「可・不可を問わず要返信」で起きてしまった意外な事件
事件、と呼ぶにはやや大げさかもしれません。そしてもう、ずいぶん昔のことですけれども。
発端:取引先の新人Aさんからのメール
会社勤めをしていた頃、ある取引先の新人・Aさんから交渉ごとを含むメールが届きました。「Zという商品をこの納期・価格で作れますか?」という内容でした。
私はまず、「こういう条件を加えていただけたらお取引可能です」と返信しようとしたんですね。
でも、そのとき思い出したんです。この取引先の他の社員・Bさんと、同じようなやりとりを何度かしたことがあるなと。
ベテラン社員Bさんのやや困った癖
ベテラン社員のBさんは、いつも「条件OK」なら返信してくださるんですが、「NG」のときは返信がありませんでした。
1週間も2週間も返事を待った挙句、こちらから電話して「あ〜その件結局消えました」と言われると、結構ガックリきちゃうんですよね。
今回は別の人(Aさん)とのやりとりですが、Bさんに仕事を教わっているのだとしたら、同じ対応をされるかもしれない。
でも逆に、この一発目で「OKでもNGでも返事ください」と伝えておけば、双方気分良く仕事ができるのでは?と、わたくし気付きまして。
「可・不可を問わず、いったんご返信ください」
と、付け加えて返信したんです。
すると新人・Aさん、即レスくださいました。
「分かりました。これから上司と相談します。可・不可を問わずとのことだったので、先に返信しました」と。
私「??????」
便利な定型文も、通じなければただの文
Aさんは、「可・不可を問わずいったん〜」=「上司に可か不可かを訊く前に、いったん」という意味で捉えてしまったようなんですね。
最近になって「あれは私の書き方が悪かったな」と思いました。
先方がビジネスメールに慣れていない新人さんなのは分かっていたんですから、「可・不可いずれにしても」とか「可・不可どちらの場合でも」と書けば、勘違いさせずに済んだはず。
コミュニケーションは双方向に伝え合うものだから、誤解された後で「そういう意味じゃなかったんですよ」と伝えることもできます。それも大事。
でもできれば事前に、「誤解を招くような書き方をしていないかな?」といったん相手の目線に立って見直すことも大事なんだなと。……何年も経った今、改めて感じています。
Aさんはあの時、ひょっとすると「確認してから返信するんじゃダメなのかなぁ」と疑問に思ったかもしれません。
ビジネスメールの定型文はほんとに便利な文化だけど、通じなければ「ただの文」です。
画面の先に人がいること、忘れないようにしていきます。
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