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良いものの正体 -SIGMA fpとの再会-

なぜか同じものばかり目に入ってきたり、同じようなことが周りで頻発することが稀にあります。あれは無自覚な潜在意識が表の物理世界と繋がることで起きている状態なのか、はたまた自覚する表層意識が裏の精神世界と繋がることで起きている状況なのかとても気になります。実際、自覚があるからこそ「同じものばかり」と思えるわけですし、一方でずっと考えているわけでもないとすると無自覚なのか…と、どうでもいい堂々巡り。

そんな偶然のようで必然のような最近の出来事として、ツイッター(自身のタイムライン上)でSIGMA fpの話や写真を頻繁に目にします。SNSである以上は自然な出来事なのでしょうけど、同じ時間軸で同じようなことを考えている、同じようなことに興味を持っている人と出会えるのはやはり嬉しくなりますよね。そしてこう感じます。「買って良かった」「良い選択をした」「良いものに出会えた」と。

なので今回は一度の売却したにも関わらず再購入したカメラ(SIGMA fp)を通して「良いものとは何だろう」的な話をしたいと思います。※すごい広げてますがことのつまりがfp超いいと言いたいだけです。


fpと私

まずは話の主役となるfpはこちらのカメラです。
日本が世界に誇るレンズメーカーSIGMA社のレンズ性能を惜しげも無く発揮できるカメラとでも言えばいいのでしょうか。プロのスポーツ選手でもオリンピックを目指すわけでもなくただSASUKEを制覇したために身体を仕上げ、無駄も機能も極限まで削ぎ落としたインナーマッスル激ヤバ細マッチョのような世界最小フルサイズカメラそれがSIGMA fpなのです。

そしてそのfpに大きく感銘を受ける話はこちら

fpを手に入れて半年もしないうちに「SIGMA fpL」が発表され、迷うことなく周りに若干引かれつつも予約、入れ替えました。ほんと好きすぎです。結果は大正解。撮影体験の楽しさはどんどん高まるし、写真の品質も(特に独特の色味というか意味深な仕上がりには)本当に毎回うっとりします。間違いなく今の写真人生の骨格を作ってくれたカメラです。

シンプルに撮影している瞬間が楽しい。たとえ操作性にクセがあっても、手ぶれ補正が付いてなくても、その上AF性能がそこまで良くなかったとしても、さらにWi-fiやBluetoothの転送機能がついてなかろうとも、その一連の思考の時間(思い通りにならないとわかっていてもそれ以上の価値を求め身も心も投じていく試行錯誤の体験)が楽しいと感じます。

そして何より圧倒的にプロダクトとしてカッコ良いのです。もはやかわいい。(かわいい理由は後半で)形状、ディティールに亘る作り込み、部分的な質感、テクスチャーや色味、本体重量など全てがバランスよく重なり合い、物質的な心地良さを感じます。ゆえにfpはカメラ特有の所有欲や愛着と相まってどんどんどんどん「良さ」が湧いてくる凄まじく中毒性が高い製品だと感じてしまいます。

先にも書いた通り、思い通りにならないカメラなのにその状態すら「良さ」と価値化してしまうほど素晴らしい商品だと思っています。同じ日本のものづくり業界にいるそれだけで誇りに感じます。

なぜ手放したのか

ではなぜこんなにも愛してやまない素晴らしいカメラを手放したのか…。fpがfpLに替わり写真オブライフは爆上がりしていたのは間違いないのです。しかし結果的に手放すことになります。

理由は「ああ、L(上位機種)じゃなくても…」と思ったのが始まり。自分自身がそこまで腕も知識もないので、Lに替えてもが使いこなせてなかったんです。(自分の中では使いこなしている気満々です笑)よって解像度の向上やテクニカルな改善、製品の部分的改良まで素晴らしいと思ってはいても実感できていたのは「ボタン誤操作の改善」くらいでした。バカとしか言いようがないです。それくらい何も分かってなくて、まあそれでもどハマりするカメラなのですごいと思います。

あとでわかりましたが今もfpとfpLの両方を販売されているのはどちらの良さもあるってことなんでしょうね。

その頃からジワジワと防湿庫の神様になり始めていきます。
ただこれだけは断言できるのはfp Lがどうこうよりも他メーカーの兄弟たちの存在が大きいと思っています。つまり出番を奪われていったといいましょうか。

  1. Leica M10-Pさん良くも悪くも不確実性が高く、撮る面白みの境地

  2. Canon R6さんをCanon R6markⅡさんに替えノンストレス、色最高

  3. Panasonic LUMIX GX7markⅢさんが手軽で身軽、旅カメラの爆誕

素人なのにボディ(&マウント)が増えたことで運用も複雑に。気持ちも散漫に。気づけば数ヶ月触ってなくて。そんな時に写真家西田航さんのYouTubeにて「3ヶ月触らなかったら売却した方が自分にも誰かのためになる」というお言葉が響き手放すことを決意。実際全く出番がなくなってきたfp Lにも後ろめたいというか、何だか申し訳ない気がしたんですよね。でも結果的には誰かのためにも自分のためにもなったなと思ってます。西田さんありがとうございます。


