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自己紹介⑤夢中で駆け抜けた半年間!史上最大の上海万博で世界のVIPをお迎えした日々

みなさん、こんにちは!香港仕込みのほっこり系陰陽五行マスター・ゆみたんです。

まったく陰陽五行の話が出てこないまま、自己紹介第5回目を迎えました。2010年、今からちょうど10年前の上海万博の思い出。日本館のVIP接遇担当者として過ごした怒涛の半年間をお届けします。

↓過去の自己紹介記事も合わせてご覧いただけると嬉しいです。

①演劇オタク少女が大学で中国語を学びゲーム開発者になるまで

②初めての海外生活はアメリカ!アメリカンドリームなゲーム会社で共同開発

③ゲームと映画の融合は異次元レベルの挑戦!深作監督と『クロックタワー3』を振り返る

④一番輝いていた頃の上海で様々な仕事を経験!奇跡的に上海万博の仕事が決まるまで

すべてが史上最大!空前絶後の上海万博開幕

さて、突然のリストラ宣告からの奇跡の大逆転で上海万博日本館の仕事をGETしたゆみたん。5月1日の開幕まですでに1か月を切っていて、右も左もわからないまま飛び込むことに。

「でっかいことはいいことだ」の中国らしく、あらゆる面で「史上最大」規模の上海万博です。

・参加国数:史上最多の246の国・地域・機関
・総事業費:史上最高額の約286億元(約3,900億円)
・敷地面積:史上最大の328ヘクタール(なんと東京ドーム約70個分!!)

会場は黄浦江を挟んで浦東エリアと浦西エリアに分かれていて、日本館があったのは浦東エリアの北の端です。地下鉄からバスを乗り継いで、職員用の入り口へ。そこから職員用のバスで園内のゲートまで約10分。ゲートから歩いてまた5分と、通勤だけでヘトヘトです。

初日は職員用入り口がわからず、道に迷った挙句、遅刻してしまうという大失態!

いきなりやらかすゆみたんなのでした。

儀典部副部長に就任!世界のVIPを接遇

ゆみたんの肩書は『儀典部副部長』、なんだかビッグなポジションです!アテンダントさんたちはJETROの職員なのかと思ってくれていたようですが…

違うんです!ついこないだまで日本語教師やゲームの仕事をしてた、しがない現地採用なのですよー。

仕事内容は、各国のパビリオンと連絡を取り合って互いのVIPを訪問させるスケジュール調整をしたり、予約を確認したり、館内を案内したりすること。

VIPにはランクがあって、王族や皇族のみのSランク、大統領や首相のAランク、知事や省長など地方自治体のトップのBランクというようにプロトコルが分かれていました。

SやAランクは政府代表や館長がご案内されるのですが、一緒に着いて回ることも多く、テレビでしか観たことがないような世界のVIPを間近で見て、同じ空気を吸うという貴重な経験に心躍る毎日!

特に印象的だったのは、開幕前の内覧で訪れた江沢民。車椅子に乗ったヨボヨボのおじいちゃんかと思ったら、最後にスクッと立ち上がって政府代表と握手する時に「日本からはまだまだ学ぶことが多いですね。ありがとう。」と一言。ただ者じゃないオーラを感じました。

チベットの高僧を引き連れていらっしゃったパンチェン・ラマには『幸福をもたらす』という白い布を首にかけていただき、今でも宝物にしています。

鳩山元首相夫妻を始め当時の民主党政権の主なメンバーや、各国の政治家や大企業の社長さん、名だたる芸能人も続々とお見えになりました。

やっぱりSランクは違うなーと感じたのはオランダの王子様。気品があって、でも全然気取ってなくてむしろ気さくなぐらい。館内のエレベーターで「After you」と言って笑顔でレディーファーストされた時には、目がハートになっていたゆみたんです。

日本館に併設された小さなステージで平原綾香さんの『ジュピター』を生で聴いた時には感動で大泣き!

人気絶頂のSMAPが中国初のコンサートを万博で開催するということで、日本館にも『SMAP様ご一行』の予約がずっと前から入っていたのですが...

「人が殺到して危険だから」という理由で訪中自体が中止になった時にはガッカリで!

とても書き尽くせないエピソードがいっぱいです。

毎日が非日常で夢のような世界でしたが、いきなり世界の大物たちに囲まれてもビビらなかったのは、映画界の巨匠・深作欣二監督というラスボス級の洗礼を受けていたからかもしれません。

舞台裏で起こっていたこと

日本館は一番人気のサウジアラビア館に次ぐ人気のパビリオンで、常に4~5時間待ちでした。整理券はなく、長蛇の列に並ぶしかない一般庶民たち。

その一方で各パビリオンにはVIP専用の入り口があり、パビリオン経由で事前予約したVIPのみが待ち時間なしで優先入館できるようになっていました。

時にはその裏口からなんとかして潜り込もうとする輩がたびたび出没!

