母のカレー

日本では、カレーはどこの家でも定番の料理だと思いますが、うちでもそうでした。
母が生きていたころには、よく作ってくれたものです。
今にして思えばたぶん、家族みんなが食べる料理で、大量に作れるから、だったのかもしれません。

うちは昔は家族が多くて、両親とわたしたち兄弟三人に、母方の祖母と祖父の弟の七人でくらしていました。
中でも父と祖母は食べ物にうるさく、しかも子供だったわたしたちとは基本的に食べるものが違っていたため、何種類もおかずを用意する必要がありました。
たとえば、父は夕飯時は晩酌をするので、絶対に魚が必要でしたし、祖母はとにかく煮物がないとイヤな人でした。
一方のわたしたちは、ソーセージやハンバーグといった肉系の加工食品が好きという具合だったのです。
そんな中、カレーは鍋ものやすき焼きと並んで、家族全員が文句を言わずに食べる料理でした。

母のカレーは一般的なものとはちょっと作り方が違っていて、水から具材と砂糖を入れて煮込みます。
煮立ったらカレーのルーを入れて、更に煮詰めて完成、といったふうです。
ちなみにわたしは、箱に書かれているとおり、先に具材を痛めてから水を入れて煮て、最後にルーを入れて煮る、という方法で作っています。
母の作ったカレーと、箱に書いてある方法で作った自分のカレーに、それほど味の違いがある、とは思わないのですが……。
昔、下の弟がまだ幼稚園に通っていたころ。
「幼稚園のカレーが嫌い」と言っていたことがありました。
なぜかというと、うちのカレーに較べて、あんまり美味しくないからだそうで。
当時は作り方のせいかな、と思ったりしましたが、今書いていてふと、使っているルーがうちのと違っていたのかも? とも思いました。
うちでは当時はたしか、バーモントカレーの甘口が主流だった気がします。

それはともかく。
母の作ったカレー、具はだいたいは一般的なジャガイモ、ニンジン、タマネギでしたが、一度サツマイモが入っていたことがありました。
案外、甘くて美味しかったですが、最初はちょっと笑ってしまいましたね。
肉は、鶏肉か豚肉だったと思います。
両親が生きてたころから貧乏だったうちでは、カレーに牛肉を使うということは、なかった気がします。
ただ、鶏肉は野菜と同じくゴロンとして、お腹にたまるので、お腹一杯食べられることが重要だった子供時代は、そっちの方がうれしかった記憶もあります。

自分で作るカレーも、食材はわりと定番どおりですが、わたしはかならずキノコを入れます。
両親が生きていたころは郷里の山でシイタケなどが採れたためか、わたしはキノコ類がわりと好きで、カレーに限らず、料理にはキノコを入れることが多いです。
あと、一度だけですが、余ったものがあったので、カボチャを入れたことがあります。
甘くて美味しかったですが、煮崩れして形がなくなってしまったので、食材がゴロゴロしている方が好きなわたしとしては、ちょっと残念でした。

最後に。
上にも書いたように、わたしはカレーは食材がゴロゴロと見えている方がうれしい派です。
なので、レストランなどで具材が見えなくなるまで煮込まれているカレーを食べると、美味しいけれど、何か物足りなく感じてしまうのでした。

#カレーにこれ入れる

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