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信用創造③  ―「政府の信用創造」は消滅を望まない―

前回は「1.民間の信用創造」には「借金の返済(負債の解消)」が伴うことを説明しました。

だとするなら同じ構造である「2.政府の信用創造」も同じ意志が込められているでしょうか?
私は違うと考えます。

「2.政府の信用創造」というのは、「C.政府」が、「政府の銀行」である「D.中央銀行」に負債を申し込むことで、(最終的に民間市場に)貨幣が発行されることです。
(※ここは大掴みな理解を促すために、簡略化した不正確な説明となります。後日、正確に説明をしますのでご容赦ください。)

この負債と引き換えに貨幣が発行されること自体は「1.民間の信用創造」と変わりません。

違いがあるのは中央銀行は公的機関であり、営利企業ではない、非営利の利益を確保する必要がない組織であることが挙げられます。

前章では「B.民間銀行」は「金利という所得を得る必要がある」と説明しましたがこれは「営利企業」だからです。
だからB.民間銀行は、貨幣を貸し付けたAに対して「利息を上乗せして必ず返済を迫る」わけです。

しかし、「2.政府の信用創造」の場合、「D.中央銀行」は「B.民間銀行」とは違い非営利の「NPO」なので

D.中央銀行は、貸し付けたC.政府に対して(利息を付けて)「貨幣の返済を迫る『必要がない』」

わけです。

「C.政府」もA.とは違う特徴を持ちます。
前章のA.はB.民間銀行から借金の返済を迫られたら「踏み倒したい!」と思うでしょう。
A.にとって貨幣は貴重で「返済が嫌だから」です。

しかしA.とは違い「C.政府」は「通貨発行権」を持つ存在です。

つまり

C.政府は、D.中央銀行に対して「必ずいつでも負債を返済することができる」

ということです。A.とは違って、C.政府にとって貨幣は別に貴重ではないのですね。

合わせて考えると…
D.中央銀行は負債の返済を求める必要はない
C.政府は必ず貨幣を返済することができる
のだから、

「1.民間の信用創造」は「信用創造した貨幣を消滅させること」が特徴なのに対して

「2.政府の信用創造」は「消滅する必要が無く常に維持することができる」

ことが特徴であり、違い、と言えるでしょう。

「C.政府はA.のように負債を踏み倒す可能性の無い存在」
であり
「D.中央銀行は、B.民間銀行のように借金の取り立てを行わない存在」
なわけなんですね。

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