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好きに上限なんてない。
好きなものが年々増えていく。
学生時代はテレビの俳優を好きになり、もちろん好きな男の子もいた。
友達だって大好きだし、家族だって好きだ。
社会に出たらもっと好きが増えた。
好きなバンドにアイドル、声優さんだって好き。
人気な店を見つけて友達とお出かけするのも好き。
好きがどんどん増えてく。
ただ。
好きと反比例するように、お金と自尊心はすり減っていく。
私の好きは一方通行。
いつも気持ちは届いていない。
この気持ちが返ってきたことあったかな?
俳優を好きなことで友人と話ができた。
好きな男の子だって、みんな好きな男の子がいるのに
私だけいなかったら仲間外れにされちゃいそうだったから。
両親の中は最悪だった。
口を開けば喧嘩が始まり、ひどいときには物が飛ぶ。
私が2人を好きだと演じれば、仮初めにも家族であることを実感できる。
会社での付き合いだって欠かさなかった。
興味のない音楽を好きだって思い込んだ。
全くタイプじゃないアイドルを好きだと言って
先輩と語れる自分を作り上げた。
おかげで会社じゃ順調に過ごせている。
友人が調べた行きたいお店はいつも行列。
2時間待って食べたいちごのパンケーキ、
すごく小さくて3000円もした。
でも可愛いって、美味しいねって、待って良かったねって。
友人だって本音を話すような仲じゃない。
いつも上辺のありきたりな話ばかり。
でもあの子友達いないらしいよなんて言われたくない。
周囲からの見え方が一番大事なの。
見窄らしい自分なんてさらけ出せない。
好きってなんて便利な言葉なんだろう。
伝えられた相手はすごく嬉しそうにする。
なんでだろう。
言われたことないから分からないや。
今週は先輩とライブに行くんだった。
お金がまた底を着く。
仕事終わり、呼ばれたホテルに行かなくちゃ。
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