幸せを手に入れる最後の方法 ~2年間のカウンセリング実録~ 学びと気づき、そしてシンクロ②
そして、その日はすぐに訪れた。
笑顔で生きていきましょう!」
「昨日は、友達にお誕生日のお祝いとして、シルクドソレイユの公演に連れて行ってもらいました。
帰りにはフレンチレストランでコース料理をごちそうになりました。
お仕事は今日も順調でした。
今日はメンタルの修了パーティーの締め切りで、行こうかどうしようか悩んでいます。」
「咲笑ちゃん、いい日が続いてますね。
笑顔でいるとそれだけで自分も周りも楽しくなります。
でもまだ修了パーティーに出る事には抵抗があるんですね。」
「母に資金援助を一切やめると言われました。
ものすごいショックでした。
数日後に発言は撤回されましたが傷が残りました。
パーティーの費用が気がかりです。
私には傷が残りましたが、母は発言を撤回したのですっきりしているようです。
『お金、助けてあげようか?』と言ってくれますが、私は意地になっています。」
「一度聞いてしまった事は取り消せないもんね。
言った事を撤回してすっきりしたように見えるお母さんとは違って、咲笑ちゃんにとっては単にお金の援助だけの問題ではなかったから、余計意地になっちゃうんだね…。」
「そうです。私はせびったことも、たかりに行ったこともないのに。
今になって『咲笑のいいように生きて行ったらいいのよ。応援してるよ』って言います。
虫が良すぎる、と言ったらいけないのかな。
ずっと寄り添ってきました。フォローしてきました。
もう疲れました。
彼とたくさん一緒にいられて、彼の好意をすこしはリアルに感じられた気がして、今は落ち着いています。
いろんなことがうまくいっていて、私の機嫌はいいんです。
でも、さっき母が田舎から届いたメロンを持ってきてくれたのに、敢えてぶっきらぼうな態度を取ってしまいました。
私は傷ついてるよ、と知らせたかったんです。
パーティーには行かない。プロコースにも行かない。
自分の未来を潰すことで、傷ついていることを分かって欲しいのです。
でもこんな演技じみたやりとり、全てやめたいです。
いつもこうでした。悲劇のヒロイン役の取り合い。」
「援助してもらう立場の人間が言ってはいけない言葉だと思ってるんだね。
でも傷ついた心は元に戻らないから、傷ついてることは分かって欲しい…。
そして演技じみたやり取りは止めたい。
そのためにはどんな方法があるのかな?」
「関わらないことしか出てこない。」
関わらない事でストレスを回避しようと思うんだね…。」
「いつもこうだったから、他の方法なんて思いつかない。」
ここで僕はもう一度少しだけ悩み、覚悟を決めて自分自身のことを話すことにした。
「僕の体験を話します。
これはあくまでも僕の体験だから、咲笑ちゃんに当てはまるかどうか分かりません。
でも参考になるかもしれないので伝えておきますね。
父親との話なので嫌な気持ちになったらごめんなさい。でも話します。
僕は子供の頃から父と折り合いが悪く、楽しい思い出がありませんでした。
よく怒られたし、よく叩かれた。
大学進学で家を出たときは父親と離れて暮らせるのが一番嬉しかった。
受験の時も、進学の時も、就職の時も、結婚する時も、マンションを買ったときも、全部嫌味を言われたり反対されたり。
父が僕の事を認めた事なんて一度もなかった。
3年前に娘の進学の事で言い合いになって、僕はそれから父と一切接触をしてなかった。
嫌いだったし、一生それでもいいと思ってた。
でも、僕自身の行動が子供たちのモデルになるのは良くないな、僕自身が子供たちとの接点がなくなると嫌だな、と思うようになった。
子供の前で親との悪い関係の見本を見せたくなかった。
でも話はどうしようもなくこじれてて、きっかけもつかめない。
だからIメッセージの手紙を書いて出すことにした。
そして先週、遂に会いに行ったんだけど、まぁそんなに関係はよくならなかった。
もう会わないって決めて生きてた時と、手紙を出して動いた後では、自分の気持ちが全く違うことに気づいた。
自分から扉を開けたってことで、すごく自分の気持ちがすっきりしたんだ。
僕は音楽療法の講座、一度も泣いたことない。
「親なんて」ってずっと思ってたから。
泣けないことが良いとか悪いとか言うつもりはないけれど、手紙を出した後は音楽療法の講座をストレスなく受ける事ができた。
というか、それまですごいストレスを抱えて受講していたことに気付いて驚いた。
父が何を言おうが、別の人間だから仕方ない。
僕はこうならないようにしようと思うけど、こんな生き方しかできない人もいるよね。そんな感じ。
僕にとっては関係を断ち、目を背けてる時の方がストレスが大きかった。
昔はずっと言い合いをしてたけど、今は言い合いをしようとも思わない。
ある意味冷たい解決かも知れないけど、気持ちは楽になった。
だから何が正解かは分からないし、人によって感じ方は違うと思うけど、咲笑ちゃんにも、お母さんと関わりを持たないっていうこと以外の、いろんな選択肢を考えて欲しいなって思う。
一方的でごめんね。」
絶え間なく送られてきていたメッセージが、そこでしばらく途絶えた。
僕は、決心して伝えた自分の話が咲笑ちゃんにどう伝わったのか、どきどきしながら彼女の反応を待つしかなかった。
最後に彼女から送られてきたメッセージは短かったが、僕を心から安堵させてくれた。
「パーティー、申し込みした。」
幸せを手に入れる最後の方法
~2年間のカウンセリング実録~
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
そして初回からおつきあいくださっているみなさん、いつもありがとうございます。
咲笑ちゃんとのカウンセリングは次回で一度区切りを迎えます。
また明日更新します。
咲笑ちゃんの変化を感じる大きな変化を是非お読みください。
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