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多様性は正義なのか【正欲】

この間、小説「正欲」を読みました。

小説の具体的な内容に触れるつもりはありません。感想を容易に述べられるような内容でもないなあ、と思ったので。

この小説では、終始「人間の多様性」がテーマになっており、今時の「多様性信仰」にも近い現象を痛烈に皮肉っています。また、多様性とはかけ離れた人と人との理解の断絶が描かれています。

これを読んだ後、私は「多様性」って何なんだ、と考えました。

答えは出ていないのですが、考えたことをタラタラ書いてみます。


まず、我々は多様性を正義としすぎていないか、と思いました。

今まで、「多様性」という言葉は、社会や人間の性質の変化に寛容であること、様々な形を認めることだし、悪いはずがないと思っていました。しかし、本書の中では、現在の「多様性」では到底拾いきれない、多様性にすら許されない人が出てきます。

丁寧に描写されるその人の感情を見て、多様性の限界を感じました。
しかし、かといって悪でもないんですよね。

寛容の対象である人にとっては良いことである場合もありますし。

あとは、人間の性として、常に許す側でありたいと思う、というか、そう言う部分ってあるじゃないですか。そう言う感情って受け取る側は敏感に感じとるし、嫌なのかもしれないですよね。

これって結局正解はなくて、「いかに自分であり続けるか」みたいな、意地の張り合いだと思うんですよね。


本書の中で、世界はみな、「明日生きていること」を前提にしてできている、と言います。

先日最終巻が発売になった進撃の巨人では、人は「増えるため」に生きている、と言います。

それぞれの哲学があって、興味深いのですが、肝心なのは「どれも間違いない正解という訳ではない」ことだと思っています。

正解だと思っていてもそれは「正解」ではなく「信仰」であって、数学みたいに解が1つになる訳ではないです。

一つにして欲しいですけどね、正解に従って生きるのは楽なので。

ただ、どれも正解ではない、と思い始めると、「自分はじゃあどこに位置すればいいのか」を考える必要が出てきます。

多分この思考を経ないと、創造的にはなれないんじゃないかなあ。そんな気がしています。

ふわふわとよくわからない話を書きました。



昨日久しぶりにナガノさんがもぐらコロッケの漫画を投稿してくれて、嬉しかったですね。

やっぱり、もぐコロの不自由さと理不尽さと可愛らしさの絶妙なバランス、好きですね。


それでは。

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