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採集難関種のアシグロウマオイを追い求めたらコツが分かった話

アシグロウマオイは奄美大島以南の南西諸島に生息するキリギリス科の一種です。オスは風船のように膨らんだ翅が特徴で、国内のウマオイ属の中でも異彩を放っており、随一のカッコよさがあります。ススキの株の中に生息していてなかなか姿を見せず、人の気配を感じると奥の方へと逃げてしまうことから、採集難易度が高いとされています。特にメスは表に出てこないため、発見されること自体が稀です。累代飼育を阻む分厚い壁として、多くの愛好家が苦しめられきました。また、アシグロウマオイの生息が確認されている島の多くがハブの分布域と重なるので、藪漕ぎは危険が伴います。嘘か真か、「ポイズンリムーバーを手に持ちながら複数人でローラーをかける」なんて方法が語られているほどで、その採集の難しさが伝わるかと思います。この採集難関種たるアシグロウマオイを数年間探し求めた結果、壁を突破する方法を見出したので、その軌跡を記したいと思います。なお、本稿は興味本位ではなく、本当に知りたい方だけに読んでいただきたいため、記事の大部分を有料としています。ご了承ください。


まずはハブのいない島へ

JTAのジンベエジェット

6月下旬。最悪ススキをかき分けて探すことになっても良いように、まずはハブが生息していない宮古島に向かいました。生息地に関する情報が全く無く、直翅の層が薄い島に賭けるのは不安でしたが、とりあえず夜を待って、海岸沿いのススキ草原を目指します。目星を付けたポイントに向かう道中、タイワンクツワムシとは違う特徴的で大きな音が聞こえてきました。探し求めていたアシグロウマオイの鳴き声です。適当なところに車を停めて声の主を探します。

ここで思わぬ事態が…

早速、しな垂れたススキが被さった路上にオスがいるのを発見しました。呑気に写真を撮っていたら株の方に逃げ込まれる恐れがあるため、急いで採集します。無事に確保し、一先ず「成果なし」という事態は免れたので、この後は落ち着いて探すことができます。するとここで、あることに気付きます。

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