実は前々から所持していたfp用のレンズ(Lマウントのレンズ)も使用頻度が落ちていき7本から4本へと減っていて、思えばその頃から心移りはしていたんだろうと思う。

ありがとうさよならfp

いざ梱包する日。
相当寂しかった。

ずっとこのカメラたちと走ってきたことがこの時も鮮明に思い出せてしまう。この瞬間なんども売却をやめようかと思ったほど。自分にとってはカメラにどハマりする原体験であり相棒と呼べる存在だったと再認識することになる。

fpLありがとうさようならの巻

おかえりfp

早かったです笑
この記事くらいの感覚で一瞬で手元に帰ってきました。fpLから再びfpに戻りました。

おかえりfp

実際には約3ヶ月。西田さんの仰られていることと同じように「3ヶ月忘れられなかったら寄りを戻すべき」という自論ができました。それくらいfpの存在はすごいのだと思います。自分が言葉にできる限りその凄さを定義してみたいと思います。

「あの頃の」みたいな哀愁ではなく、自分は明らかに描写表現としてfpを欲していると感じたこと、あのじゃじゃ馬のような操作感や動作性が返って楽しさになっていたこと。一緒にいる面白みを気づいてしまったこと。

そしてやっぱり独特の色です。自分はほんと詳しくないのでセンサーがどうこう、レンズがどうこうは言えないのですが、あえて捻くれた言い方を選ぶと「クセ」を感じます。色濃いというより淡いのに深い。そして追い込んでいくことでハッとさせられる表現になる。実際難しくもあります。もちろん他のカメラにも言えることなのかもですがこの難しさ故にfpにこだわりたくなる理由です。ライカほど粘れませんがライカにも近い固有の描写を可能にしてくれます。

最後はモノ感です。微妙な表現ですが自分はよくプロダクトの質感や作り込みにグッとくる何かを感じる時に「モノ感」を口にします。ディティールに渡る形状が魅力的、ものづくりに直向きでしたたかな姿勢、製品製作の息吹を感じるほど、本当によくできているプロダクトだと手にするたびに感じます。その辺はこちらの動画見ていただくのが早いと思います。

fp復帰とともに手にした新レンズ

改めてお出迎えしたfp(fp Lではなくfpにしました)とほぼ時を同じくして予約したレンズがあります。SIGMA 17mm F4 DGDN | Contemporalyです。

SIGMA 17mm F4 DGDN | Contemporaly

このレンズがfp体験をさらに飛躍させてくれました。広がり、奥行き、立体感にダイナミックさ。単に超広角だからとかそういうことよりももっと果てしない創造意欲を掻き立てられる利用品質。もうこれは言葉で語るより写真を見ていただきたいと思います。(写真がダメだったら逆効果です笑)

17mm f22 iso1000 ss1/200s
17mm f22 iso1000 ss1/200s
17mm f6.3 iso100 ss10.0s
17mm f4 iso1200 ss1/100s
17mm f4 iso125 ss1/800s
17mm f22 iso320 ss1/200s
17mm f22 iso400 ss1/80s
17mm f22 iso100 ss1.3s

良いものとは

デジタルなのにアナログで機械的な体験がつきまとう。シャッターを切りたい瞬間になぜかシャッターが降りない。デジタルなのに。だから居ても立っても居られずAFからMFへ切り替えまた撮る。

「いいじゃん」

17mm f22 iso100 ss1.3s
Iシリーズ90mmと35mmを仲間に加え
海外へ一緒に行きました
35mm f2 iso1000 ss1/100s
17mm f4 iso1250 ss1/100s
17mm f4 iso1250 ss1/100s
90mm f4 iso1250 ss1/100s
90mm f2.8 iso100 ss1/2000s
35mm f2.8 iso500 ss1/100s
35mm f2 iso100 ss1/500s

心躍る体験との再会

プロセス全てが心躍る。デジタルカメラなのにアナログで機械的な世界へ連れて行こうとする。もちろんSIGMAとして望んでいるわけ結果ではないだろうけど尖りすぎたfpなら許せてしまうというか楽しさにさえ昇華する。フィジカルな問題を解決したり許容しながら付き合う不確かさが、唯一無二の良さになっている。

今はもう全く憎めない。だから一緒にいる理由。分かっていても思い通りにならない。でもいい。

だから、かわいい。

再会することで見えてきた価値。寄りを戻すわけです。今は見てるだけで「いいなああああああ」って感覚が湧いてくる。愛しかない。

世界で自分だけが今享受しているような唯一無二の感覚。良さとは限りなく個を推し進めて出逢う価値統合の成れの果てなのかも。

そう思わせてくれたSIGMA fpは間違いなく自分の中で良いものなのかと書かずにはいられませんでした。

自分にとっていい良いもの。
作りたいものに正直で、ものづくりが大好きな日本のものづくり企業だから生み出せた世界一かわいいカメラのお話でした。

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