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『本を読んだことがない32歳が初めて「走れメロス」を読む日』を読んで

 32歳が本を読むだけでこんなに面白いの、何?
 と思いながら記事を読んだ。つまりこれは感想の感想。

 太宰治の『メロス』。
 教科書にも載っているから大体わかるだろうけど、さっと読み切れる短編だ。十五分もあれば読める。
 それを三時間かけて読む。
 ……そんなことある?
 そんなに立ち止まるところないだろあの話、と首を捻りながら記事を読み進めるとなるほど。読み手のみくのしんさん、感受性がかなり豊かな人らしい。えっ大人でここまで純粋な人いる? レベルで豊か。いい意味で子供の感性を残したままの人だった。こういう人ばっかりなら世界も平和なのになあ。

 まずすごいなと思ったのは、知らない単語を読み飛ばさずにちゃんとわからないな、と立ち止まるところ。しかもそれを質問できること。
 特に大人になるとありがちだけど、この程度のこと聞いて笑われないかなとか、そういう躊躇がないのはすごいことだ。わからない単語が出てこようと大概読めてしまうものだから、読み飛ばしてしまいがちになる。そこを疎かにしない人はきっと国語を好きになれる素質があると思う。
 しかも「自分だったら」というのがすごく自然に考えられてるのもすごい。これ、個人的には算数の文章題に近いと思っていて、できる人は何が難しいかわからないくらい簡単に解けるんだけど、できない人にはそもそもの考え方の時点で躓く、というような。
 しかしなんで読書苦手だったんだこの人。

 個人的には序盤から延々といい加減にしろよメロス、とキレながら読んだ作品だったので、違う視点を見れて面白かったのもある。
 私は読書好きだけど、人がどこを読んでどう感じたかってあまり知れる機会がないから。基本的に本って一人で読むものだし。

 記事の最後に感想文あるけど、この人普通に語彙力もすごい。

土砂降りの雨上がりにステンドグラスを太陽が突くみたいなきもちのいいラスト

『本を読んだことがない32歳が初めて「走れメロス」を読む日』
より引用

 普通にこの文章出ない。出ないけど皆想像できる比喩。この人の見る世界は彩度が高いんだろうな。

 勿論動画ではないし多少脚色はあるんだろうけど、読書で泣けるのは才能だ。国語の時間に泣いた人、少なくとも私は見た記憶がない。しかもこんな序盤で泣くことない。
 これに付き合ってたかまどさんもすごい。目の前でこれだけ感情がしっちゃかめっちゃかになってる人見るのは楽しいだろうけど。
 これから夏休みの宿題で読書感想文書かないといけない人たちは、とりあえずこの記事読めば多少ハードルが下がるかも。お友達とみくのしんさんの真似しながらやったらひとしきり盛り上がるよきっと。とりあえず本を開くという行為は達成できるし。
 感想文も書き方は砕けてるけど、そこをチューンアップすれば参考になる文章じゃないかな。『トロッコ』も読んでたけどそっちはさらに参考になると思う。ただ同じ書き方すると怒られる可能性はあります。私は好きだけど。

 読書って楽しいし自由だよ。というのがよくわかるいい記事でした!終わり!

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