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Vol.10 日本の伝統食を知ること

お正月や節分、桃の節句に端午の節句など、日本古来の行事には伝統食がつきものです。日本の伝統食について、子どもと一緒にお料理しながら、その食材が何から作られているのかを一緒に考えてみると、知識も深まり食わず嫌いも克服できちゃいます。

お料理教室で老舗のお味噌屋さんとコラボレーションした白味噌レッスンを行いました。食べたことがない子も多い白味噌を美味しく食べてもらうため試作を重ね、風味を活かした「白味噌ティラミス」と本来の味が際立つ「味噌玉」を作りました。

ある日、初めての食材を食べるのが少し苦手な子が参加してくれました。「うちの子、初めての味覚が苦手なの。」と不安げな表情を浮かべたお母様。さてレッスンスタートです。

初めはみんな「お味噌変な匂いがするー!」と少し怪訝そうに白味噌を観察しています。「不思議な匂いがするね。お味噌は、大豆やお米をたーくさん寝んねさせて作るんだよ。それをね、発酵と呼んでいて、発酵しているからこういう不思議な匂いがするんだね。納豆やキムチも同じように発酵して作るものだから不思議な匂いがするよ。今度嗅いでごらん!」すると、子どもは「ハッコウってなんだ?」とハテナな表情を浮かべながらも、すぐに「ハッコウ寝んね!不思議な匂いー!」と彼ら自身の発酵の定義が完成した模様。(頭の中にある発酵たるもののイマジネーションが見たい!)

さて、先ほどの子、白味噌の説明を通じて、これは“元々知っている大豆とお米が寝んねしてできたもの”と理解し、すっかり白味噌への警戒心が解けた様子。「変な匂いー」と言いつつ、終始笑顔です。これはもう大丈夫、食べられるな。私も心の中でガッツポーズです。

さて、お待ちかねの試食。自分で作ったお味噌汁のお椀を大切に両手で包み込み、ゆっくりと味わいながら「ふわぁー。ホッするね。」なんて、ちょっと一丁前なコメントが聞こえます(笑)。今度は味噌の風味が残ったティラミスです。「口の中にふわっとお味噌の香りが残ってる!」と大人顔負けの食レポです。もちろん、初めての食材が苦手だった子も、ニコニコ笑顔で「お味噌って美味しいね!」と大きなお口でパクリパクリと食べていました。

これは何からできているのか?について親子で一緒に考えて、その製法を想像してみることで、子どもにとって、もはやその食材はただのお味噌ではなく、「長い眠りから覚めたお味噌ちゃん」へと変化するのです。

海外から多くが流入している現代において、日本古来の伝統的な文化や食べ物を、積極的に子どもに伝承していくことは、大切な教えであると考えます。なぜなら、遥か昔から日本のしきたりを守る努力を怠らず、伝統を紡ぎ出される方々への敬意を、私たち親がしっかりと子どもへ継承していかなくてはならないからです。大人も一緒に、改めて日本の伝統について考えてみる。私たち親にとっても新たな発見が生まれる素敵な時間ですね。

筆者:リトルシェフクッキング(株)代表 武田 昌美

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