識しながらさらに流し込んだら、最後にすりごまをたっぷりふりかけ、そしてアクセントにいりごまものせた。冷凍ごはんの解凍も終わる。一度には持てないので、幾度か往復しながら、テーブルに並べる。レンゲで、まずは一口。

おいしかった。

自分のためにレシピを見て料理をするのが、久しぶりだと、ふと、気づいた。

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