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映画「野球部に花束を」感想 監督と3年生と野球部の本質

完全にギャグ映画だった。まったく予備知識抜きで鑑賞したので、もっと真面目な野球部の生活を描くのかと思ったが、逆に楽しかった。声がデカい怖い監督、反抗を許さない3年生など、このご時世では問題になることばかり。特に、監督がヤバすぎた。わたしは有りえないとくすくす笑っていたが、実際の野球部は違うだろう。たまに体罰などのニュースがトップニュースになるから読むが、野球部では、もっと生々しい事実があるので、見るのは辛いかもしれない。わたしも学生の頃は、怖い先生がいて、それは恐怖の具現化でもあった。怖い記憶はトラウマになって、ちょっとしたことでよみがえってしまう。実際に体験したことを映像化されると、確かに顔を背けたくなる。とはいえ、かなりマイルドになっていて、元ロッテの里崎さんの解説も相まって、楽しく観れるようにはなっている。監督の態度や言動は、完全にパワハラで職員室でも、他の先生も何も言えない状況になっている。中々コミカルだか、怖いのは変わりなく、高校生では反論できないと思う。あのサングラスもポイントで、怖さに拍車をかけるのだ。朝練などで、テスト中でも寝ている描写があったので、クレームが入るだろうとは思った。

映画からは、『高校野球の本質』が見えたのが印象的だ。監督は絶対であり、1年生は雑用があり、先輩の練習に朝練で付き合う。さらに、監督の理不尽なコンバートや練習など、監督と3年生がすべてで、1年生と2年生は彼らのサポートということだ。1年生は先輩に対して拒否権はなく、自分を犠牲にした行動を求められ、2年生は1年生の世話と3年生のサポートと中間管理職である。逆に3年生は自由に練習できる雰囲気があり、3年生を基準に運営されている。舞台は何とか3回戦に行ける県立高校なので、強豪私立だと変わるだろう。実力主義で、上下関係が緩い高校もあると聞く。甲子園に行ける高校と行けない高校な格差の一つだろう。実力よりも上下関係がすべてで、如何に1年生が大変化を感じさせる作品だ。劇中で、2年生になった途端に鬼になり、大声で1年生を怒鳴る生徒がいたが、それほどまでにストレスが溜まっているのだろう。だからこそ、実力主義で3年生になっても試合に出れないというのは、2年間耐えた意味がなく、そのための上下なのかと思ってしまう。こーゆーのは、社会人になってもあるかも。ずっと、理不尽に耐えたからこそ、今度は部下にも同じ体験をしてもらわないといけない。どす黒い感情があるような気がする。

一つ気になったのは、練習時間がないと言いながら、ナイター設備を使うまで練習していたことだ。夏の予選前なので、19時以降も練習していたのか?まあ、強豪私立は練習時間が多いとのことなのだか、ナイター設備が野球部のグラウンドにあると言うのは、割と経済的に豊かな高校なのか?イマイチ、スポーツ的にも、学力的にもよくわからない高校ではあった。

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