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蟷螂の食欲に学ぶこと、ある種のダイエット法について

 私は家を空けることが多いため、哺乳類等の動物を飼育することは避けているが、代わりに現在家を空けたとしても飼育しやすい魚類、昆虫類、植物を飼育※している。(※植物を飼育と書くと違和感を持たれる読者も居ようが、私の中では昆虫も魚も植物も同一という考え方で育てているため、敢えて飼育と書く)

 昆虫飼育は昨年から始めた趣味だが、第一世代の大半が現在死に、いくらかは子孫を残し、いくらかが幼虫、そして蛹となった。昆虫の第一世代は元より標本保存する予定だったため、標本作成のための準備はしていたものの、手際は悪く、死を経験するほどに、手際が良くなった。

 魚類飼育は”飼育しやすい”と先ほど書いたものの、繊細な種類の物を飼育しているので想定より早く死ぬ個体が出、その時点で標本の準備や知識など無かった為、桜の木の下に埋めた。学習と事前準備さえできていれば骨格標本として残す手もあっただろうと思うが、現在生きている魚類はまだまだ長生きしそうなので、まだ準備はしていない。しかし魚類は急に死ぬため、準備を事前にしておいて損は無いだろう。

 さて、表題の件。第一世代の成虫の殆どが死に絶えたたため、目をつけていた昆虫が出回るイベントに顔を出して目当ての甲虫を手に入れた。その際に蟷螂が販売されているのを見かけ、すっかり魅了されてしまった。
 蟷螂と一口に言っても、いろいろある。想像するのは夏に網戸などにとまっている、あの緑の大きいものや少し変わり種の白い蘭のような形をしたハナカマキリなどだろうか。
 店頭には海外産の様々なカマキリがおり、特に私が購入をすこぶる迷ったのが「ゴーストマンティス」という種である。とにかくかっこいい、と筆者は思うので、気になる方は調べてみてほしい。海外の蟷螂、すごい。

 販売者に聞いたり調べたりしたところ、二日に一度できれば生き餌をやる必要があること、私が飼育しているような甲虫類に比べて明らかに繊細であること、標本作成時の内臓抜きが大変そうなこと、など飼育前に学ぶべきことや準備すべきことや覚悟すべきことが多々ありそうなため、購入は見送った。
 
 蟷螂飼育について後日いろいろ調べていたところ、蟷螂は与えれば与えるだけ喰う、という。これは私の飼育する魚類もそうで、魚類には満腹感と言うものがないため、与えれば与えるだけ喰ってしまい、結果病気になったり寿命を縮めてしまう結果になってしまう。
 雌が交尾後に雄を喰ったり、共喰いをしたりするほどの種であるから、最初、そこまで驚きはしなかったが、流石に腹が破裂するまで喰うというのには驚いた。つまり、魚類とは違い、そのまま食いすぎて自壊して死ぬのだ。映画「セブン」で暴食をつかさどる被害者が腹が破裂するまで物を食わせれるという方法で殺害されていたのを彷彿とさせる。

 私も暇を持て余すと、食えるところまで食えてしまうことがある。一人暮らしで冷蔵庫の中身で三日分作ろうとすると三日分食ってしまう。食欲、欲望は、目の前に食べ物があるこの時に一番ドーパミンが出るらしい。口に入ってしまうと収まる。で、またふつふつと欲望がたまり、目の前に食料が出てきた瞬間に一番の快楽物質が出るようにできているという。
 懐石料理や鮨などは絶妙なタイミングで次の食事が運ばれてくるが、あの間も食を美味しく感じさせる技なのである。脳内物質がくすぶってくすっぶって今、という時に出されると一番気持ちがよく食えるわけだ。

 暇を持て余す時、てっとりばやく暇を無くす方法は口に何かいれることである。これは生物としての自分を感じさせる動きだ。で、先ほど書いた通り人は目の前にあればあるだけ脳内物質の働きで限界まで食べてしまう。
 特に一日家に居てある程度食料が家の中にある時など、最も危険である。満腹を感じる手前でだらだらと食事を続ける。蟷螂ではないため、破裂するまではいかないが、不必要なエネルギーをとり続ける。不必要、と書いたが身体は常に必要と感じて脳を働かせているため、生物の動きとしては正常な動きなのだ。ここで、一度、一般的な生物から、人間という生物になることで、この「食い続け」をある程度停止させることができる。

 暇なので生物としての挙動として食へ手が伸びるところ、暇を埋めてしまえばいい。5分何かに集中するだけで少なくともその時間は食のことは遠ざかり、5分何かに集中できた場合、その後も引き続きその物事に集中できる可能性が高い。
 食を延々と続けられるようなタイプな人間は、特に暇が嫌いなタイプな人間でもあるので、作業も延々と続けられる。
 家に居る場合、作業については、嫌いな作業ではなく、好きな作業を推奨する。少なくとも、食、生物としての本能、に勝利できるような人間的な嗜好がいいだろう。勉強でも、ペットの世話でも、読書でも、趣味に近いものがいいかと思う。
 家事という手もあるが、家事の一仕事の後に一服などということになりかねないので推奨しない。生物的な嗜好として、眠る、性欲を満たす、という方法もとれるかもしれない。しかし、経験則的に眠ったり、性欲を満たしたりすると、後から余計に生物的な欲望、食欲も大きくなるような気がするため、やはり推奨しない。

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