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映画「四畳半タイムマシンブルース」感想 タイムマシーン×学生寮×京都の大学

森見登美彦の作品は好きで、有頂天家族が好きだった。ただ、今回の四畳半タイムマシンブルースは滅茶苦茶面白い。キャラクターも活き活きしているし、しっかりと伏線を消化している。よく、適当に伏線を巻くだけ巻いて終わる作品があるが、本作はしっかりと回収していく。特に、田村くんの明確にならない伏線がよい。分かる人だけに分かるのだ。田村くんの母親はラストで分かるが、父親は明言されない。しかし、2回目を観るとしっかり理解できる。まあ、父親は主人公の「私」なのだが、田村くんは私に褒められると顔を輝かせたり、私にご健闘をと言ったりして、私が父親なのをしっかりと表現しているのがいい。タイムマシーンも某ネコ型ロボットよろしくな形状をしているのもいい。一発でタイムマシーンと分かるから、試行錯誤してタイムマシーンがどうかを判断する時間も短い。しかも、タイムマシーンが故障することも考えていて、過去に行ったら戻れなく場合もしっかり考えている。物語に余計な幅がないことで、狭いがだからこそ下鴨幽水荘の話が閉じることになっている。タイムマシーンはSFの代名詞だが、余計な人間描写があったりしてたのしめないことがある。本作は、それを上手く料理して無理ない範囲で人間関係を表現して尚且、タイムマシーンで伏線を回収しながら物語を収束させる。観ていて気持ちがいいし、納得できる。京都の古い学生寮で起こるスケールが大きいが、やっていることは狭いそんな物語。

明石さんが本当に可愛い。それでいて芯のある女性。原作者もほめていたらしい。萌えではないのだが、独特の絵でここまで可愛いのは珍しい。自分をしっかりともっている人間は本当に魅力的であり、こうなりたいなとも思う。ある意味で物語を引っ張った人物であり、このひとがいないと成り立たない。未来人の田村くんにも関係あるし。

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