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一番好きな映画に出逢った2023

「一番好きな映画は何?」という質問は非常に難しい。なので人生で一番観てる『コブラ』や『ローマの休日』とかは殿堂入り的別枠にしている。

芝居を始めてから観た作品の中で「一番好きな映画」として挙げていたものが一つあった。その映画のポスターを10年近くずっと携帯のホーム画面の画像に設定している。

その設定は今も変わらないけど、今年観た55本の映画の中でこれから「一番好きな映画」を聞かれたらこれを言おうと思う作品に出会った。私の中ではかなり衝撃的な出来事なので、その映画を今回言葉に残しておこうと思う。

お腹の中にいた時から映画館にいたから名前に「映画」の字が入ってるんだけど、そのおかげか私にとって映画館という場所は娯楽以前に落ち着く場所になっている。

嫌なことがあった時に温泉に行く感覚で映画館に駆け込んで、その2時間だけは忘れさせてくれるし、なんならその2時間だけは生きてもいいんだって赦しの場になっている時もある。深呼吸するために映画館に行くみたいな。

芝居を始めた頃は純粋に映画を楽しめなくて芝居の勉強のために観てたりしたけど、今は上映時間を思いっきり楽しむために観に行っている。

そんな私が今年一番衝撃的に感動したのは『エンドロールのつづき』というインド映画。「歌って踊るんでしょ?」っていう先入観は何も入れてほしくない。

ただね、インドに行った直後に観たから贔屓目は少しあるかもしれない。例えば、チャイの作り方や料理に共感できたり、壁に貼ってある神様に目が入ったり、インドに行ってなかったら見向きもしなかった光景にとても敏感に反応するようになった。

だけど大前提にこの映画は「映画」の話ということを知ってもらいたい。「映画」に対する純粋さだけで私は涙が出た。「リサイクル」というものが必ずしも「良いこと」ではなく残酷にすら感じるほど、純粋さがあまりに美しかった。

たとえば映画の虜になった少年が映画を自分で作るために
「光を捕らえよう」
と言う。「映画を勉強したい」じゃなく

「光を勉強したい。
光は物語を映してくれるから。
物語は映画を作ってくれるから」

観終わってすぐにこの言葉をメモしたのを覚えている。「映画」の素晴らしさを純粋な視点で教えてもらって胸が熱くなったんだよね。

そうか。映画が好きな理由を丁寧に実感させてくれて、映画が好きで良かったって思わせてくれたから衝撃的に感動したのかもしれない。日常に忙殺されるとなくなりそうになる大切なものをこの映画で取り戻せそうな気がする。

そうやって心をフラットに戻したい時に、またこの映画に出会いたいって意味もあってこれから一番好きな映画を聞かれたらこの作品を言いたいと思った。

こんなことを書きながら、私の鼻は今インドの香りに包まれている。

私はマスクを玄関のドアにくっつくケースに入れている。上から補充して下から抜いていくタイプ。ある日袋に入ったマスクが鞄から見つかってケースの上から補充し、下から抜いて使用していたらなんだか懐かしい香りがすると思って、すぐにインドの香りだとわかった。

インドに持って行ったけど、余ったマスクだったらしい。ちょうど1年経っても消えない香りで思い出した。それから合計1週間分くらいはインド香マスクがあって、つけた瞬間一気にインドになるんだけど、その香りと日本の景色が全く合わないのは明らかで、だからインドにいた時よりインドの香りを感じられた気がする。

なんの不快感もなく、インドの香りに包まれながらインドの映画のことについて書いている。インドが恋しい。今思えば2023年は私が出会ったインドについてたくさんの人に話した気がする。今でもお礼を言う時は手を合わせちゃうしね。

以前書いた「インドマインド」が身近に寄り添ってくれていたのかもしれない。インド人の方に「エリカさん、インド住めますよ」って言われたらどこでも生きていけるような勇気ももらった。

2023年もインドで締めくくりになった。
素敵な映画に出会えたように、またインドに出会いたい。

皆さま今年一年もダンニャワード🙏

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