時代は変わり、人も変わる。ジェンダーの話。
自分の性別を意識したのはいつのことだろう。
アラフィフの私の世代。
「男のくせに」とか「女の子らしく」とか、今じゃNGワードを普通に言われて育った世代。
私には弟がいる。
私たちが小さい頃。
学生時代柔道部だった父は、弟に柔道を教えて遊んでいた。
私も同じように遊んで欲しくて「柔道教えてー」と頼んだ。
「女の子は危ないからダメ」
その父の言葉がわからなかった。
私がバレエとピアノを習い出した時。
弟が同じように習いたいと言った。
「バレエやピアノなんて男がするもんじゃない」
その父の言葉もわからなかった。
今思えば、その頃から性別の違いというものを意識し始めたんだと思う。
女は女らしく。
男は男らしく。
って何?
同じ人間なのに何が違うんだろう?
そして、学生の頃施行された男女雇用機会均等法に驚いた。
え?男女って平等じゃなかったのか!
数年後、新卒入社した広告デザイン会社は幸い男女平等だった。
人によってはセクハラっぽいことを言う人もいたけど。
性別関係なく能力給だった。
そんな環境下で、男女差というのをあまり感じない日々を過ごした。
20代半ばに結婚して数年、共稼ぎ生活。
20代後半。
男女の違いを体感する時が来た。
それは妊娠・出産。
妊娠・出産は女性にしかできない。
育児は一緒にしようと思えばできるけど、私の場合はできなかった。
当時の夫の仕事は深夜までのハードワーク。
料理も洗濯も家事もできる夫だけれど時間的に無理。
「私だって二人の子供を実家に頼らず育てたんだから」と言う母にも頼れず。
結局、出産を機にフルタイムの仕事を退職。
ワンオペ育児生活が始まる。
フリーランスでストックイラストレーターを始めるまで、いくつかパートタイムの仕事をした。
その中の一つに学童保育の助手の先生があった。
学童保育に迎えに来るのはほとんどがお母さんかおばあちゃん。
お父さんやおじいちゃんのお迎えはほぼ無かった。
「娘を産んでから十数年経つのに育児はまだ女性の仕事なのかー」と当時思った。
でも最近、ベビーカーの赤ちゃんとお父さんの姿をよく見かける。
お母さんと抱っこ紐姿のお父さんを見かける回数が年々増えている。
そういえば産後間もない頃。
真夜中の3時とかに帰宅した夫は、首もまだ座らない娘を毎日お風呂に入れていた。
「そんな時間にお風呂なんて赤ちゃんがかわいそう!育児は女の仕事でしょ!」と母に叱られたけど。
二人の子供だから一緒に育児がしたかった。
その後、時代は変わり夫の仕事も深夜までということも無くなった。
周りで育児休暇を取った男性の話も聞くようになった。
「バレエやピアノなんて男がするもんじゃない」
そう言っていた父も、定年後に料理や洗濯をするようになった。
私自身も。
出産を機にデザイン関係の仕事をすることを諦めていたけど。
現在、ストックイラストを描いている。
これはデザイナーさんが使いやすいかな?などと考えながら。
時代は変わり、人も変わる。
自分の娘や若い世代の人たちがこの先、男女差を越え協力して生活していけますように。
女らしく、男らしくではなく、その人らしく生きていけますように。
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