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【蔵探訪】#1中村酒造場(本格焼酎)

こんにちは
お酒が大好きで、霧島に赴任してから本格焼酎の面白さにどハマりした星野リゾート社員のはしもとです。

本格焼酎は原材料や工程の違いで味や香りもさまざまなので
それだけで自分に合う焼酎は何か、どんな焼酎があるのかという興味が湧きます。

ただやはり、どんな人が、どんな場所で、どんな想いで造られているのかを知るとより愛着が増し、尊いものだととても感じます。
また、それができるのも旅行や旅の醍醐味だと思っております。

今までに焼酎蔵、日本酒蔵、ブルワリー、ワイナリー等々、旅先で見学させていただいているのでそれらもnoteで書き残していこうかと思います。

#1
酒造:中村酒造場
地域:鹿児島県霧島市
創業:1888年
代表銘柄:なかむら(芋焼酎)

霧島市は過去に合併があり、海、川、山があり広い町です。
中村酒造場様の位置する場所は山よりも海が近いところに位置しております。
創業時からの煉瓦つくりの蔵でありで煙突がシンボル。
中には135年前から変わらない、石造りで木造の麹室がある伝統的な焼酎蔵
当時は自然に囲まれた蔵で田園に囲まれていたようですが100年以上もたち、周りに住宅がたち、住宅の中に溶け込む落ち着いたお蔵です。


”水がいいところには名酒あり”といいますが、酒造りは多岐に渡り水が使われるのがその所以です。
(酒自体だけでなく、洗米用、洗芋用、洗瓶用、など)
中村酒造場で使われる水は地下からくみ水であり、霧島の山間部である高千穂峰などに降った雨が鹿児島特有の火山地質の地層を流れてきた水です。

造りは杜氏含めて6人ほど。
この6人で芋きり、麹造り、醪の管理、蒸留などを行っていきます。

芋焼酎とはいえど”さつまいも”だけでは造られず、基本的に”米”と”さつまいも”をつかって造られます。
大きく順を追うと
①まず米麹をつくります
②米麹と水と酵母を併せて発酵させていきます
③それが6日ほど経ったら主原料である蒸したさつまいもを入れて1週間から2週間ほど発酵させていきます
④2週間ほど経ったら、蒸留という工程を経てアルコールを取り出したものが本格焼酎が出来上がります。

※これらの細かな内容はまた別の記事にします。

中村酒造場の造りのこだわりは機械に頼らない、昔ながらの手づくり仕込みを現代まで残している希少な蔵です。
どの工程も職人が機械に頼らず、培ってきた感覚を研ぎ澄ませ、五感を使ってその時の状態をみて造りを行っており、どこを切り取っても惚れ惚れする仕込み風景が見られますが
中でも中村酒造場のこだわりは、”手作業の米麹造り”です。


多くの酒蔵(焼酎も日本酒も)は現在では大きい機械で自動で米麹をつくるのが主流ですが
中村酒造場は創業から現在までの135年以上、全銘柄が蔵の職人による手作業で造られた麹を使用しております。
あまり知らずに聞くと”へぇ〜”という程度ですが、知れば知るほど全銘柄全量手造り仕込みという、この造りの異常さを感じます。
麹をつくる際は特別な”麹室”という部屋で行いますが、外気温と発酵による熱と高い湿度でサウナ状態のつくりを行っています。
私は、造りのこだわりもですが、麹室で上裸の蔵人が汗だくで作業しているのを目の当たりにしたときに、中村酒造場への敬意と価格以上の価値を感じました。


何故そこまでして手づくりにこだわるのか、杜氏曰く
〜過去の先人たちの想いをつないでいく〜とのこと。
米麹造りに使われる麹菌は微生物であり、同じ麹室という部屋で手作業で造りを行っていたからこそ、部屋の中で麹菌が住み続けています。
新しい蔵や、機械設備が整った蔵では存在しなく、木材で作られ手づくりで長年造られてきたからこそ、ここの蔵にしか存在しない麹菌があり、中村酒造場の酒の個性。
今造られている味わいも先人たちからの繋がれているものであり、唯一無二のものです


芋焼酎なのに米?と疑問符が上がるかと思いますが
日本酒でも一麹、二酛、三造りというように、何よりも味わいの決め手を麹が担っており、焼酎の世界でも然りだと感じています。
また、中村さんの言葉を借りると
寿司でいうところ、ネタの部分が”さつまいも”でいうと、シャリの部分が”米麹”。
とのことで、シャリにこだわった寿司職人といえばその特異なこだわりに気付けやすいかと思います。
あくまで個人的な解釈ですが、麹や芋が芋焼酎の味わいにどのような影響があるかというと
ーさつまいもは香りに影響しやすい(華やかさ、香りの違い)
ー麹は味わいに影響しやすい(奥深さ、コク)
実際に中村酒造場の焼酎はどれも味わい深く、下の奥に残る強い旨味、コクがあり重心の低い味わいだなと…
ほっこりするような、包み込んでくれる味わいを感じます。

背景を知らなくてもとても美味しい焼酎ですが、やはり実際に地域を見て、蔵を見て、職人と話すことで目の前の1本、1杯への尊さがより増していくなと実感します。

是非少しでも興味が湧いたら、実際に赴いて、肌で感じていただきたいと思います。

★蔵見学は手業のひとときのプランから!

一般には蔵見学の案内をしておりませんが、界で企画している”手業のひととき”で特別に蔵見学ができます。
1日目に温泉に浸かりながら中村酒造場の焼酎の知識を深め、翌日に行くことで、より中村酒造場のこだわりを紐解ける特別なプランとなっております。
開催日は少ないですが、とてもおすすめです。

近くの星野リゾート:界 霧島
全室桜島ビューの絶景温泉旅館
鹿児島らしく、本格焼酎を多く取り揃えていたり、霧島特産の霧島茶や天孫降臨神話にも触れることができる旅館です。

長文になりましたが、こだわりや面白さが全然書ききれなかったので、また書きます…

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