「ヨメが妊娠中だから」と泣き落とし作戦の人。

「有名な代議士の秘書の知り合いだから」と脅してくる人。

どんな理由でも正式な予約なしには絶対通してはいけない規則だったので、頑として受け付けずににいると、

「女じゃ話にならん。上司を呼んで来い!」と逆切れされたり、挙句の果てには「お前なんかクビにしてやる!」と吠えられたり。

笑顔で「なんとか入れてくれない?」と交渉に来た女性に、「どうしてもダメです」と笑顔で断ると、「F●ck you!」と豹変して捨て台詞を吐かれたり。

世の中こんな漫画みたいな人たちがほんとにいるんだーと驚くやらあきれるやら。国籍や年齢、性別に関わらず、こういう困った人たちは一定数いるのです。人間の品格とは何か深く考えさせられました。

万博は世界の縮図。世界のVIPたちはいつでもどこでも裏口から優先的に入って特別な待遇を受けているはず。私たち庶民は真面目に順番待ちするしかなく、なんとか裏口から潜り込もうとするズルい人たちもいる。

世の中って、人って、全然平等じゃないんですね。

世界から孤立する日本!その理由は?

それともう一つ、痛感させられたことがあります。それは、日本の細かすぎるルールは世界には受け入れてもらえないということ。

日本館には展示エリアの最後に劇場があり、30分毎にミュージカルが上演されていました。席数が限られているため、入館者数をリアルタイムで把握しコントロールしなくてはなりません。

そのため、VIPの予約にも厳格なルールが適用されていました。各パビリオンの担当者には、専用フォームで3日前までに申し込むようにお願いしていたのですが、これが全然守ってもらえない!

初めの内は、「今からうちのVIPが行くからよろしく!」みたいな電話がかかって来て、「急に言われても対応できません」と答えても、「他のパビリオンはやってくれるのに、なんでダメなんだ?」というやりとりが多発。

また、当日は予約確認書を持ってきてもらうようにお願いしても、持ってこない人がいたり、確認書の人数と合わないことがあったり。

日本だったら、みんな当たり前にやることが、ここでは全然通用しないのです。常にきっちりやってくれたのは中国館とドイツ館ぐらいです。

「電車が1分たりとも遅れないようにできるのは、世界中でも日本だけだよ」

後で仲良くなったドイツ館の人に言われたのを覚えています。

さらにキツかったのは、万博スタッフの中で、いつのまにか日本館が嫌われて孤立してしまったこと。

日本館だけは他のパビリオンのスタッフを裏口から優先入館させることができなかったから!

万博スタッフは、スタッフバッジを見せたら各パビリオンに優先入館できるようにしようという取り決めがありました。それなのに、日本館は例の厳格な予約システムにより、万博スタッフであろうと何人たりとも予約なしで入れることはできなかったのです。

「何よりも規則ありきで、例外は絶対に認めない」

秩序を守るための日本館の公正な姿勢はまったく理解されず、めんどくさい独自ルールを押し付ける偉そうな国だと疎まれてしまいました。

日本館のスタッフバッジで他のパビリオンに入れてもらおうとすると、「日本館はダメ」と断られることも多く、「世界の孤島・ガラパゴス日本」をヒシヒシと感じるゆみたんでした。

祭りの後

あっという間の半年が過ぎ、最終的には入場者数も史上最多の7308万人を記録。秋風が吹く中、ド派手な花火とともに史上最大の万博は幕を閉じました。きっとあんな規模でできる万博は後にも先にも上海万博だけでしょう。

必死で駆け抜けて、燃え尽きたゆみたん。それからしばらくは抜け殻のようでした。

10年経って思うのは、あの時の強烈な体験がしっかり今につながっているということです。

地方からバスで動員されてきた農民から世界のセレブまで、あらゆる階層の人たちの人間模様を見て、人に対する興味がますます深まったこと。

「やっぱり人は人で、どんな人もそれぞれの人生を一所懸命生きてるんだ」と、人という存在がみな愛おしく思えるような感覚。

まるで世界のひな型のようなかりそめの空間で、この世のしくみを知り、世界の中の日本が見え、ある種の達観したような境地に至りました。

陰陽五行と出会ってカウンセラーになった今も、あの時の体験から得たものが生かされていると感じます。

人生って、経験から学んでいくことの連続ですね。

★★★

【日本で生き辛い方への一言アドバイス】

日本の常識は世界の常識ではありません。一歩外に出ると、
日本は本当に特殊で独自のルールで動いている国だとわかります。
日本が息苦しく感じたら、世界に飛び出せば楽になりますよ。

★★★

さて次回は、ようやく陰陽五行と出会ってこの世に生まれてきた使命を知るゆみたんです。「自己紹介⑥陰陽五行と出会い香港へ!天命を知りライフワークをみつけるまで」に続きます。

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