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採集最難関のカラフトキリギリス攻略法を行動パターンから考える

カラフトキリギリスは北海道のごく一部にのみ生息するキリギリスの仲間です。生息地のほとんどが国定公園の中にあり、特別保護地区での採集は法律で禁止されています。よって、採集可能な場所はさらに限定されます。しかし、カラフトキリギリスが採集最難関と言われる所以はそこではありません。


カラフトキリギリスが採集最難関種たる理由

カラフトキリギリスが生息する草原

キリギリス屈指の警戒心の高さと厄介な逃走行動

夏の風物詩にもなっている本土のキリギリスは警戒心が強く、人の気配を感じるとポトリと落下し、草の深い方へと逃げていきます。一般的に採集が難しい部類に入りますが、追いかければ追いかけるだけ逃げようとするので、居場所の捕捉が可能です。大体どの辺にいるかは草の揺れで分かります。

草むらから飛び出たキリギリス

カラフトキリギリスはさらにこの上を行きます。警戒心がひと際強いだけでなく、深い藪に逃げ込むとそこから動こうとしません。つまり、追い出し作戦が通用しないのです。生息地である湿地や草原は植物がかなり密生していて足元が見えず、さらに凶悪な棘をもつハマナスが自生しています。逃げ込まれると手も足も出ません。そして、地味に厄介なのが蚊です。とにかく数が多くて鬱陶しいのですが、虫除けが全く効かず、顔にも塗りましたがかなり刺されました。集中力を削がれ、虫探しどころではなくなります。

オスには簡単に見つかる条件がある

そんな環境ですが、オスには攻略法があります。よく晴れた早朝に、藪から出てきて鳴く習性があります。活発に動き回り、目立つところにも現れるので、天気さえ味方につけてしまえば、比較的簡単に捕まえられます。逆に日が陰ってしまったり、曇りの日は全く見つかりません。あれだけの数がいたはずなのに、どこへ消えてしまったのかと思ったほどです。運要素はどうしても避けられないのがカラフトキリギリスの難しいところと言えるでしょう。

目につきやすい場所で鳴いているカラフトキリギリス

問題はメスで、こちらは藪から出てきません。鳴く時間帯のオスの活発さを見るに、メスはオスが近くにやって来るのをひたすら待つスタイルだと予想できます。ただでさえ動かないのに、先述の逃避行動が加わるわけですから、相当な幸運を引き寄せなければ、姿を見ることすら叶わないでしょう。

…と、ここまでカラフトキリギリスの採集の難しさを説明してきたわけですが、ビギナーズラックなのか奇跡的にメスを1匹捕まえることができたので、試しに飼育してみました。そこで、攻略のヒントになりそうな、メスにしか見られない行動パターンがあることに気付きました。直翅目の楽しみ方は飼育や繁殖が主流。採集する以上はメスも欲しいものです。本稿では、カラフトキリギリスのメスを採集するにあたり、少しでも遭遇率を上げるための条件を考察します。なお、これ以降に記載する方法で、どれほどの成果があるかや、再現性については現時点で未検証です。ひとつの可能性としてお読みいただければと思います。

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