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Webサイト『直翅類.jp』の管理人です。いろいろ書いてみることにしました。 https://www.orthoptera-jp.com

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  • 美声種の沼

    美しい鳴き声で知られる直翅目の中で、筆者が沼落ちしたものについてまとめています。

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僕たちが自然のためにできること

直翅類の分布調査を始めるにあたり僕は自然が好きです。どうして好きになったのか聞かれても分からないほど、ずっと前から好きです。今、その自然が消えつつあります。2019年11月、日本自然保護協会が、全国の里山市民調査「重要生態系監視地域モニタリング推進事業(里地調査)」で、2005年~2017年度の全国約200か所の調査地から得られたデータをとりまとめた報告書を出しました。それによると、日本の里山において、チョウやホタルなどの昆虫類のほか、ハシブトガラス、ヒヨドリ、ツバメなどの鳥

    • 採集最難関のカラフトキリギリス攻略法を行動パターンから考える

      カラフトキリギリスは北海道のごく一部にのみ生息するキリギリスの仲間です。生息地のほとんどが国定公園の中にあり、特別保護地区での採集は法律で禁止されています。よって、採集可能な場所はさらに限定されます。しかし、カラフトキリギリスが採集最難関と言われる所以はそこではありません。隠れるのがとにかく上手いのです。 夏の風物詩にもなっている本土のキリギリスは警戒心が強く、人の気配を感じるとポトリと落下し、草の深い方へと逃げていきます。一般的に採集が難しい部類に入りますが、追いかければ

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      • 美声種の沼|リュウキュウサワマツムシ

        亜熱帯の森にこだまする冴え渡った音色は、鳴く虫好きなら誰もが憧れます。その正体はリュウキュウサワマツムシ。南西諸島の渓流沿いに生息します。奄美大島を始めとする分布域にはいずれも毒蛇のハブがいるため、おいそれとは採集しに行けません。虎穴に入らざれば虎子を得ずとは、よく言ったものです。 図鑑などの書籍には、リュウキュウサワマツムシは「周年発生」、つまり1年中成虫が見られるとあります。2019年6月に初めて西表島を訪れた際、夜道を車で走ると、あちらこちらで美しい鳴き声が響いていま

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        • 美声種の沼|フトアシジマカネタタキ

          「チン・チリリ」と非常に美しい声で鳴くとされるフトアシジマカネタタキ。しかし、マイナーであるが故の宿命でしょうか、音源はおよそ15年前に発売された書籍に付属するCDに収録されているのみで、WebサイトやSNS上にはありませんでした。実際の鳴き声がどんなものか知らないまま、ただ美しいという情報だけが入ってくる状態は、まるでどこかに隠されているという財宝の言い伝えを聞いているかのようで、聞きなしから鳴き声を想像しては、憧れを募らせていました。 想像力をさらに搔き立てたのは、「チ

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          2023年の遠征を振り返る 西表島編

          3月下旬に石垣島から始まった「ヤエヤマヒメボタルの写真を撮って、ヒノマルコロギスも採っちゃおう」の旅。2日目からは西表島になります。石垣島編はこちらをお読みください。 3/19 石垣港離島ターミナルから高速船でおよそ40分。西表島大原港に到着しました。レンタカーを借り、スーパーで飲み物などを調達した後、南部にある林道に向かいます。 この日の天気は曇りで、長袖を着ていても丁度良いくらい。時々、銃声のような大きな音が辺りに響きます。これは爆音機といって、農作物被害防止のため

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          2023年の遠征を振り返る 西表島編

          2023年の遠征を振り返る 石垣島編

          3月下旬。遠征初めは八重山諸島がここ最近の恒例となっています。南琉球は中琉球と比べて直翅の発生が早く、この時期から色々見られます。特に樹上性のツユムシは成虫になってしまうと採集が困難になるので、幼虫のうちに探すのが理想です。丁度ヤエヤマヒメボタルのシーズンでもあるので、ホタル観賞という楽しみもあります。何より沖縄はスギがないのが素晴らしい。普段は生物多様性を大切にしたいと考えていますが、この時期だけはスギを焼き払ってしまいたいと思います。それはさておき、今回の遠征は、 「ヤ

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          2023年の遠征を振り返る 石垣島編

          採集難関種のアシグロウマオイを追い求めたらコツが分かった話

          アシグロウマオイは奄美大島以南の南西諸島に生息するキリギリス科の一種です。オスは風船のように膨らんだ翅が特徴で、国内のウマオイ属の中でも異彩を放っており、随一のカッコよさがあります。ススキの株の中に生息していてなかなか姿を見せず、人の気配を感じると奥の方へと逃げてしまうことから、採集難易度が高いとされています。特にメスは表に出てこないため、発見されること自体が稀です。累代飼育を阻む分厚い壁として、多くの愛好家が苦しめられきました。また、アシグロウマオイの生息が確認されている島

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