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詩作まとめ

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詩たち。
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#白昼夢

『踊子』

神様ある日 意を決して

宇宙のとおくへ 引っ越すと

胸いっぱいに 風を吸う

その目はとても 嬉しそう

「星々の 砕ける音色に合わせつつ 
ひねもす踊り明かそうか!」

✳︎✳︎

踊りはじめて 幾億年

なんだか 悲しくなってきて

その目と髪と 脇の下

涙と汗が 飛び散って

万物全てを 巻き込んで

風船みたいに 飛んでった

後に残るは 踊子と

絶対零度の ボイドだけ

踊れば 

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『8号室』

わたしは ウソをつきました

ミナモにむかって コッソリと

いつしかウソが 糸を縫い

わたしは サナギになりました

ところが 膜があつくって

冬をも越せる あたたかさ

✳︎✳︎

そんなサナギは 息絶えた

✳︎

わたしの ちいさなポケットで

きらきら輝く みなさまへ

ーーこの部屋で あげたウブ声

いつまでも 憶えていてください

わたしは 忘れっぽいですが

おもい出すのは 上

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『虐殺』

もしもし、そこの綿帽子。

おれを焼いちゃあくれないか。

生憎さ、銀貨二枚とホーロー瓶しか持ってないが、

アザラシと、こいつで一杯やってくれ。

――休みの夜の、気晴らしさ。



煮るのはいやだ、焼いてくれ。

煮るのはいやだ、焼いてくれ。

だいじに残さず、捨ててくれ。

そっくりそのまま、捨ててくれ。

綿帽子。