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美声種の沼

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美しい鳴き声で知られる直翅目の中で、筆者が沼落ちしたものについてまとめています。
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美声種の沼|リュウキュウサワマツムシ

亜熱帯の森にこだまする冴え渡った音色は、鳴く虫好きなら誰もが憧れます。その正体はリュウキュウサワマツムシ。南西諸島の渓流沿いに生息しています。奄美大島を始めとする分布域にはいずれも毒蛇のハブの仲間がいるため、おいそれとは採集しに行けません。虎穴に入らずんば虎子を得ずとは、よく言ったものです。 図鑑などの書籍には、リュウキュウサワマツムシは「周年発生」、つまり1年中成虫が見られるとあります。2019年6月に初遠征で西表島を訪れた際には、夜道を車で走ると、あちらこちらで美しい鳴

¥1,980

美声種の沼|フトアシジマカネタタキ

「チン・チリリ」と非常に美しい声で鳴くとされるフトアシジマカネタタキ。しかし、マイナーであるが故の宿命でしょうか、音源はおよそ15年前に発売された書籍に付属するCDに収録されているのみで、WebサイトやSNS上にはありませんでした。実際の鳴き声がどんなものか知らないまま、ただ美しいという情報だけが入ってくる状態は、まるでどこかに隠されているという財宝の言い伝えを聞いているかのようで、聞きなしから鳴き声を想像しては、憧れを募らせていました。 想像力をさらに搔き立てたのは、「チ

¥100