#121: こんなときだから♪シューベルト〜さざめきが思い出を蘇らせる「菩提樹」
シューベルト:歌曲集『冬の旅』より「菩提樹」(1827)
#120 -126のテーマは「愛と優しさと切なさとー木と音楽」
恋人が眠っている間に別れを告げ,旅に出た青年は,菩提樹の前を通りかかる。この木陰で何度愛を誓い合っただろう。目に写っているのは枯れ木なはずなのに,葉のさざめきが聞こえてくるのが辛い。今聞こえているのは,風の音だ。あの時の美しい思い出ではないのだー。
フランツ・シューベルト(1797-1828)の歌曲『冬の旅』でもっとも有名な「菩提樹」は,歌曲王と呼ばれたシューベルトの真髄を堪能できる作品です。
冒頭のピアノは青々と茂った葉のさざめきのように聞こえます。あの時の思い出を振り払おうとしても,追いかけてくる。葉のさざめきと心のざわめきが重なり合います。切なく,そして美しければ美しいほど苦しい,そんな青春の1ページを切り取ったかのように心に響きます。
歌とピアノが織りなす歌曲の世界をお楽しみください。聞く人それぞれの甘く切ない思い出が蘇るでしょう......
今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!
https://www.youtube.com/watch?v=M6r6UxAMjhE
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