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デザインと言語と経済
by 株式会社スタッフワーク デザインプロデューサー 坂元 雄二
コロナ禍で改めて考えてみた。「プロのデザイナーに求められるスキル」を。
言語を使って伝えるスキル
プロ野球DeNAのエース級サウスポーといえば、今永昇太選手。「彼のすごいところは、自分の投球フォームを理論立てて自ら解説できることだ」とはコーチの弁。どんなプロの名選手でも、自らの投球や打撃のフォームを自分で解説するのは容易ではないらしい。
筆者はSP広告の制作に長年従事してきたが、クライアントから「このデザインに至った根拠は?」「このデザインだと、売価の上限はいくらまで見込めるか?」などと問われて、返事に窮したこと数知れず。それでもそれなりに何とかやれてきて、胡坐をかいている自分がいる。プロとして恥ずかしくないか?!
デザインが特別なものと捉えられ、デザイン考案の部分がブラックボックス化していようが許されたのも、今は昔。ITの進歩もあってデザインが人々の身近になった現代では、「うまく言えないけど、これがカッコいい」などという掴みどころのない感性だけに頼るやり方は、もはや通用しない。
クライアントを含めたみんなが納得できるようなデザインの考え方の道筋や論理的根拠を、言語を使って伝えるスキルがプロのデザイナーには求められる。
経済を理解してデザインするスキル
また一方、商業広告の大命題は「利益を上げる」ことである。クライアントの売上や利益に無頓着な、もしくは意図的に目をそらすデザイナーは、ビジネスパートナーとして選ばれない。
デザインを専攻する学生とのコラボで食品パッケージを制作したが、不良在庫の山を築いただけ、といった事例を近年よく見聞きする。今日マスコミで「新型コロナ感染予防と社会経済活動の両⽴」というフレーズが飛び交っているが、「人々の生活を取り巻く、金銭を媒介とした世の中の仕事の流れ」こそが、いわば「経済」である。実社会で経験を積んでいない学生に、この「経済」の実態がピンとこないのも無理はない。
プロのデザイナーには、「経済」を理解した上でデザインを考案するスキルも求められる。
以上、自戒の念を込めて書かせていただいた。
2020.11.11
スタッフワークという社名は、企業の外部スタッフとして様々なワーク(仕事)をサポートします、という趣旨の造語です。「よろずサポート屋」からスタートして、今は食品専門の広告プロダクションとして活動しています。これからも一貫して変えたくないのは、クライアント(事業者)といっしょに汗をかく、という創業以来の基本スタンス(姿勢)です。
https://staffwork.co.jp
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